ホテル級原子力潜水艦
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ホテル級原子力潜水艦(-きゅうげんしりょくせんすいかん Hotel class submarine、проект 658,658М,658С,658Т,658У,701)はソヴィエト海軍が運用していた戦略ミサイル潜水艦のうち、原子炉を搭載した最初のものである。1960年から1962年にかけて8隻が就役した。
搭載された弾道ミサイルR-13は、射程が短く一旦浮上しなければミサイルを発射できないという欠点を持っていた。それでもこの艦級の就役によってソヴィエトの潜水艦は原子力を搭載することにより、ミサイル発射時まで位置を特定されないという高い秘匿性を有する核を手に入れることができた。前述の欠点を解消すべく、1960年代に全艦が水中発射可能なR-21(SS-N-5 Sark)に換装した第658M号計画艦(ホテルII型)への改造を受けた。なおK-145は、第701号計画により新型弾道ミサイルの実験艦に改造された(ホテルIII型)。K-145は、1970年代末には、第941号計画(タイフーン型)戦略原潜用のR-39(SS-N-20)の発射実験を行った。この他、1970年代には、K-55、K-178の2隻が第658T計画により、弾道ミサイルを撤去して攻撃原潜となった。K-19、K-40の2隻は、通信特務潜水艦に改造され、艦番号をKS-19、KS-40と改めた。
本型は、ソ連海軍初の弾道ミサイル原潜としては意義深い艦で有るが、搭載ミサイルが3基と少なく、艦尾に魚雷発射管を装備しているなどといった旧態依然としたところも有り、多分に試験艦的性格が強かった。ソ連海軍が本格的な戦略弾道ミサイル原潜を手に入れるのは、次世代のヤンキー級原子力潜水艦の登場を待たなければならなかった。
本艦級には事故が多発したことで悪名の高いK-19がある。
[編集] 諸元(ホテルI級)
- 全長:114m
- 全幅:9.2m
- 喫水:7m
- 水上排水量:4,040t
- 水中排水量:5,300t
- 速力:水上15kt 水中26kt
- 乗員:104名
- 武装
- 533mm魚雷発射管×4、400mm魚雷発射管×4、魚雷×16
- 潜水艦発射弾道ミサイルR-13×3(註:ホテルIIは、R-21×3)
カテゴリ: ソ連・ロシアの潜水艦 | 原子力潜水艦