お笑いブーム
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お笑いブーム(おわらいぶーむ)とは、日本において多数の若手お笑い芸人がテレビなどのメディアに多く露出し、ブームになる現象である。これまでに何度かお笑いブームと言われる時期があった。
よく「第○次お笑いブーム」という言い方がなされるが、そのはっきりとした定義は人によって様々である。また、ブレイク時期によって「お笑い第○世代」と芸人を呼び分けることもある。例えばとんねるず・ダウンタウン・ウッチャンナンチャンなどを「お笑い第3世代」と呼ぶことがある。ただしこの呼称が使われるのは第3世代と第4世代ぐらいである。
お笑いブームの後に、恋愛をテーマにしたバラエティが増えるという法則がある(恋愛バラエティ番組を参照。)。
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[編集] ブームの歴史
- 1960年代の演芸番組最盛期の時代
- 1980年代初期のツービート・B&B・紳助・竜介などが人気だった漫才ブーム
- 1980年代中期のお笑いBIG3(タモリ・ビートたけし・明石家さんま)や萩本欽一の時代
- 1980年代後期-1990年代中期のとんねるず・ダウンタウン・ウッチャンナンチャンらの台頭した時代(お笑い第三世代)
- 1990年代後期のテレビ番組『タモリのボキャブラ天国』『めちゃ²イケてるッ!』『進め!電波少年』など、作りこまれた番組構成から大人数の芸人が輩出された時代(お笑い第四世代) 一般的には「ボキャブラブーム」と呼ばれることが多い。
- 2000年代初期から2007年現在まで続いている、「ネタ見せ」番組から火がついたブーム
[編集] ブーム発生の要因
現在のお笑いブームが起こった理由としては、『爆笑オンエアバトル』『エンタの神様』『M-1グランプリ』などをはじめとする「ネタ見せ」番組が増えたことや、吉本興業のNSCや人力舎のJCAをはじめとするお笑い芸人を養成する学校が次々とできたことが挙げられるだろう。ネタ見せ番組は、ロケーションや構成中心だった一つ上の世代との、(経済学的にいえば商品)差別化がなされることになった。 もちろん、前回のブームから世代のサイクルが一回りし、若者にとって身近に感じやすい同世代の芸人がまとまって取り上げられることもある。
[編集] お笑いブームの問題点
ブームになると多数の視聴者や番組観覧者等は無条件に笑うようになるため、芸人が披露するネタやトーク中のコメントなどが全て本当に面白いかというと、必ずしもそうではない。また、完成度の高い漫才をみせる芸人よりも、見た目にハッキリとした特徴がある、お決まりの一発ギャグを持っているといった、観る側にとって分かりやすい芸人の方がウケがいい傾向がある。この傾向は「エンタの神様」(日本テレビ系列)などの番組に如実に現れており、 実際現在ではこの番組はコントやあるあるネタしかやらなくなっている。またバラエティ番組などでもお約束のギャグやネタをトーク中に芸人にやらせて笑いを取ろうとする傾向が強い。だが視聴者側としてはこういったものは斬新さがなく、批判も多い。
これは、ブームの期間中は観る側が、芸人が現れるだけで「キャーキャー」と歓声を上げたり、芸人の全てに対して笑うなど、一種の思考停止状態にあるためと思われる。この事についてダウンタウンの松本人志は「俺らが出てきたらキャー、何言うてもキャーや。誰もネタなんか聞いてない」と語っていた。ガキの使いのトークでも出てきたときにあがる歓声が鳴り止まないため、「やかましい!おっさんらしゃべっとんねん!」と怒鳴ることがある。これはネタだが、松本のそういった思想から出てきているものと考えられる。
ブームが去った後はメディアへの露出過多で消費され、使い捨てられる芸人も多いため、当人たちにとっては自らの芸の力量が問われる過酷なものでもあると言える。またお笑いブームは「ミーハー」を生み出し易い状況だと言える。
テレビ局や製作者側は「旬」であるというだけで、オファーをする為、お笑いタレントが自分達の実力を見誤ってしまう可能性がある。
[編集] 芸人同士の変化
カンニングの竹山隆範が「エンタの神様」で語る様にお笑いブームは芸人同士にも大いなる変化をもたらす。竹山は「お笑いブーム当初は皆楽屋でも和気藹々だったが、2005年くらいになると“誰が生き残るか”を気にし始めピリピリしている。」と語っている。