イトカワ (小惑星)
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発見A | |
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発見者 | LINEAR |
発見日 | 1998年9月26日 |
仮符号 | 1998 SF36 B |
分類 | アポロ群, 火星横断小惑星 |
軌道要素C 元期 2005年8月18日(JD 2453600.5) |
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離心率(e) | 0.280 |
軌道長半径(a) | 1.324 AU |
近日点(q) | 0.953 AU |
遠日点(Q) | 1.695 AU |
公転周期(P) | 1.52 年 |
平均軌道速度 | 25.37 km/s |
軌道傾斜角(i) | 1.622 度(deg) |
昇交点黄経(Ω) | 69.095 度(deg) |
近日点引数(ω) | 162.760 度(deg) |
平均近点角(M) | 294.502 度(deg) |
物理的性質 | |
直径 | 535×294×209 m |
質量 | 3.510×1010±0.105×1010 kg |
密度 | 1.90±0.13 g/cm3 |
表面重力 | 0.07 - 0.1 mm/s2 |
脱出速度 | ~0.0002 km/s |
自転周期 | 12.1 h |
スペクトル分類 | S型 |
絶対等級(H) | 19.2 |
アルベド | 0.53 |
平均表面温度 | ~206 K |
イトカワ(糸川、いとかわ、25143 Itokawa)は、太陽系の小惑星であり、地球近傍小惑星(地球に近接する軌道を持つ天体)のうちアポロ群に属する。1998年9月26日、アメリカ・ニューメキシコ州ソコロでマサチューセッツ工科大学リンカーン研究所・地球近傍小惑星研究チーム (LINEAR) により発見された。
日本の工学実験宇宙機はやぶさ (MUSES-C) の探査対象となったことから、宇宙科学研究所(当時)が日本のロケット開発の父・糸川英夫の名前を付けてくれるようLINEARに依頼し、2003年8月6日に国際天文学連合により承認されて同協会の『小惑星会報』 (MPC) で発表された。
目次 |
[編集] 観測の歴史
イトカワはアメリカ・カリフォルニア州ゴールドストーンのゴールドストーン天文台によりレーダー観測されており、細長い楕円体に近い形状をしていると推測された(画像参照)。
2005年9月に、宇宙機はやぶさがイトカワ近傍に到着し、可視光での撮影、近赤外線スペクトルの測定、レーザー高度計による測地、および蛍光X線の観測を行った[1]。はやぶさから送られた写真により、イトカワはレーダー観測による予想よりも細長く曲がった形状(はやぶさ関係者はラッコと評している)であることが分かった。はやぶさは、ホッピングロボット「ミネルバ」による表面の観測(イトカワへの投下には失敗)と小惑星表面の物質のサンプルリターンを行い、2010年に地球へ帰還する予定である。
[編集] 物理的性質
イトカワはそれまで一般的に考えられていた小惑星の姿とは異なり、表面はレゴリス(砂礫)に覆われた部分と、岩石が露出した部分に分かれている。この違いは、表面重力の違いに応じている。また、特異な岩塊が存在し、最大のものは長さ50mに達する。これらの岩塊は、イトカワにクレーターを作るような天体の衝突では生成しない大きさである。表面にはクレーターも存在するが、このような岩塊のため、サイズや数を把握することが困難となっている。
近赤外線による観測では、イトカワは輝石やカンラン石に特徴的なスペクトルが得られている。一方、測定された密度は1.90g/cm3程度であり、従来考えられていたS型小惑星や、地球上の岩石の密度より小さい値となっている。これは、イトカワが内部に多くの空隙を含むためと考えられている。ただし空隙というのが、岩石と岩石の隙間なのか、岩石自体が軽石のような構造になっているのかは不明である。イトカワの質量中心は幾何学的な重心とよく一致しており、自転のふらつきもほとんど無いため、質量は均一に分布していると考えられる。
イトカワはその特徴的な形状から、より大きな母天体が破壊されたときの破片ではないかと考えられている。一部の研究者は、二つの小惑星が合体してできたと考えている。なお、衝突によってイトカワ表面が融解したような形跡は観測されていない。
[編集] 軌道の特徴
イトカワの軌道は、典型的な地球近傍小惑星の軌道進化の途上にある物である可能性が高いと考えられている[2]。
イトカワは現在、地球と火星の軌道を横切るように公転している。そのためこれらの惑星の重力により、軌道はカオス的で不安定となっている。
過去には小惑星帯の内縁部に存在し、火星か木星の重力による影響を受けて現在の軌道に移ったものと考えられている。その後、少なくとも現在より5000年前からは、現在と同じような軌道を取っていた可能性が高い。
また将来的には、1億年のうちに太陽か、水星、金星、地球、火星のうちいずれかに衝突して消滅するだろうと考えられている。
[編集] 主な地名
現在、JAXAではイトカワに確認された3つの地形に『内之浦』、『ミューゼスの海』、『ウーメラ砂漠』という地名をつけることを提案している[3]。また、その他の岩塊やクレーターにも多数の名前が付けられている[4]。