タクシードライバー (映画)
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タクシードライバー Taxi Driver |
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監督 | マーティン・スコセッシ |
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製作 | マイケル・フィリップス ジュリア・フィリップス |
脚本 | ポール・シュレイダー |
出演者 | ロバート・デ・ニーロ シビル・シェパード ハーヴェイ・カイテル ジョディ・フォスター |
音楽 | バーナード・ハーマン |
撮影 | マイケル・チャップマン |
配給 | コロムビア映画 |
公開 | ![]() ![]() |
上映時間 | 114分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 スウェーデン語 |
制作費 | 130万$ |
興行収入 | ![]() |
allcinema | |
キネマ旬報DB | |
All Movie Guide | |
IMDb | |
『タクシードライバー』(Taxi Driver)は、1976年公開のアメリカ映画。制作会社はコロムビア映画。監督はマーティン・スコセッシ。脚本はポール・シュレイダー。主演はロバート・デ・ニーロ。第26回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品。また、1994年に米国連邦議会図書館がアメリカ国立フィルム登録簿に新規登録した作品の1つであり、アメリカン・ニュー・シネマの代表作とされる。
大都会ニューヨークを舞台に夜の街をただ当てもなく走り続ける元海兵隊のタクシー運転手が、腐敗しきった現代社会に対する怒りや虚しさ、逃れられない孤独感から徐々に精神を病み、ついには自分の存在を世間に知らしめるため過激な行動に走る姿を描く。都会の空虚を、徹底したリアリズム映像の中に幻想を交えて描いた。
ロバート・デ・ニーロは撮影に際し数週間実際にタクシーの運転手を務め、役の研究を行った。彼の演じる主人公トラヴィス・ビックルは映画史上最高のアンチヒーローとなり、デ・ニーロ自身も70年代半ばから若者にとってのカリスマ的存在となった。また、売春で生計を立てる少女アイリスを演じたジョディ・フォスターは公開当時わずか13才であったことが大きな話題を呼んだ。フォスターは本作で第49回アカデミー助演女優賞にノミネートされ本格的に女優としての第一歩を歩み始めた。
この作品以降「デ・ニーロ&スコセッシ」の組み合わせはハリウッドにおけるゴールデンコンビとなり、10以上の作品で共演。いずれも大ヒットとなった。また、本作が遺作となったバーナード・ハーマンによるサックスを中心に据えた音楽も映画の高評価に一役買った。
目次 |
[編集] キャスト
- トラヴィス・ビックル(Travis Bickle)・・・ロバート・デ・ニーロ
- ベッツィー(Betsy)・・・シビル・シェパード
- アイリス(Iris)・・・ジョディ・フォスター
- スポーツ("Sports"Matthew)・・・ハーヴェイ・カイテル
- ウィザード(Wizard)・・・ピーター・ボイル
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
ニューヨークにある小さなタクシー会社に運転手志望の男が表れた。ベトナム戦争の海兵隊を退役したトラヴィス・ビックルである。深刻な不眠症を患っているため図らずも定職に就くことができず、ただ顧客の命令通り多種多様な人間を目的地まで送り届けるだけ。同僚たちとも馴染めない彼は同僚に守銭奴呼ばわりされ、余暇にすることといってもポルノ映画館に通ったり、深い闇に包まれたマンハッタンを当てもなく運転したりという孤独で退屈な毎日である。夜のマンハッタンで目にするものは、麻薬と性欲に溺れる若者ばかり。その退廃ぶりにトラヴィスは怒りと不満を募らせていく。
ある日、トラヴィスは次期大統領候補であるパランタインの選挙事務所に勤めるベッツィーに一目惚れ。トラヴィスは、選挙運動への参加協力という名目で彼女をデートに誘い出す。徐々に距離を縮める二人であったがこともあろうにトラヴィスは日頃の習性でポルノ映画館にベッツィーを連れて行き彼女を激昂させてしまう。以来ベッツィーをどう宥めても意味を成さずついには彼女が働く選挙事務所に押しかけ「殺してやる」と罵り暴れる始末であった。
トラヴィスの不眠症と精神病は深刻さを増す一方であった。「腐敗しきったこの街を俺が浄化してやる」という思いは幻想から現実味を帯びていくようになった。そんなある日、トラヴィスのタクシーに突如幼い少女が逃げ込んできた。そして一人の男が彼女を連れ去って行った。売春婦の少女を、ポン引きの男が追い掛けたと察知したトラヴィスの堪忍袋の緒は切れた。
数日後トラヴィスは裏のルートから拳銃を仕入れ、射撃の訓練をしながら肉体を鍛え上げた。「俺に用か?俺に向かって話しているんだろう?どうなんだ?」と不敵な笑いを浮かべたと思いきや、怒りに満ちた表情で瞬時に拳銃を突き出せるまでになっていった。
ある夜、知人が経営する食料品店に黒人の強盗が押しかけた。トラヴィスは咄嗟に拳銃を取り出し強盗を射殺。正義を貫いたと信じ込んだ彼の前に偶然にも先日の売春婦が現れた。アイリスと名乗る彼女にトラヴィスは売春に明け暮れる生活を止めるように説得した。その頃からトラヴィスは自分が何らかの使命の下に生まれてきたと感じるようになった。
トラヴィスが最初に怒りの矛先を向けたのは、国を仕切る大統領であった。次期大統領候補であるパランタインの集会に、モヒカンにサングラスのトラヴィスが現れた。パランタインに拳銃を突きつけようとした彼はシークレット・サービスに目撃され人混みの中を逃げ延びた。その夜トラヴィスは、アイリスの「交際相手」であるスポーツのアパートを訪ねた。トラヴィスは正義の名目の元にスポーツや用心棒、アイリスの売春相手を立て続けに射殺。銃弾を受けて重傷を負うも、一人の少女を売春から救った彼は新聞から英雄扱いされる。そして彼はまた何事もなかったかのように夜の街をタクシーで一人彷徨い続けるのであった。
[編集] 受賞・ノミネート
- アカデミー賞 作品賞/主演男優賞/助演女優賞/作曲賞ノミネート
- 第29回カンヌ国際映画祭 パルム・ドール
- 第11回全米批評家協会賞 監督賞/主演男優賞/助演女優賞
- 第2回LA批評家協会賞 男優賞/音楽賞
- 第30回英国アカデミー賞 助演女優賞/作曲賞/新人賞
- 第42回ニューヨーク批評家協会賞 男優賞
- 第19回ブルーリボン賞 外国作品賞
- 第47回キネマ旬報ベスト・テン 委員選出外国語映画部門第1位
[編集] エピソード
- バスの運転手に扮するために実際に運転免許を取得した『ブロンクス物語』、激しい増減量に挑んだ『レイジング・ブル』など、常に徹底した役作りで知られるデ・ニーロだが、終盤のモヒカンは特殊メイクの巨匠ディック・スミスが作成したものである。ハーヴェイ・カイテルの長髪も鬘。
- デ・ニーロが鏡に向かい「俺に用か?」と呟きながら自分の鏡像に銃を向ける場面は、映画史における屈指の名シーンとして名高い。この台詞は脚本には書かれておらず、監督とデ・ニーロが即興で様々な演技試行錯誤した末完成された。
- 監督マーティン・スコセッシは浮気した婦人の殺害を仄めかすタクシーの客として出演している。劇中ではデ・ニーロ演じるトラヴィスが、精神の昂揚しているスコセッシに終始無言で対応しているが、リハーサルの時には逆にデ・ニーロが冗談半分でスコセッシの台詞にアドリブで言い返し、驚いたスコセッシは「頭が真っ白になり、言葉を返せなかった」と後に笑って語っている。
- DVD版では、アイリスに会いに行ったトラビスが隠し持っていた拳銃を用心棒風の男に取り上げられるシーンがカットされている。
- ジョディ・フォスターは本作のデ・ニーロとの共演で演技に開眼したと語る。突然アドリブを入れるなど子役として活躍してきたジョディには刺激的な体験となった。
- 編集スーパーバイザー(Supervising Editor)とクレジットされているマーシャ・ルーカスは当時ジョージ・ルーカスの妻。スティーヴン・スピルバーグもクレジット無しで同じ編集スーパーバイザーとして参加した。
- トラビスとアイリス、たくさんの死体と踏み込んだ警察官たちを真上から写す場面は、空家になったアパートの上階の床をくり抜いて撮影された。
[編集] 関連項目
マーティン・スコセッシ監督作品 |
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