エコノミークラス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エコノミークラス(Economy Class)は、旅客機の客席の基礎となる座席区分のことである。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 由来
1920年代以降に旅客機による旅行が本格化し、旅客機の収容人数が増えて機内客室が上級席と普通席にクラス分けされて以降、上級席はファーストクラス、普通席はエコノミークラスと呼ばれるようになった。基本的には座席スペースとサービス内容により格差がつけられている。
[編集] 設定
なお、国内線や近距離国際線の旅客機はエコノミークラスのみが設定されているケースが多く、中長距離国際線の場合はさらにビジネスクラスなどの中間(上級)クラスが設定されることが多い。
[編集] 運賃
[編集] 複数の運賃
「エコノミークラス普通運賃」と呼ばれる、キャンセルや日程変更などの制限が少ないものが基本運賃として設定されているものの、実際は航空会社自らが販売する「正規割引運賃」や、旅行代理店経由で販売される「団体割引運賃」が主に販売されている。なお、これらの割引運賃は普通運賃の半値以下で販売されるケースが多いものの、キャンセルや日程変更の制限が大きい上、マイレージポイントの加算が少ない(社によっては100%加算する場合もある)など様々な制限が加えられる。
[編集] いきさつ
これらの団体割引料金が中心を占めるようになったのは、1970年代初頭に登場した超大型機ボーイング747が登場し、航空会社が販売する座席数が急激に増えて以降のことであり、当初はIATAが様々な制限をつけたものの、より安い航空券を求める市場の要求によりそれらの制限の多くが撤廃されて現在のような形になった。
[編集] 基本サービス
近年の競争激化により、中長距離国際線を中心に、個人用テレビの装着や機内食の選択肢の増加などサービスの充実が図られているものの、その反面、最も収益が少ないクラスということもあり、シートピッチの縮小や機内サービスにあたる客室乗務員数の削減などのコスト削減策が率先して図られている。
特に近年は、座席の前後幅の縮小だけでなく、横幅の縮小によりボーイング767型機で横7列から8列に(スカイマークなど)、ボーイング777型機で横9列を10列に(全日空やエミレーツ航空など)増加させ、1機あたりの座席数を増やすなどの策がとられている。
一方、ビジネスクラスの座席スペース拡大などサービス改善の結果、エコノミークラスとビジネスクラスとの格差が拡大したため、この間を埋めるべく、普通運賃利用者向けに座席スペースを拡大した「エコノミープラス」などといった区分を設ける場合も出ている。→ビジネスクラス#第4のクラス参照
[編集] 平均的なサービス
※主に、中長距離国際線でのもの。
- アルコール飲料類の無償提供(中東のイスラム諸国の会社では、上級クラスを含め酒類自体を提供しない場合が多い)
- 機内食の選択(長距離路線の場合2、3種(標準的には肉料理か魚料理)から選択が可能。事前に申し込めばイスラムやベジタリアン、低カロリーなどの特別料理も可能。中東のイスラム諸国の会社では標準がイスラム料理の場合が多い)
- アイスクリームや菓子パン、菓子類などの提供(長距離路線を中心とした一部の航空会社)
- 個人用テレビ(長距離路線を中心とした一部の航空会社)
- 個人用電話(長距離路線を中心とした一部の航空会社)
- 歯ブラシ、歯磨き粉セット、くしの提供(長距離路線の場合)
- 枕、毛布の提供
- 子供用玩具の提供
- エコノミー普通運賃で搭乗する乗客に対する空港ラウンジの提供