イーサーン
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イーサーン(イサーンとも、ภาคอีสาน)はタイ国の地方の一つ。タイの東北にあることから、東北部とも呼ばれる。単なる地方名であって行政主体ではない。地理的には場合によっては、南イーサーンと、北イーサーンにわけることがある。人口的にはタイ国内の人口の三分の一を占めると言われる。
この地域に住む民族的にはラーオ族に入り、喋る言葉もイーサーン語というラオス語の方言である。
中央部のタイ族とは明らかに違う文化を持ち、歌謡曲もモーラムと呼ばれる独特の音楽を持つ。食文化も大きく違い、ぱさぱさとしたいわゆるタイ米を主食とせずインディカ米のもち米を主食とする。野菜などは基本的に熱さないまま食べることが多い。
干ばつと洪水を繰り返す独特の気候から、人口が多いにも関わらず食糧危機に陥り、タイでも最も貧困な地区とされた。加え、中央のタイ人からはその言語と、明らかに異なった顔立ちを馬鹿にされたため、元々あったラーオ族意識と相まり、さらには共産主義思想(主に毛沢東主義)がラオスなどから輸入され、しばし中央政府と対立し、時には武力対立に発展することもあった。
しかしながら、最近では南イーサーンを中心に開発が行われたため、共産主義運動が下火になったこともあり、徐々に中央のタイ人と同化していった。現在では一部にラーオ族意識は残るも、基本的には、ほぼ同化している。
[編集] イーサーンの県
南イーサーン |
北イーサーン |
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