バター
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バター(英語 butter)とは、乳を原料とした食用油脂で乳製品のひとつである。牛乳を原料とするのが一般的。乳中の脂肪分を凝固させて作り、常温ではわずかに黄色味をおびた白色の固体である。100gのバターを作るために原料乳は約4.8リットル必要とされる。
近年日本では低脂肪乳が好まれるようになり、副産物の乳脂肪は生産過剰気味と言われている。
日本の漢字では牛酪と書くが、中国語では黄油または牛油という表記が普通である。
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[編集] 種類
食塩を添加した有塩バターと添加しない無塩バターがある。また、原料乳を乳酸発酵させてから作る発酵バターと、そのまま作る無発酵バターとがある。
日本で市販されているバターは「無発酵、有塩」がほとんどであり、調味料のほか、パンなどのスプレッド、ソースの材料、ソテーの焼き油や炒め油など、幅広く使われる。無塩バターは洋菓子によく使われる。トーストやホットケーキなどに使うのも有塩のものが多いが、塩分を控えている人などや、海外の例では無塩のものを使う場合もある。
そのほか、バターの中にレーズンを入れたレーズンバターもある。クラッカーの上などにそのかたまりを乗せて食べる場合などに利用される。パセリバター、レモンバター、ガーリックバターなどもあり、オードブルのほかにステーキやカレーライスなどに添えられる。
ラーメンに使われることもある。これはラードの代わりにバターを使ったことがきっかけ。稀に香港や台湾の「ラードごはん」のように、米飯にバターと醤油をまぶして食べる人もいる。
[編集] 類似のもの
現在では、植物油など他の材料から作られるマーガリンの方がよく利用されている。マーガリンはバターの安価な代替品だが、バターは冷蔵庫に入れておくと固くなってパンに塗りにくく、マーガリンはそれを改善した点でも利用価値がある。しかし風味の点でマーガリンはバターに及ばない。マーガリンの風味は香料であることが多いので熱を加えると飛んでしまうが、バターは熱を加えることによってかえって風味が増す。他にパンや洋菓子に加えるための専用のものとして、ショートニングがある。尚、近年マーガリン等に含まれるトランス脂肪酸が健康被害を与える可能性が指摘されており、その使用が制限されている地域もある。
口語ではマーガリンを指してバターと呼ぶこともあるが誤用である。また、バターを含まないが、ピーナッツバターのように用途が似ていたり、バターピーナッツなど実際にはパーム油などが使われるが、バターに似た風味を持たせた食品に名前が使われることもある。
[編集] 製造方法
- 手作りの場合
[編集] 歴史
バターが日本に広まってきたのは、明治維新の後からである。 世界では、かなり昔からバターを作れることがわかっていたので、いつから使われてきたのかは、わかっていない。ギリシャ時代は、髪や体に塗る薬、化粧品、潤滑油として、ごく一部で使われていたらしい。
[編集] 性質
- 冷蔵庫等で冷やすと、バターナイフで切るのに多少力が要るほど固くなる。
- 室温(20℃程度)にすると、マヨネーズ程度の柔らかさになる。パンに塗ったり、洋菓子を作る際にはこの状態がよく使われる。
- 30℃前後で融解する。液体になった状態を「溶かしバター」と言う。
- 溶かしバターを凝固しない温度で放置すると、乳脂肪以外のタンパク質など(乳漿)が底に沈む。上澄みは透き通った黄色っぽい色をしており、これを「澄ましバター」と言う。通常のバターでは強すぎる繊細な風味が必要な場合に使われる。
[編集] 関連項目