ビデオ・アート
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ビデオ・アートは、映像と音声を使った芸術ジャンルのひとつである。もっとも一般的に使われる(た)のはビデオテープであり、これによってフィルムを使う実験映画と区別される。1960年代から1970年代にかけてピークを迎え、現在まで続いている。
ビデオ・アートと劇映画のもっとも異なる点は、ビデオ・アートが観客を楽しませることを目的としていないことである。そのため、作品によっては観客に忍耐を強いるものがある。
[編集] 歴史
最初のビデオ・アート作品は、1963年、ナム・ジュン・パイクがドイツのヴッパータールのパルナス画廊で展示した、テレビに配線替えや分解などの手を加え画像を歪めたり白黒反転させたりした13台のテレビ受像機によるインスタレーションである。1965年にはニューヨークで、磁石で受像機内の電子信号に干渉しさまざまなパターンや歪んだ映像を作る『磁石テレビ』を発表している。パイクはビデオ・アートの開拓者であるとともに、このジャンルにおける巨大な存在であり続けた。1964年、ソニーが世界初の家庭用VTR(CV-2000、ポータパックの愛称で呼ばれた)を発売。1966年には世界初のポータブルVTR(DVC-2400)を発売。これを機に、実験映画、コンセプチュアル・アート、パフォーマンス・アートのアーティストたちが続々とビデオ制作を試みはじめた。
[編集] アーティスト
アメリカではビル・ヴィオラが特によく知られ、ほかにビト・アコンシ、ジョン・バルデッサリ、ジョーン・ジョナス、ダン・グレアム、ピーター・キャンパス、ウィリアム・ウェッグマン、マーサ・ロスラーらがいる。スティーナ・ヴァスルカ、ウッディ・ヴァスルカ夫妻のようなCGを使うアーティストもいる。ヨーロッパ勢は、ポーランドのヴォイチェフ・ブルシェヴスキ、ドイツのウォルフ・カーレン、オーストリアのピーター・ウェイベル、イギリスのデイビッド・ホールなど。