ディーゼル自動車
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ディーゼル自動車(ディーゼルじどうしゃ)とは、ディーゼル機関を動力とする自動車である。主にトラックやバスなどの大型車が多いが、乗用車もある。
ディーゼルエンジンはその経済性の高さから自動車への適用が開発の初期から試みられたが、実際にディーゼル自動車が市販されたのはガソリン自動車よりも遅く1920年代であった。初期のディーゼルエンジンは燃料噴射に圧縮空気を用い、そのためにの圧縮機を備えなければならず大型であったためにディーゼル自動車の開発は困難を極めた。
ガソリン自動車との比較では、そのエンジン構造や燃料の違いから一般的に燃費が良いという利点があるが、排気ガス中に窒素酸化物などの有害物質が多く含まれるという欠点もある。近年、ディーゼル自動車に対する排気ガス規制の強化が行われている。
上記の欠点から、都市が密集しており有害物質の問題が大きい日本国内では、大型車を除き需要は限られている。しかし日本国外、主にヨーロッパでは、ガソリン自動車より二酸化炭素排出量も少ないため低公害車としてのニーズが高く、日本国内ではガソリン自動車がメインなメーカでも販売の約半分がディーゼル自動車になっている。また超低PM排出ディーゼル車・スーパークリーンディーゼル車などの技術革新により音の低減や煤煙、有害な排気ガスは軽減されている。
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[編集] 乗用車の状況
日本ではあまりディーゼルの乗用車は一般的ではなく、かつて新車販売台数のうち5%程度をディーゼル車が占めていたこともあったが(主に四輪駆動のSUV、ミニバンなど)、前述の排気ガス規制の強化および小型ディーゼルエンジン技術の停滞もあり、現在ではほとんど販売されていない。(欧州では約半分がディーゼル)
日本独特の事情としては、住宅密集地が多く、騒音の問題のほか、新車販売数のうち95%以上がAT車であるが、ディーゼルの高トルクに対応したATの場合、燃費が悪化する傾向があることが問題とされる。(欧州ではAT車は2割程度)そのため、さらなる低騒音化、小型ディーゼル車用ATの改良が課題となっている。