ディマルガリス目
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ディマルガリス目とは、接合菌綱に含まれる菌の一群である。少数の菌寄生菌を含む。
[編集] 特徴
ディマルガリス類とは、接合菌門接合菌綱に属する菌類で、ディマルガリス目(Dimargalitales)を構成する。唯一の科ディマルガリス科には四つの属が含まれ、それぞれに少数の種を含む。
いずれも菌糸体の発達したカビであり、条件的菌寄生菌である。往々に糞から分離され、その上でケカビ目のカビに寄生しているのが観察される。培養下ではCokelomycesを人為的な宿主として二員培養することが行われるが、一般的な培地、特に酵母エキスや麦芽エキスの含まれた培地では弱いながらも生育が可能である。つまり、必ずしも寄生でなければ生育できない訳ではないので条件的寄生菌と言われる。
菌糸体は発達し、比較的均一な菌糸からなる。菌糸には規則的に隔壁が入り、隔壁の中央には穴があって、両側にパイプ状の構造が伸びる。菌寄生菌であり、宿主の菌糸に触れた部分から相手の細胞内へ枝分かれした吸器を侵入させる。
この類の特徴は、独特の無性生殖器官にある。樹枝状等に枝分かれした部分の先端二節が、それぞれ独立した胞子となる。これは、二胞子の分節胞子のうであると見なされている。
有性生殖は、特に分化しない菌糸の接合によって接合胞子のうが形成されることによって行われる。接合胞子のうは球形で、表面はなめらかである。
[編集] 分類
現在知られているのは三属、それに疑問の一属がある。それぞれ胞子形成部とそれを支える菌糸の柄の形状で区別されている。含まれる種はごく少ない。
- ディマルガリス(Dimargaris)は立ち上がった菌糸が樹枝状に分枝して、その先端にこれも樹枝状になった胞子形成部をつける。
- Dispiraは立ち上がった菌糸の先端が数度の枝分かれをして、それらは巻蔓状に曲がって先端がとがって終わる。胞子形成部は球状で、それらの枝の途中に出る。
- ティージェムカビ(Tieghemiomyces)は、基質から立つ短い柄の上に胞子形成部ができて、さらにそこから不実の枝が一本、真っすぐに上に伸びる。
- Spinaliaは、分枝しない胞子柄の先端に着いた球形の頂のうの表面に二胞子の分節胞子のうがつく。