トップランディング
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トップランディング(TOP LANDING)は、タイトーが1988年(昭和63年)に発売したアーケードゲームの1つで、3Dポリゴンを採用したフライトシミュレーションゲーム。前作ミッドナイトランディングに続く「ランディングシリーズ」の第2弾に当たる。
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[編集] 概要
このゲームは戦闘機で敵を倒す事が目的ではなく、旅客機の離着陸という設定がフライトシミュレーションという雰囲気を強めている。しかし、フライトシミュレーションとは言うものの、ゲーム性が強く、挙動のリアリティが低いため現実とかけ離れているところが多い。それでも飛行機の効果音や機内アナウンス、ZUNTATAの軽快なBGMと共に大空を飛行する爽快感とリアル感で当時のゲーマーを魅了した。
筐体はミッドナイトランディングの使いまわしではあるが、専用の大型筐体を使用し、飛行状態により筐体が傾斜したり振動する仕組みになっていた。筐体は、1人用で扉が閉まる形でいかにもコックピットといった雰囲気ではあるが、操作は操縦桿とスロットルレバーの2つで行うため、シンプルな構造をしている。また、筐体の後方には筐体内と同じ映像を映し出すモニターが配置され、観客にもフライトの様子が見られるような工夫がされていた。そのため、ゲーム終了後に扉を開けて出ると大勢のギャラリーがプレイを見ていたと言う事もある。
また、このゲームの特徴の1つとして、客室乗務員の機内アナウンスや管制塔からの指示などが画面表示だけでなく実際に声でも知らせてくれる所であろう。後半になると何度も同じ台詞を聞くため、この声がしばらく頭から離れないヘビープレイヤーもいた。
[編集] ゲーム内容
プレイヤーは、タイトーエアライン(TA)という架空の航空会社のパイロットで、自らが操縦する航空機を離着陸させる事を目的とする。ゲームの流れは、最初に離陸ステージあり、その後に8ヶ所の空港に着陸を行う着陸ステージの構成で、合計全9ステージとなる。
離陸の際は、どんなにミスをしてもゲームオーバーになる事は無く必ず1回の着陸を行う事が出来るが、着陸時に、滑走路または滑走路外への「墜落(クラッシュ)」、着陸後の「オーバーラン」、飛行範囲外へ出るまたは着陸後に滑走路外へ出る「コースアウト」によりゲームオーバーとなる。
ゲーム終了後に得点が表示される。離陸、着陸共に(計算方法は違う)満点は100点で最低点が0点、全9ステージの最高得点は900点となるが、まずこの点数を出す事は不可能に近い。逆に全ステージクリア時に最低点の0点にする事もまた難しいゲームであった。
トップランディングでは、「昼間」「夕方」「夜間」の3種類の時間帯設定と「晴れ」「曇り」「雨」の3種類の天気が設定されている。天気は空港選択時にマークで表示されているが、時間帯は空港選択後にしかわからない。この時間帯の設定は、画面上「見やすい」「見にくい」の差はあるもののゲームとしての難易度に差は無かった。
[編集] ゲーム画面
コックピットから見た風景がメインで映し出されるが、画面上部には管制塔からの指示メッセージ等の表示、画面下部には各種計器が表示されていた(どちらかといえば自動車の運転席に近く、全機種とも同一のレイアウトであった)。ゲームの前半は風景を見ながらプレイしても問題無い位の難易度であるが、後半は殆ど計器類ばかりを見ながらのプレイで風景を見る余裕など無いくらいの難易度となっている。
[編集] 離陸ステージ
離陸は決められた制限時間内にクリアすることが要求される。画面に表示される指示に従い飛行機を滑走路へと誘導し、最終的に「TAKE OFF」が表示されるとクリアとなる。
滑走路外へのはみ出し、オーバーラン、離陸後の墜落、タイムオーバーにより離陸失敗となるが次の着陸ステージへ進む事は出来る。離陸に失敗すると点数が0点となってしまう。
[編集] 着陸ステージ
最初に着陸する空港を操縦桿とスタートボタンで選択する。選択後に状況説明(空港名、高度、天気、使用旅客機)が表示され「Ready Go!」と共に着陸がスタートする。
ステージ開始時には機体は滑走路の真正面にあり、空港によっても異なるがおおむね高度2000~2500m、距離10000m前後の位置にある。操縦桿で機体の姿勢を調整し、機体の滑走路との相対位置を計器で確認しながら高度および滑走路との位置を正しくあわせ、スロットルレバーで速度を調整しつつ滑走路への着陸を目指す。(ただしスロットルレバーは着陸ステージではほとんど意味をなしておらず、スロットルレバーを切った滑空状態でも着陸が可能となっている。)複数の平行滑走路のある空港ではゲーム毎に着陸する滑走路が変わるが、着陸対象の滑走路は画面上で強調表示されている。
接地後は一切の操作が出来ず、減速していくのをただ見守るのみである。滑走路中心線からの多少のずれは勝手に補正されるが、機体が滑走路に対してあまりにも横に向いていた場合は、着陸後に滑走路を横切りコースアウトしてしまう。
正しく着陸出来た場合には客室乗務員の機内アナウンスが始まり、(実際とは異なり)滑走路上に静止すると共に「LANDING」の文字が表示されてステージクリアとなる。オーバーランないしその寸前となるケースの場合は機内アナウンスが始まらず、固唾を呑んで見守る羽目となる演出?がある。
ステージが進むに連れ風が強くなり着陸を難しくさせる。後半は台風クラスの強風となって、さらに着陸寸前に風向が反転するという状況もあるため、非常に難しく、理不尽さも感じさせる設定となっている。なお、最初のステージは無風状態のため、操縦桿を左右に倒さなくても、上下に操作するだけで着陸可能となっている。
ステージが進むと旅客機も「小型旅客機」「中型旅客機」「大型旅客機」と変化する。機体が大きくなるにつれて巡航速度が上がってオーバーランの危険性が増すほか、操作性も徐々に悪くなり難易度が上がる。
ステージの内訳は以下の通り。
- ステージ1~3
- 小型旅客機。ステージ1は無風。ステージ2は風速2m、ステージ3は風速3m固定で横風の変化は無い。
- ステージ4~6
- 中型旅客機。横風は風速4mから6m程度。風向きの変化はステージ中3~4回。
- ステージ7~8
- 大型旅客機。横風は初期値は8m程度だが風向きの変化により最大で15mにまで上がることがある。風向きの変化はステージ中5~6回。
ステージBGMも上記の内訳で変更される。
着陸後は、飛行経路を上からと横から見たフライトパスが表示され、その中で減点対象となる行為があった場合にその内容が表示される。点数は100点からの減点方式で、減点対象は「蛇行」「急降下」「急上昇」「接地点」「機首上げ」「着陸速度」の6種類。蛇行、急上昇、急降下の3つは1回に付き10点の減点で、機首上げ、接地点はタッチダウンの時に1回だけ(最大30点)減点される。
[編集] 着陸空港
空港により着陸までの距離や高度に違いがあるために難易度が異なった。そのため、難易度が高い空港を最初の方に選択するのが全空港攻略の近道だった。日本の「東京」「大阪」「福岡」は難易度が低めで、「パリ」「サンフランシスコ」「シドニー」は難易度が高めの設定だった。
- 東京 - 東京国際空港(羽田)
- 大阪 - 大阪国際空港(伊丹)
- 福岡 - 福岡空港
- リオデジャネイロ - リオデジャネイロ国際空港
- ワシントンD.C. - ワシントン・ダレス国際空港
- サンフランシスコ - サンフランシスコ国際空港
- パリ - シャルル・ド・ゴール空港
- シドニー - シドニー国際空港
[編集] エンディング
全8空港の着陸を成功させるとエンディングが見られる。これは、スタッフロールと共に最後にプレイした内容のリピートを夕方の晴れバージョンで行うが、殆どの場合は着陸までは見られずに途中で消えていた。
エンディングのBGMはモーツァルトの名曲「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」をZUNTATAがアレンジしたものを使用していた。
[編集] 関連項目
- ミッドナイトランディング(1987年)
- エアインフェルノ(1990年)
- ランディングギア(1996年)
- ランディングハイジャパン(1999年)