スネアドラム
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スネアドラムは代表的な打楽器の一つ。両面太鼓の一種であり、膜鳴楽器に分類される。小太鼓、サイドドラムとも呼ばれる。
名称は、英語でsnareと称する細い鎖状の響線が底面の膜に接するように張られ、これが振動する膜に副次的な打撃を与えて独特の音響を発揮することに由来する。日本ではこの響線を「スナッピー」とも呼ぶ。
古来より西洋の軍楽隊などで伝統的に用いられ、後にはオーケストラやブラスバンド編成にも加えられる。ドラムセットの重要な構成楽器でもある。
また、ブラスバンドから派生する吹奏楽やマーチングなどでも花形楽器の一つであり、マーチングの場合、キャリングを用いて列の後方を歩く。
実際の演奏においてはスネアドラムは、リズムピッチを決定する重要な役割を担う。曲の強弱をつけるのにも有効であり、また歯切れの良い音は管弦楽器にも負けない印象を残す。その為、ドラムセット内においては一番多種多様な演奏方法が存在する。一般的なものとして「リムショット」の存在がある。「リム」とは「ヘッド」と呼ばれる打撃面を胴に押し付けているリング状の枠のことであるが、この部分を叩くことによって音色のバリエーションを増やしている。アクセントを強調したい場合、スティックの先端がヘッド面を打撃すると同時に、手前の部分がリムにも当たるように振り下ろす(オープンリムショット)。バラード等の静かな曲の場面に「カツ」という音を出したい場合は、スティックの先端をヘッドにつけたままの状態でリムに対してスティックの持つ側を振り下ろす(クローズ リムショット)。リムとヘッドを使った演奏法は、打撃する位置や使用するスティックの位置、握り方、材質など、様々な音の変化要因があるが、それが演奏者ごとの音の個性ともなっている。
ルーディメンツと呼ばれる基礎奏法が存在する。マーチング、ドラムコーで現在も発展してきている。
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[編集] 主な2つの演奏スタイル
オーケストラルドラミング: 管弦楽、吹奏楽等における演奏スタイル。主にコンサートスネアドラムで演奏される。クローズロールを主に用いる。
ルーディメンタルドラミング: マーチング、ドラムコー等における演奏スタイル。主にマーチングスネアドラムで演奏される。ダブルストロークロールを主に用いる。また様々なトリック、ギミックを演奏に取り入れる場合がある。DCI,PASが主催のソロコンテストが毎年行われている。
[編集] 2種類のロール
- ダブルストロークロール(オープンロール)
- 「2つ打ち」片方の手で2回連続してたたく奏法。マーチング、ドラムコーの分野では主にこちらのロールが用いられる(勿論、クローズロールを使う場面もある)。手首の強さが求められるロールである。鍛錬不足だと2打目が弱くなりがちになるため、反発の弱いモノ(座布団など)を用いてロールの訓練を行うケースもある。
- クローズロール
- 「ザー」という波音のような音を奏でる奏法。打面を叩いた時の反発と、手や腕の運動とのバランスを上手く取りながら演奏する。原理が比較的簡易であるオープンロールに比べるとクローズロールの習得は難しく、鍛錬不足だと「ザーッザーッザーッ」のような「汚い波打ち状態」になってしまう。
- 日本人の打楽器奏者でクローズロールを十分な(ほとんど波が打たない)レベルで演奏できる人はほとんど居ないとさえ言われている。
[編集] スネアドラムの印象的な作品
- ラヴェル: ボレロ (ラヴェル)(特に冒頭)
- グスタフ・マーラー: 交響曲第3番(第1楽章)
- 江利チエミ:カモンナ・マイ・ハウス
[編集] 譜面上の略記
S.D.やSnare