キログラム
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キログラム(kilogram) | |
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国際キログラム原器の複製 アメリカ合衆国のキログラム原器 (1889年製造) |
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記号 | kg |
系 | 国際単位系(基本単位) |
量 | 質量 |
定義 | 国際キログラム原器の質量 |
SI | {{{SI}}} |
キログラム(記号:kg)は、国際単位系 (SI) における質量の基本単位である。国際キログラムともいう。
グラムはキログラムの1000分の1として定義される。 またメートル系トンはキログラムの1000倍(1メガグラム)に等しいと定義される。
目次 |
[編集] 定義
1キログラムの現在の定義は、「国際キログラム原器の質量」である。SIにおいて、今なお普遍的な物理量ではなく人工物に基づいて値が定義されているのはキログラムだけである。また、基本単位に接頭辞がついているのもキログラムだけである。
[編集] 当初の定義
1キログラムは、当初案の定義では、大気圧下で氷の溶けつつある温度(すなわち0℃)に於ける水についてとなっていたが、その後、水の体積は温度依存することが分かり、結果として定義は、1790年に「最大密度(=液温摂氏四度)における蒸留水1立方デシメートル(1リットル)の質量」と定義された。しかし、水の密度は気圧と温度に影響され、気圧にはその因子に質量が含まれている。すなわちこのキログラムの定義には循環依存が含まれていることになる。
[編集] 現在の定義
この問題を避けるため、キログラムは特定の温度・気圧における蒸留水の質量として再定義された。1889年、キログラムは「国際キログラム原器の質量」と定義された。国際キログラム原器は1キログラムの質量を示すものとして1870年代に作成されたものであるが、これがキログラムの定義に使用されることとなった。
国際キログラム原器はプラチナ(白金)を主とする合金でできており、直径・高さともに39mmの円柱である。厳密には、プラチナ89.69%、イリジウム10.14%、ロジウム0.04%、ルテニウム0.04%、鉄0.04%、その他0.07%からなる[要出典]。
フランス・パリ郊外セーヴルの国際度量衡局に、二重の気密容器で真空中に保護された状態で保管されている(世界のすべての質量計測の基準であるので、万一にも錆などにより質量が変化しては困るのである)。国際キログラム原器の質量は "Le Grand Kilo" と呼ばれる。
国際キログラム原器を元に40個の複製が作られて各国に配布・保管されており、約10年ごとに特殊な天秤を用いて国際キログラム原器と比較されることになっている。日本には1889年に複製のうちの1つ(No.6)が配布され(日本到着は翌1890年)、日本国内ではこれをキログラムの基準に使用している。この日本国キログラム原器は現在、茨城県つくば市の独立行政法人産業技術総合研究所に、国際キログラム原器と同様の容器内に保管されている。日本国キログラム原器は国際キログラム原器に比べて0.170mg重いことが分かっている。
国際キログラム原器の質量が、この100年で50マイクログラム程度減少したとみられるという報告が2003年にあった。減少の原因はわかっていない。国際キログラム原器の質量が変化したという報告により、現在の定義に代わる新しい普遍的なキログラムの定義がより強く求められるようになった。
[編集] 提案されている定義
現在の定義に変わる新しい定義の候補として、アボガドロ定数やプランク定数などを用いた各種の提案がある。
その中で最も有力なのが、一定個数のケイ素 (Si) 原子の質量をキログラムとするという原子質量標準である。アボガドロ定数の値をより正確に求めることができれば、そこからケイ素1キログラムに含まれるケイ素原子の数を決定することができる。ケイ素が採用されたのは、ケイ素が不純物を含まない単結晶を作りやすいからである。現在、国際度量衡委員会 (CIPM) が中心となって、各国の研究機関でケイ素を用いてアボガドロ定数の不確かさを少しでも小さくするための研究が行われている。
現在のアボガドロ定数の値 NA = 6.022 141 5(10)×1023 mol-1(CODATA2002年推奨値。括弧内は標準不確かさ)には、7桁目に不確かさがある。あと1桁精度を上げることができれば、キログラムの定義を原子質量標準に替えることができるとされている。なお、アボガドロ定数のCODATA2002年推奨値は、日本の産業技術総合研究所(産総研)とドイツの物理工学研究所 (PTB) によって報告されたもので、各研究機関からの報告の中で最も信頼性が高いとして2002年の推奨値に反映されたものである。
他には以下のような提案がある。
- 金の原子を蓄積し、それを中性化するのに必要な電流によって定義する
- ある振動数 ν の光子のエネルギー (E = hν) と等しい静止エネルギーを持つ物体の質量を1キログラムと定義する(静止エネルギーと質量の関係式は E=mc²)
- かつてプランク定数とキログラムを関連づけることでアンペアを定義するのに用いられたワット天秤を用いて定義する
- 超伝導コイルで発生する磁場で超伝導体を浮揚することによってキログラムと電気量とを関連づけ、コイルに流れる電流により定義する
- ジョセフソン定数(KJ≡4.835 979×1014 Hz/V)とフォン・クリッツィング定数 (RK≡2.5812807×104Ω) を用いて定義する。すなわち、真空中に1メートルの間隔で平行に置かれた無限に小さい円形の断面を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれに、1秒あたり6.24150962915265×1018の電荷による直流の電流が流れるとき、導体に2×10-7m/s²の加速度が生じたときの、その導体の1メートルあたりの質量を1キログラムと定義する。
[編集] グラムとキログラム
グラム(gram, gramme, 記号:g)は質量の単位であり、SIにおいてはキログラムの1000分の1 (10-3 kg) と定義されている。「キログラム」は、明らかにグラムに接頭辞キロをつけたものである。しかし、SIにおいては、グラムではなくキログラムが基本単位となっており、グラムはその分量単位の一つとされている。
グラムではなくキログラムがSI基本単位とされたのには、以下のような経緯がある。
フランスにおいて1790年当時フランス王ルイ16世の号令の元、新しい時代の度量衡としてメートル法を策定すべく、主に科学者達で構成された委員会が結成された。当時その委員会において、質量単位のモデルとして1メートルの10分の1で構成された立方体のますに入った水の質量、即ち1リットルの大気圧下で氷の溶けつつあるある温度(0度)における水について、grave(グラーブ、記号G)と名称が与えられた質量単位を標準とする事が提案された。その語源はgravity(重力)から由来したものである。
当初はこのgrave(グラーブ)が質量の基本単位として原器が作られる予定であった。またこれを元として、1graveの1000分の1を別の質量単位名でgramme(グラム)ないしgravet(グラベト)また、1graveの1000倍を別の質量単位名を用いてtonne(トン)ないしbar(バー)と称するように名称が考案されたりもした。そしてやがて来るフランス革命の波に襲われ、科学者達の研究は途中で中断するのだがその後、新しい革命政府が樹立されると再びメートル法が注目されるようになった。しかしそのフランス革命の後、質量の単位は大きな転機を迎える事となる。
1795年の(暫定)メートル法制定当初、革命後の共和政府が当初の質量の基本単位をgrave(グラーブ)から、その1000分の1を表すgramme(グラム)へと変更したのである。理由は諸説あるが、有力な説の一つとして、1grave(グラーブ)という大きさの質量が当時、メートル法以前の昔から使われてきたいくつかの質量の旧単位と比較しても、大きな単位であると言う事。その為フランスの科学者達は、グラーブは日常的に使う質量単位としては大き過ぎるであろうと危惧し、フランス共和政府と共に、質量の基本単位は1グラーブの1000分の1である1グラムを質量標準として使用すべきであると決定したという説があるが、真相は定かではない。
しかしながら質量標準を1グラムとすると非常に使い勝手が悪く、とりわけ1グラムを定義した原器を作るにはあまりにも小さすぎた。そこで共和政府は基本単位とした1グラムの1000倍、即ち当初の予定通り1grave(グラーブ)の質量原器を作る事を決めた訳であるが、その名称が使われる事はなくグラムの1000倍を表す為に接頭辞のキロ(k)をつけた名称、"キログラム(kg)"の名前を冠した原器を作る事と決めた。これはあくまでも質量の基本単位をグラムにした事に起因する。こうして当初の質量単位grave(グラーブ)の名称は姿を消すのである。
これが後の1799年に作成された"確定キログラム原器"となった。こうしてメートル法制定当初、長さの単位をm(メートル)、質量の単位をg(グラム)とした基本単位が出来上がった。しかし、メートルとグラムとではその規模が異なる。すなわち、グラムで量られる質量を持つものはセンチメートル台の大きさであることが多く、逆にメートルで測られる大きさを持つものはキログラム台の質量を持つことが多い。そのため、メートルの代わりにセンチメートルを採用し、センチメートル・グラム・秒を基本単位とする単位系が構築されるようになった。これがCGS単位系である。
しかし、電磁気学の発展に伴い、CGS単位系では不都合が生じるようになった。CGS単位系を元に電磁気学の単位を作ると、値が大きくなってしまう。これは、電磁気学の現象を記述するには、センチメートル・グラムでは小さすぎるということである。そのため、科学で使われる単位系の主流はメートル・キログラム・秒を基本単位とするMKS単位系へと移行した。また上記に記された1889年のキログラムの新定義により、それ以降のメートル法において質量の基本単位としての礎を築いた。MKS単位系を更に発展させた国際単位系(SI)においても、キログラムが基本単位として引き継がれている。
キログラムの分量・倍量単位の接頭辞は、キログラムではなくグラムを基準にしてつけられる。これは、SIでは二重に接頭辞をつけることを禁じているためである。そこで、キログラムを基準として接頭辞がつけられるように、キログラムに代わる新たな単位名称をつけようという提案が何度かなされている。quilo(記号:q)やkilon(記号:k)といったものが提案されているが、正式に議論にかけられたものは、現時点ではない。
[編集] 重量との関係
ある物体の重さがキログラムで与えられたとき、それはほとんどの場合質量を表している。しかしながら、物体の重量が「キログラム」で与えられることが時々ある。その場合、それは「キログラム」ではなく実際には重量キログラム(kgf, kgw, キログラム重)である。地球表面において1キログラムの質量を持つ物体には約9.80665ニュートン(力のSI単位)の重力が働く。980.665 cm/s²(この値が定義されたときはCGS単位系が主として使われていた)という値は、グラム重を定義するために第3回国際度量衡総会(CGPM)で定められた協定値であるということに注意する必要がある。重力加速度は緯度や高度、場所によって異なるので、この値が定められるまではグラム重という単位は値が不明確な単位であった。
[編集] 分量・倍量単位
接頭辞は歴史的な理由により、キログラムではなくグラムに対してつけられる。例えば1キログラムの100万分の1の質量は、1「マイクロキログラム」ではなく1ミリグラム(1000分の1グラム)となる。
キログラムの1000倍の質量は、本来ならば1メガグラムと呼ばなければならないが、この名前が用いられることはなく一般にはトンが使われる。他に、マイクログラムもよく用いられる。
- ヨタグラム(Yg) -- 1024 g (1021 kg, 1018t(1 Et))
- ゼタグラム(Zg) -- 1021 g (1018 kg, 1015t(1 Pt))
- エクサグラム(Eg) -- 1018 g (1015 kg, 1012t(1 Tt))
- ペタグラム(Pg) -- 1015 g (1012 kg, 109t(1 Gt))
- テラグラム(Tg) -- 1012 g (109 kg, 106t(1 Mt))
- ギガグラム(Gg) -- 109 g (106 kg, 103t(1kt))
- メガグラム(Mg) -- 106 g (103 kg, 1t)
- キログラム(kg) -- 103 g (1 kg)
- グラム(g) -- 100 g (10-3 kg)
- センチグラム(cg) -- 10-2 g (10-5 kg)
- ミリグラム(mg) -- 10-3 g (10-6 kg)
- 1立方ミリメートルの水の質量は1ミリグラムである。
- 砂粒はだいたい1ミリグラム程度である。
- 実験室では質量をミリグラムで量ることが多い
- 食品中の成分(例えば食塩)の量や医薬品の服用量などは通常ミリグラムで量られる。
- マイクログラム(µg) (mcg)-- 10-6 g (10-9 kg)
- ナノグラム(ng) -- 10-9 g (10-12 kg)
- ピコグラム(pg) -- 10-12 g (10-15 kg)
- フェムトグラム(fg) -- 10-15 g (10-18 kg)
- アトグラム(ag) -- 10-18 g (10-21 kg)
- ゼプトグラム(zg) -- 10-21 g (10-24 kg)
- ヨクトグラム(yg) -- 10-24 g (10-27 kg)
[編集] 表記
漢字ではグラムが「瓦蘭姆」と音訳され、ここから「瓦」一字だけでグラムの意味を表すようになった。日本では明治時代、中央気象台(現気象庁)が「瓦」をその中に含む以下のような倍量・分量単位の漢字を作り、1891年から各気象台で気象観測の月報などに使用して、一般にも広まった(第二次大戦中に敵性語を使わないようにするために作られた、と書いている書物もあるが、これは誤りである)。一部は中国でも取り入れられている。
- ミリグラム(mg) -- 瓱
- センチグラム(cg) -- 甅
- デシグラム(dg) -- 瓰
- デカグラム(dag) -- 瓧
- ヘクトグラム(hg) -- 瓸
- キログラム(kg) -- 瓩(中国では、日本と独立にキロワットの意味の文字として作られている)
- ミリアグラム(104 g) -- {瓦万}
- トン(t, 103 kg) -- 瓲 (略して 屯 とも表記される)
[編集] 関連項目
キログラム (SI単位) |
グレーン | 常用オンス | 常用ポンド | 匁 | 斤 | 貫 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 kg | = 1 | ~= 15432 | ~= 35.274 | ~= 2.2046 | ~= 266.67 | ~= 1.6667 | ~= 0.26667 |
1 gr | = 0.00006479891 | = 1 | ~= 0.0022857 | ~= 0.00014285 | ~= 0.0172797 | ~= 0.000107998 | ~= 0.0000172797 |
1 oz | = 0.028349523125 | = 437.5 | = 1 | = 0.0625 | ~= 7.5599 | ~= 0.047249 | ~= 0.0075599 |
1 lb | = 0.45359237 | = 7000 | = 16 | = 1 | ~= 120.96 | ~= 0.75599 | ~= 0.12096 |
1 匁 | = 0.00375 | ~= 57.871 | ~= 0.13228 | ~= 0.082673 | = 1 | = 0.0625 | = 0.001 |
1 斤 | = 0.6 | ~= 9259.4 | ~= 21.164 | ~= 1.3228 | = 160 | = 1 | = 0.16 |
1 貫 | = 3.75 | ~= 57871 | ~= 132.28 | ~= 8.2673 | = 1000 | = 6.25 | = 1 |
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