ハロウィン (映画)
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ハロウィン Halloween |
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監督 | ジョン・カーペンター |
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製作 | アーウィン・ヤブランス |
脚本 | ジョン・カーペンター デブラ・ヒル |
出演者 | ドナルド・プレザンス ジェイミー・リー・カーティス |
音楽 | ジョン・カーペンター |
撮影 | ディーン・カンディ |
編集 | チャールズ・バーンスタイン トミー・リー・ウォレス |
公開 | 1978年10月25日 ![]() |
上映時間 | 91分 |
製作国 | アメリカ |
言語 | 英語 |
制作費 | $325,000 |
次作 | ブギーマン |
allcinema | |
IMDb | |
『ハロウィン』は、アメリカ映画で、ジョン・カーペンター監督の出世作とも呼べるホラー映画。この項では1作目と、8作目まで継続中のシリーズを同時に記述する。
目次 |
[編集] 概要
現在では、代表的なスプラッター映画でもあるこの映画は、1978年に第1作が公開され、映画製作にかかった費用は低予算(32万5000ドル)ながらも、大ヒットを記録している。アメリカ国内の興行収入だけでも4700万ドルを記録した。日本での公開は1979年8月。以降、最も人気のあるホラー映画の1つとなり、2002年までに8の続編が作られている。また、9作目「Halloween 9(仮題)」も2007年製作予定である。監督はロブ・ゾンビ。2007年10月19日公開予定。[1]
この映画において最も恐怖を煽らす演出をしているのは使用されている音楽である。特に第1作から使用されているのテーマソング「HALLOWEEN THE ME」は、最新の第8作に至るまで、毎回アレンジを重ねて使用されている。これはカーペンターの作曲であり、他の多くの監督作品でもカーペンターは音楽を担当しているなど才能を発揮させている。
第1作から第6作までの作品は、白いゴム製のハロウィンマスクを被りボロボロの紺色の作業つなぎをまとったという特徴的な殺人鬼(サイコキラー)ブギーマンことマイケル・マイヤーズと精神科医のサム・ルーミス医師が主人公である。またヒロインのローリー・ストロードや娘のジェイミー・ロイドも主人公といってもよい。1995年の第6作製作後、ルーミス医師を演じていたドナルド・プレザンスが急逝。第7作以降は、ブギーマンが主な主人公となっている。
シリーズを通じて一貫した設定を保っていることは特徴の1つである。1作目に登場したマイヤーズ家と、特に繋がりの濃いローリーの存在との関係は最新作に至るまで描写されている(3作目に関しては無関係。後述)。シリーズがシフトチェンジを図ったのが7作目である。これまで80年代、また90年代のホラー映画に多く見受けられる「若者が惨殺されるような学園もの」とは一線を画していたが、7作目『ハロウィンH2O』では私立高校を舞台にするなど、特に血縁関係にある人間を狙っていたブギーマンが無関係の若者達をも狙うようになった。ただし、6作目『ハロウィン6 最後の戦い』ではローリーの娘であるジェイミーが養子縁組した先の一家が狙われるなど、傾向は見られていた。8作目においても、物語の舞台がかつてのマイヤーズ家が住んでいた住居というだけで、遊び半分に訪れた若者達がブギーマンに狙われるという展開になっている。しかしながら7作目は『ハロウィン』誕生20周年(1998年製作)ということもあってか、2作目以降登場しなかったローリーが再登場するなど注目を集めたのは事実で、彼女は8作目にも引き続いて登場した。
『ハロウィン』は、同じホラー映画として、『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』と並べて評価される事が多い作品であり、これら2大シリーズの原点となったのもこのハロウィンシリーズである。ブギーマンは『13日の金曜日』の殺人鬼ジェイソン・ボーヒーズや『エルム街の悪夢』の殺人鬼フレディ・クルーガーとは別の恐怖を与える存在である事が、比較される要因のひとつとなっていると思われる。これらの3作は、共に1980年代に人気を博したスプラッター映画といえる。3作を合わせて「アメリカ3大ホラー」(もしくは「世界3大ホラー」)とも称される。『フレディVSジェイソン』の製作後、いわゆる対決ものが流行したが、ブギーマンは何度か噂になったものの実現には至っていない。噂の1つが人気シリーズ『ヘルレイザー』に登場するピンヘッドとの対決である。製作のディメンションスタジオは前向きに検討していたが、インターネットで調査(投票)した結果、否定的な意見が多かったために断念している。
シリーズを通じてローリー・ストロードを演じるジェイミー・リー・カーティスは1作目から好演し、ホラーファンに支持された。特にブギーマンを相手にした際の絶叫シーンには定評があり、絶叫クイーン(スクリーム・クイーン)と称される。絶叫クイーンとして他には『サイコ』のジャネット・リーなどが挙げられるが、カーティスの実の母親である。前述の通り、カーティスは2作目以降長らく出演していなかったが、7作目で久しぶりにローリーを演じて話題を呼んだ。
最も異色作と称されるの3作目の『ハロウィンIII』である。この作品にはマイケル・マイヤーズは登場せず、ハロウィンのマスクがテーマのホラーになっている。路線変更を狙ったものだったが興行的には失敗に終わり、4作目でマイケル・マイヤーズを蘇らせる形でシリーズの路線も固まった。しかし3作目にはジェイミー・リー・カーティスがカメオ出演したり、劇中のテレビ画面に1作目のシーンが写されるなどファンを意識して製作されたことが分かる。
[編集] シリーズのあらすじ
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
ストーリーの舞台となっているのは主に、アメリカのイリノイ州ハドンフィールドであり、事件は主に10月31日のハロウィンか、その前日あたりに起こっている。
この作品のレギュラーメンバーとなっているのは、殺人鬼マイケル(ブギーマン)と、その宿敵である精神科医ルーミス医師の二人だが、第3作のみ他の作品のストーリーとは異なる外伝作ともいえるもので、ルーミス医師、マイケルすらも登場していない。また、第6作製作後、ルーミス医師を演じていたドナルド·プレゼンスが急逝した為、第7作以降のストーリーでは、ルーミス医師は病で既にこの世を去っている人物という事になっている。
マイケルは、基本的に無差別殺人をしているようにも見えるが、実は殺人事件を起こしているマイケルには、最終的に自分と血縁関係にある人間(あるいは自分の起こした事件に関与する人間)を殺すという共通の動機があった。
第1作から登場している女性ローリー・ストロードは、第2作において、彼女とマイケルが血を分けた実の兄妹である事が発覚している。第4作では設定上、ローリーは交通事故死という事になっているが、第7作でローリーは、事故死を装いケリー·テイトという別人として人生を過ごしているという設定で再登場している。
第4作、第5作では、ローリーの遺児であるジェイミーがマイケルに狙われている。第6作では行方不明になっていたジェイミーが第1作に登場していたウィン医師の率いる邪宗教に復活させられたマイケルに殺害され、更には、彼女の出産した赤ん坊のスティーブンが狙われており、第1作でマイケルの殺人事件に巻き込まれた少年、トミーが再登場し、ルーミス医師に協力している。
第7作では、ローリーの息子であるジョンが狙われ、最終的にローリーはマイケルと対決。更に最新の第8作でローリーは、精神病院で患者としてマイケルが来るのを待ち構えていたが、反撃によって致命傷を負い転落死している。
[編集] ブギーマン(マイケル・マイヤーズ)に関する年表
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
- マイケル、ハロウィンの夜に男友達を家に誘い込んでいた実姉ジュディスをキッチンナイフで刺殺。異常者として精神病院の閉鎖病棟に措置入院させられる(第1作・被害者1人)。
- 1978年10月31日(21歳)
- マイケル、精神病院を脱走。作業員を殺害して作業着を奪い取り、白いゴム製のハロウィンマスクを被り、ハドンフィールドで殺人を起こす(第1作・被害者4人)。学生のローリーが狙われるが、脱走を知り追って来たルーミス医師がリボルバーの全弾(6発)を撃ち込む。その上2階から転落。死んだかと思われたが、生きていた。
- 1978年10月31日(21歳)
- ローリーの運び込まれた病院内にマイケルが侵入。自分を見た人間達を次々と殺害(第2作・被害者10人)。この事件時に、ローリーがマイケルの実の妹である事が発覚する。ルーミス医師の起こしたガス爆発によって焼死したかに思われたが完全には死んでおらず、ルーミス医師も辛くも生き延びている。
- 10年間昏睡状態に陥っていたが、救急車での護送中に姪のジェイミーが生存している事を知り覚醒。救急隊員を殺害して、ハドンフィールドへ向かう(第4作・被害者6人)。
- 1988年10月31日(31歳)
- ローリーの遺児であるジェイミーがマイケルに狙われるが、ルーミス医師によって阻止され、マイケルも警官隊の集中砲火を浴びて重傷となるが逃げ延びる。この事件直後、ジェイミーが養母を刺してしまい、これをきっかけにジェイミーは失語症になってしまう(第4作・被害者特定不能)。
- 1989年10月30日(32歳)
- 山岳住民によって、1年間昏睡状態のまま看護されていたが、覚醒したのと同時に山岳住民を殺害。ハドンフィールドへ向かい、ジェイミーを狙う(第5作・被害者1人)。
- 1989年10月31日(32歳)
- 失語症になったジェイミーが再びマイケルに狙われるが、ルーミス医師によって阻止される。マイケルは警察によって捕獲されたが、黒装束の男(ウィン医師)によって、マイケルとジェイミーは、爆発した警察署から姿を消す(実際は、ウィン医師率いるドルイド教信者達によって連れ去られた)(第5作・被害者特定不能)。
- 1994年10月30日(37歳)
- マイケルを匿いドルイド教を率いるウィン医師によって、妊娠させられたジェイミーが、子供スティーブン(後に拾ったトミーが命名)を出産。その後、ジェイミーは助産婦であるメアリーの手引きによって、ダニーを連れて邪宗教の集団の拠点から脱出。ルーミスに助けを求め、ハドンフィールドへ向かう(第6作・被害者2人)。
- 1994年(37歳)
- ウィン医師の邪宗教が行った肉親への殺意を駆り立てる「イバラの呪い」によって、マイケルが復活。ハドンフィールドから離れた無人の農場にてジェイミーは殺害されてしまうが、彼女が殺害される直前、洗面所に隠したスティーブンだけは、偶然にもマイケルの最初の殺人劇を生き延びたトミー・ドイルによって、無事に保護された(第6作・被害者1人)。
- 1994年(37歳)
- ハドンフィールドにて、スティーブンを狙ったマイケルが殺人を繰り返すが、引退したルーミス元医師やトミーによって阻止される(第6作・被害者特定不能)。しかしルーミス元医師が遺体確認を行った時は、既にマイケルの姿は無く、代わりにマスクを被されていたウィン医師が横たわっていた。その直後に、ウィン医師はルーミス元医師に不吉な言葉を残し死亡。ルーミス元医師の手の甲には、マイケルの手の甲にあった呪印があった。
- 1995年(38歳)
- ルーミス医師、病気で急逝する(演じたドナルド・プレザンスも、奇しくも同年に急逝)。
- ルーミス医師の世話をしていた看護婦マリオンの家と、その隣人の家が、マイケルによる襲撃を受け、殺害される(第7作・被害者3人)。マイケルの目的は、おそらくルーミスへの復讐だったと思われる。
- 1998年10月31日(41歳)
- ローリー(ケリー·テイト)が校長を務めるヒルクレスト私立高校に、ローリーを狙ったマイケルが現れる(第7作・被害者4人)。ローリーによって首を斬首され死亡したかと思われたが、斬首されたのは喉を潰され声の出ない状態の救急隊員であり、本物のマイケルには何処かへと逃げられる。この事件が発生するまで、一般でマイケルは死亡扱いされていた。
- 2001年(44歳)
- ローリーが送り込まれた精神病院にマイケルが侵入。病院内の警備員を殺害し、狙われていたローリーも一度はマイケルを罠にかけて追い詰めるが、マイケルの反撃によって転落死する(第8作・被害者3人)。
- 2001年10月31日(44歳)
- 事業家フレディの企画したハドンフィールドのマイケルの生家内でのイベントに参加した大学生達が、地下に潜んでいたマイケルに襲われる(第8作・被害者6人)。幼い頃にマイケルが虐待を受けていた事が発覚している(フレディのやらせの可能性も高い)。火事によって焼死したと思われたが、遺体の運ばれた死体安置所で覚醒している。
[編集] シリーズの主なキャスト
()内の数字は登場するシリーズ
- ジェイミー・リー・カーティス - ローリー・ストロード,ケリー・テイト(1,2,7,8)
- ドナルド・プレザンス - サム・ルーミス医師 (1,2,4,5,6)
- ダニエル・ハリス - ジェイミー・ロイド (4,5) ※ローリーの娘
- エリー・コーネル - レイチェル・カラザース (4,5) ※ストロード家の親戚
- ポール・ラッド - トミー・ドイル (6) ※かつてのストロード家の知り合い
- ジョシュ・ハートネット - ジョン・テイト (7) ※ローリーの息子
[編集] シリーズ作品
- 『ハロウィン』1978年
- 『ブギーマン(HALLOWEENⅡ)』1981年
- 『ハロウィン3』1983年
- 『ハロウィン4 ブギーマン復活』1988年
- 『ハロウィン5 ブギーマン逆襲』1989年
- 『ハロウィン6 最後の戦い』1995年
- 『ハロウィンH2O』1998年
- 『ハロウィン レザレクション』2002年
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Halloween - Internet Movie Database
- Halloween 公式サイト(英語)
- ジョン・カーペンター公式サイト(英語)
- Halloween Flash.com(英語) - ファンサイト
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