シェリー (ワイン)
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シェリー(英:Sherry、西:Jerez へレス)は、スペイン南部アンダルシア地方カディス県の町へレス周辺の三角地帯(エル・プエルト・デ・サンタ・マリア、サンルーカル・デ・バラメダ、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ)とその周辺でのみ作られる強化ワインである。それ以外の地域で作っても、1935年以降は原産地呼称統制法によって世界商標会議の加盟国は「シェリー」という名を使用することはできない。
シェリーのソムリエに当たる人をベネンシアドール(ヴェネンシアドール)という。
[編集] 製造過程
原料となるブドウはパロミノ、ペドロ・ヒメネス、モスカテルの三種で、この地域独特の石灰分を多く含んだアルバリサと呼ばれる土で作られる。普通の白ワインと同様に、収穫されたブドウはワイン工場に運ばれる。(甘口や極甘口を作るときは日干しされレーズン状になってから処理されることもある)
アルコール発酵が始まり、アルコール度が11~12%になった白ワインの表面には、フロールと呼ばれるシェリー特有の酵母膜が現れ、これがシェリー特有の味を作っていく。
熟成法によって「フィノ」と「オロロソ」に大別され、酒精強化時にフロールの成育限界(アルコール度数16%)を超えないように調整されたものがフィノ、超えるように調整されたものがオロロソとなる。熟成法は試飲のもとに分けられ、やさしく、繊細な味のものはフィノ用に、ボディのしっかりしたものはオロロソ用などにまわされる。
フロールによって表面を覆われたままのフィノは酸素と遮断されるため薄い色調で繊細な味わいになるのに対し、オロロソはフロールが無くなる事により酸素と触れるため、色は琥珀色になり独特の芳香を持つようになる。
樽に移されたシェリーは「ソレラ・システム」という独特の方法で熟成される。段々に詰まれた樽は、上にいくほど新しく、下に行くほど古い。出荷するときには一番下の樽から取り出し、減った分は上から補充する。決して一度に大量に抜いたりはせず、少しずつ取り出され、少しずつ補充されるため、味は常に一定となる。一番下の樽には焼き鳥屋のたれの原理で、かなり古いものが少量混じっていることになる。 最終出荷樽をソレラ樽といい、熟成途上樽をクリアデラ樽という。 熟成期間は最低でも3年、長いものでは100年以上に及ぶ事もある非常に長命なワインである。
細かい製造法・熟成法の違いにより上記の二種類の他にも、「アモンティリャード」「マンサニージャ」「クリーム」など約25種類製法、1000種類ものラベルがあり、甘口、極甘口、辛口に大きく分類される。
日本人に一番なじみがあるのは辛口のフィノタイプであろう。
シェリーのタイプ 基本なタイプ 「フィノ」 「アモンティリャード」 「オロロソ」 「ミディアム・アモンティリャード」 「クリーム」 「ペドロ・ヒメネス」
「マンサニージャ」 「モスカテル」
希少価値の高いタイプ 「フィノ・アモンティリャード」 「アモンティリャード・フィノ」 「パロ・コルタド」 「ドス・コルタドス」 「トレス・コルタドス」
「マンサニージャ・パサダ」 「マンサニージャ・アモンティリャーダ」 「アモンティリャード・デ・サンルーカル」
「ミルク」 「ブラウン」 「イースト・インディア」
非伝統的なタイプ 「ミディアム」 「ゴールデン」注)名称は古い 「ペール・クリーム」
産地と有名メーカー 「ヘレス・デ・ラフロンテーラ」 ・ゴンサレス・バヤス社 ・ARヴァルデスピノ社 ・ドメック社 ・ガルヴェー社 ・サンデマン社 ・クロフト社
「エル・プエルト・デ・サンタ・マリア」 ・オズボーン社 ・カバジェロ社
「サンルーカル・デ・バラメダ」 ・イダルゴ・ラ・ヒターナ社 ・バルバディージョ社 ・アルグエソ社
[編集] 外部リンク
- Official sherry website 英語・フランス語