シエラ級原子力潜水艦
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シエラ級原子力潜水艦(シエラきゅうげんしりょくせんすいかん Sierra class submarine、проект 945"Гранит" ,945А"Антей" ,945Б"Марс")はロシア海軍の攻撃型原子力潜水艦。シエラ級の名称はNATOのコードネームであり、シエラI級とシエラII級、シエラIII級に細分される。ロシア側の名称はそれぞれプロイェクト945"バラクーダ"、プロイェクト945А"コンドル"及びプロイェクト945Б"マルス"である。船体はチタン合金で作られており、強度が大きいので深い場所で運用できるという特徴を有する。また、船殻に吸音タイルを用いているので秘匿性に優れている。
当初は、671RTM(ヴィクターIII)型原潜の後継として、かなりの隻数が建造される予定であったが、財政上の理由により不可能と分かったため、少数の建造に終わった。全艦、内陸部のニジーニー・ノヴゴロド(旧ゴーリキー)に有るクラースノエ・ソルモーヴォ造船所(第112海軍工廠)で建造された。なお当初は、極東方面コムソモリスク・ナ・アムーレのレニンスキー・コムソモール記念工廠(第199海軍工廠)でも建造される予定だったが、同工廠ではチタンの加工が出来なかったために断念された(ちなみに、945を受注し損なった同工廠には、971(アクラ)型が発注された)。
シエラI級の一番艦は1984年に就役し、2隻建造。シエラII級は1990年から就役を開始し、同じく2隻が建造された。シエラIII級に関しては確たる情報がないが、建造が途中で中止されたものといわれている。種々のミサイルを運用する本艦級は維持費が非常に高い。現在シエラI級は1隻が退役、シエラII級は運用中であるといわれる。
本型は、就役当初はKナンバーが割り当てられており、「原子力海中巡洋艦」に分類されていたが、ソ連崩壊後、Bナンバーに変更され、類別も「一等原子力大型潜水艦」となった。
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[編集] 諸元(シエラI級)
- 全長:107m
- 全幅:12.2m
- 吃水:8.8m
- 水上排水量:6,300t
- 水中排水量:8,200t
- 機関:ОК-650加圧水型原子炉×1基/蒸気タービン×1基
- 馬力:50,000hp
- 最高速力:水上18kt(33.3km/h)、水中36kt(66.6km/h)
- 運用深度:500~600m
- 乗員:60名
- 兵装:533mm魚雷発射管×4基・650mm魚雷発射管×2(魚雷、沈底機雷、対潜ミサイル(スタリオン)、対空ミサイル(グレイル・グレムリン))
[編集] 同型艦(シエラI級)
- B-239:既に除籍。
- B-276:「コストロマ」、1992年、米原潜「バトンルージュ」と衝突して大破。その後、退役したと見られていたが、実は、修理して現役復帰していた事が判明した(ちなみに、「バトンルージュ」は修理を断念して除籍された)。
[編集] 諸元(シエラII級)
- 全長:111m前後
- 全幅:12.2m前後
- 吃水:8.8m前後
- 水上排水量:6,470t
- 水中排水量:10,400t
- 機関:ОК-650加圧水型原子炉×1基/蒸気タービン×1基
- 馬力:50,000hp
- 最高速力:水上14kt(26km/h)、水中33kt(61km/h)
- 運用深度:500~600m
- 乗員:100名
- 兵装:533mm魚雷発射管×6基(魚雷、沈底機雷、対潜ミサイルスタリオン、対空ミサイルグレイル・グレムリン)
[編集] 同型艦(シエラII級)
- B-534:「ニジーニー・ノヴゴロド」
- B-336:「プスコフ」
[編集] シエラIII級
進水・就役せず
[編集] 関連項目
カテゴリ: ソ連・ロシアの潜水艦 | 原子力潜水艦