たばこ規制枠組み条約
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たばこ規制枠組み条約(たばこきせいわくぐみじょうやく、WHO Framework Convention on Tobacco Control:略称WHO FCTC)は、喫煙による健康被害の防止を目的とし、たばこの広告規制や密輸に対する国際協力を定める条約である。2003年5月21日に世界保健機関(WHO)第56回総会で全会一致で採択され、2005年2月27日に発効した。締約国は、煙草消費の削減に向けて、煙草広告・販売への規制、密輸対策が求められる。公衆衛生分野で初の国際条約である。
日本政府による公式日本語名称は、『たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約』である。
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[編集] 条約の成立経緯
WHOは、WHO加盟国に対して、たばこの健康被害を食い止めるべく、各国に総合的なたばこ政策を求める決議を採択してきたが、たばこ製品の広告、密輸、健康被害に対する対策のためには、各国が共通した政策をとることが必要であるとして、WHO憲章に基づき、1996年にWHO事務局長に条約の作成の適否の検討を要請した。1999年には条約の起草・政府間交渉の開始が決定され、2003年には条約案が採択された。起草過程においては、アメリカや日本などの反対により、いくつもの条文が変更され、採択が危ぶまれたこともあったが、結局コンセンサスで採択された。
[編集] 条文
正文は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語。前文、本文(38ヵ条)及び末文から成る。
[編集] 署名・批准・発効
40番目の批准書、受諾書、承諾書、正式確認書、または加入書が寄託されてから90日後に効力を発生する。2004年(平成16年)11月29日に締約国数が条約の発効要件である40ヵ国に達したため、同日の後90日目となる2005年(平成17年)2月27日に効力を生ずることとなった。
- 署名国---168カ国
- 締約国---140カ国(*2006年10月21日現在1)
2006/12/03現在、アメリカ・中国は署名を行っている物の批准は行っていない。
[編集] 締約国の義務
締約国は条約の発効から3年以内に、(1)健康被害が少ないと誤解を与えかねない表示をしない、(2)包装面積の3割以上を用いて、健康被害の警告表示の掲載を求められる他、発効後5年以内に、煙草の広告や販売促進などを全面的に禁止し、規制の実施措置を取るよう求められ、法律の整備を行って、未成年者の自動販売機による煙草購入を防ぐことも要求される。
また、煙草に対する課税率引き上げの検討も求められる。
「マイルド」、「ライト」などの表示規制は各国の自主判断に任される。
[編集] 日本との関係
- 2004年3月9日 ニューヨークで署名 - 署名について(外務省プレスリリース)
- 2004年5月19日 国会承認
- 2004年6月8日 受諾書寄託(depositing the instrument of acceptance)-受諾書の寄託について(外務省プレスリリース)
[編集] 外部リンク
- WHO Framework Convention on Tabocco Control - WHOのサイト
- たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(和訳・説明書) - 外務省のサイト
- 署名について(外務省プレスリリース) - 外務省のサイト
- 受諾書の寄託について(外務省プレスリリース) - 外務省のサイト
- たばこと健康に関する情報ページ - 厚生労働省