ハッセルブラッド
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ハッセルブラッド(Hasselblad)は、スウェーデンの6×6判カメラのメーカーである。大型カメラ全盛の時代に、世界で初めて携帯便利なレンズ交換型6×6判一眼レフカメラを発表した。
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[編集] 歴史
- 1841年創立のスウェーデンのイェーテボリ(Gothenburg)在の光学器械メーカーF.W.Hasselblad & Co.,(1871年Fritz Victor氏は引退:同社は、Hugo Svensson & Co.,製造のカメラを販売して著名になる)が元祖。
- 1937年に、その創立者の孫で、自然写真撮影家・航空写真撮影家・自然研究家(Naturalist)のViktor Hasselblad(1906年3月8日 - 1978年8月5日)が、新生"Viktor Hasselblad Co.,"に改組し、1942年航空用HK7型7×9cm判レンズシャッターカメラを専門家用に発売。
- 1945年に、民生用の6×6判フォーカルプレーンシャッターカメラを一般に製造販売、1948年10月31日アメリカ市場で、コダック社の交換レンズをラインアップしたハッセルブラッド1600F型の大量生産を開始し、国際市場に登場させ、世界的に最高級6×6判カメラの地位を不動のものにする。
[編集] 代理店
現在、日本での輸入代理店はシュリロ・トレーディングカンパニーである。
[編集] ボディ
[編集] 9×12判
Hasselblad Svenska Expres(1895-1910)
[編集] 6×6判
[編集] 1600/1000シリーズ
1948年発売のフォーカルプレーンシャッター内蔵の汎用性の高いボディと、コダック社の協力による交換レンズ群をセットで発売。高速シャッター1/1600sec.を装備した1600型発売の後、マイナーチェンジされた1/1000sec.装備の1000型に1951年頃からスペックダウンして普及化を図った。
この機種のフォーカルプレーンシャッターは、堅牢で、操作性も良く、交換レンズは、コダックのエクターを基調とし、俗に「ホットレンズ」等と呼ばれるコダックのエクターの希元素硝子等使用の高級レンズを装着でき、且つ、世界の無数のレンズ会社から供給される各種の交換レンズが現在も使用可能で汎用性の高いボディ(機種)である。
[編集] 500シリーズ
- 501CM - フルマニュアル機。入門機・サブ機としての位置付け。
- 503CW - ストロボ自動調光機構内蔵。ワインダー対応。
- 555ELD - モータードライブ内蔵。ストロボ自動調光機構内蔵。
[編集] 2000シリーズ
フォーカルプレーンシャッターを内蔵したボディ。レンズシャッター内蔵レンズ(一部使用制限があるものもあるが)、およびレンズシャッターを内蔵していないレンズが使用できる。このため、1600/1000シリーズ同様、世界の無数のレンズ会社から供給される各種のレンズが使用可能な汎用度の高い機種である。
[編集] 200シリーズ
2000シリーズの後継。
- 202FA - 露出計、ストロボ自動調光機構内蔵。
- 203FE - 自動露出、オートブラケティング(ワインダー使用時)、ストロボ撮影が可能。
- 205FCC - スポット測光、絞り優先AE内蔵。4種類の撮影モード、オートブラケティング(ワインダー使用時)を使用可。シャッタースピードは34分~1/2000秒まで持つ。
[編集] 広角専用およびテクニカルカメラ
- 903SWC - 超広角撮影専用ボディ。レンズとしてカール・ツァイスビオゴン38mm F4.5が固定されている。専用のビューファインダーが付属。また特注品としてモータードライブを組み込んだモデル903SWCEが存在する。
- FlexBody - ティルト及びシフト機構内蔵。通常のレンズシャッター付レンズが使用可能。
- ArcBody - コンパクトな中判テクニカルカメラ。シフト及びティルト機構内蔵。専用のローデンストックレンズのみ使用可。
[編集] 6×6判のハッセルブラッドの使い方の留意点
6×6判ハッセルブラッドを使うに当たって儀式とも呼べる手順が存在する。この手順を守らないと最悪の場合故障してしまう。
- 必ず、チャージ(巻き上げ)してから、レンズ交換・シャッター速度変更等の基本操作を行う。チャージしない(巻き上げない)まま、ボディからレンズを外すと、装着できなくなる。その時は、レンズ後部の巻上げ連動接点を一円玉のような軟らかい物性のもので回し、溝が水平になるようにし、且つ、ボディ側接点の水平化のため、ボディーのクランクを「巻き上げ」(チャージし)て、巻き上げノブを回して水平の位置になるようにする。
- 引き蓋(遮光用板)は、撮影時は勿論、非撮影時にも外しておく。遮光のためのモルトが劣化し易く、光線漏れを起こすことがある。マガジンを保管する際にも、引き蓋は「引き抜いておいて」格納すること。特に「予備用のマガジン」は、そのように保管しておかないと、「光線引き」の故障を起こす。
- 毎日のように常時カメラを使用しない方は、光学器械に無用のテンション(負荷)を掛けっぱなしにしないように、保管の際は、チャージ(巻き上げ)を行わないで、レンズシャッターもシャッターを切ったまま(ブラックアウトの状態)にして保管する。
- 交換レンズは、こまめにシャッターを切って使用する。レンズシャッターの機構に無駄な負荷(テンション)をかけたまま保管することは避ける。(1600F/1000F/2000では不必要)
[編集] 645判
日本の富士フイルムと協力して完全電子制御式のレンズ交換型レンズシャッター一眼レフを製造している。
- フジフィルム・ハッセルブラッドGX645AF
- ハッセルブラッドH1
[編集] 135判フルパノラマ(24×65mm)
富士フイルムより、TXシリーズをOEM供給によりX-Panシリーズとして導入、販売している。
[編集] レンズ
航空用HK7型7×9cm判レンズシャッターカメラには、Zeiss Biotessar f2,8/135mm,Meyer Tele-Megor f5,5/250mm,Schneider Tele-Xenar f4,5/240mm,等が供給された。 1600/1000シリーズのViktor Hasselblad用交換レンズは、当初、コダック社のKodak Ektar f2,8/80mm,Ektar f3,5/135mm,Ektar f5,6/254mm,Kodak Wide-field Ektar f6,3/55mm 等のコダック社のレンズが基本セットで、コダック社との連携が緊密であったが、その後、1952年頃になってカール・ツァイスから供給されることになった。 現在は、レンズに主にカール・ツァイスが用いられ、その他にシュナイダー(主としてズームレンズ系・ワイド系)やローデンストックなどの世界でもトップクラスの品が使われている。レンズシャッターを内蔵するものとしないもの、特殊系に分けられ、その内レンズシャッターを内蔵しないものはそのおかげで大口径化と最短撮影距離の短縮が可能となっている。
[編集] 関連項目
- シュリロ・トレーディングカンパニー