ボウリング
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ボウリング(bowling)とは、プレイヤーに対して頂点を向けて正三角形に並べられた、10本のピンと呼ばれる棒をめがけてボールを転がし、ピンを倒すスポーツ。日本での漢字表記は十柱戯。ワールドゲームズ参加競技、アジア競技大会の正式競技種目、国民体育大会の競技である。
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[編集] 概要
1ゲームは10のフレームから構成される。第1~9の各フレームは2回投球できる。1投目にストライク(1投で10本のピン全てを倒すこと)が出た場合はその1投のみで次のフレームに進み、それ以外の場合は残ったピンをそのままにして2回目の投球を行う。第10フレームは、ストライクもしくはスペアが出た場合には計3回の投球を、それ以外の場合は2回の投球を行い、ゲーム終了となる。
通常、ボウリングを行うための専用施設であるボウリング場で行われる。ボウリング場は中にいくつものレーンがあり、ピンを自動的に並べる機械やボールをプレイヤーの元に送り返してくる仕組みなどを備えているのが普通である。様々な重さのボールの他に、専用の靴なども貸し出している。
[編集] 歴史
紀元前5000年頃には古代エジプトにおいて、古墳から木でできたボールとピンが発掘された事から、その頃からボウリングに似た競技があったといわれる。近代のボウリングは、中世ドイツにおいてマルティン・ルターが悪魔払いの宗教儀式を基に作成した。彼は、宗教家としてだけではなく、まちまちだったピンの数を9本に統一した他、現在のボウリングの基本的なルールを統一した功労者でもあった。その結果、ボウリングは特に宗教家たちの間で人気のスポーツとして栄えた。そして、17世紀に多数の清教徒たちが移住した事で、アメリカ合衆国でもボウリングが盛んになった。しかし、ボウリングを対象にした賭け事が絶えなかったため、当時のアメリカ政府は「9本のピンをボールで倒すゲームはしていけない」という決まりを出した。そこでピンを10本に増やし、法律の穴を抜ける事が可能になった。そして現在、そのルールが今のボウリングのルールとなっていったのである。
日本では1861年6月22日に、長崎に初めてのボウリング場「インターナショナル・ボウリング・サロン」が開設された。これがきっかけで、現在の6月22日はボウリングの日になっている。また、その日限定で割引サービス等をやっているボウリング場もある。1970年前後に、スター・プレイヤーである須田開代子・中山律子らの出現などがきっかけとなって、当時は数百メートルごとにボウリング場があったほどボウリング・ブームと呼ばれる流行ぶりを示した。このブームは1973年の石油危機により一旦終息するが、1979年頃から人気が再燃し、現在に至っている。
また、坂本龍馬は大のボウリング好きで、日本人最初のボウラーとされている[要出典]。
現在もスポーツ人口が増えており、体操と並んで国民に最も馴染みの深いスポーツの1つである。また、スポーツ競技と定義されているが、男女問わず、手軽な集団レクリエーション・ゲームとしても浸透しており、あまり経験の無い人も参加しやすい性質を持つと言える。
- 1861年(文久元年) 長崎の大浦居留地に初めてのボウリング場がオープン。地元新聞に広告が掲載される。
- 1952年(昭和27年) 東京・青山に初の民間ボウリング場がオープンしたが、当時ボウリングはまだ珍しいもので、上流階級の人たちだけが出入りする特別な場所だった。
- 1955年(昭和30年) 現在の全日本ボウリング協会の前身「日本ボウリング連盟」設立。初代会長は、安西正夫
- 1961年(昭和36年) 日本がボウリングの世界組織であるFIQに加盟する。ここから日本のボウリング界は世界へと道を開いてゆく。また、この頃からボウリングの機械化が進み始める。それまでは、ピンボーイと呼ばれる人が倒れたピンをもとどおりにするという人力に頼ったものだった。
- 1964年(昭和39年) 現在の全日本ボウリング協会JBC (Japan Bowling Congress) 設立。
- 1970年の終わりごろ、スコアをボウラーが計算しなくても済む、計算機能を持った機械が実用化され始める。この頃から、日本ではボウリングのブームがおきはじめる。当時ボウリング場は全国に3880センターを超えていたが、現在は約1000センターまでに減っている。
- 1978年(昭和48年) JBC、財団法人になる。
- 1983年(昭和58年) JBCが日本体育協会の加盟団体となる。
- 1986年(昭和61年) アジア競技大会で(ソウルで開催)日本は12種目中6個もの金メダルを獲得する。
- 1988年(昭和63年) ソウルオリンピックでエキシビジョンゲームに採択される。
[編集] レーン・器具
[編集] レーン
- 材質:ウッド(手前側がメープル(楓)、奥側がパイン(松))、もしくはプラスチック。ウッドレーンには定期的なリコーティング、リサーフェスが必要であり、主流はプラスチックに変わりつつある。プラスチックのレーンはアーマーレーン、シンセティックレーンとも呼ばれ、違和感が無いように表面に木目がプリントされている。
- レーン幅:1,066 mm (39枚の板からなる)
- レーン長さ:23.72 m (レーンの一番手前にあるファウルラインより1番ピンまでは 60フィート = 18.26 m)
[編集] ピン
- 中に重量調整のため空洞が設けてあり、これによりボールが当たったときに爽快な音が出る。
- 材質:メープル(楓)
- 高さ:38.1 cm
- 最大径:12.1 cm (大きさは世界共通である)
- 重さ:約 1.6 kg (1,417 g 以上 1,644 g 以下、10本のピンの重さの差は 113 g を超えてはいけない。ピンはボールなどの摩擦で磨耗し、重さが減る事がある)
[編集] ボール
- 直径:約 21.8 cm
- 重さ:4ポンド (1.81 kg) から16ポンド (7.25 kg)(ハウスボール、つまりボウリング場に用意されているボールはポンド刻みだが、マイボール、つまり個人所有のボールはより細かく、ポンド、オンスで表される。重い方がピンに弾かれにくいが、重過ぎるとスピードや回転が少なくなってしまうため、体力や技術に合った重さを選ぶのが肝要である。)
- 表面材質:硬質ラバー(エボナイト)、ポリエステル、ポリウレタン、リアクティブウレタン(ポリウレタンに可塑剤を添加したもの)、パーティクル系(リアクティブウレタンにガラスバルーンやカーバイドなどの粒子を添加したもの)に大別される。材質によりレーンとの摩擦が異なり、ボールの軌跡に大きく影響する。2005年9月、ボウリングボールとしては全く新しい素材であるエポキシ樹脂のボールが発売され、動向が注目されている。
- シェル:ボールの表面素材の層。
- コア:ボール内部の高比重の部分。本来は重量調整のためのものだが、バランス効果を得るため様々な形状や比重のものが使われる。従来は、ほとんど全てが軸対称だったが、1990年代後半から非対称コアを持つボールが次々に発売され、1つの流行になっている。非対称コアの持つ効果はマスバイアス(提唱者である M. ピネル氏の造語)と呼ばれるが、その有効な利用方法はまだ確立されておらず、力学的な解明が待たれる。
- ウェイトブロック:コアとは別に、バランス効果を得る目的でボール内部に埋め込まれた高比重の部分。ウェイトブロックによりバランス効果を得るタイプは1980年代のボールによく見られたが、現在のボールの大半はコアが変形してウェイトブロックの役割を兼ねるタイプであり、安価なポリエステルボールなどに使われるのみとなっている。
[編集] 点数の計算法
- フレームにおいてスペア・ストライクがない場合(オープンフレームと呼ぶ)、2回の投球で倒したピンの本数がそのフレームの得点となる。
- スペアを出した場合、倒した本数である10点に加え、次の投球で倒したピンの本数がこのフレームの得点に加算される。
- ストライクを出した場合、倒した本数である10点に加え、続く2投で倒したピンの本数が加算される。つまり次の投球もストライクだった場合は、更にその次の投球で倒したピンの本数まで加算される。
- 第10フレームのみ、スペア・ストライクを出した場合、3投して倒したピンの総数を第10フレームの得点として計算する。
- 各フレームの得点の合計が1ゲームの得点となる。最高得点は300点となる。
- コンピュータの導入により点数が自動的に計算されて表示されるボウリング場が多い。
[編集] 用語
- レーン
- 広義にはボウリング場全体を指すこともあるが、通常はアプローチ前方のボールが転がって行く場所、厳密にはファウルラインからピンデッキ後方のテールプランク直前までを指す。
- ボール
- 現在のボウリングに用いられるボールには通常3つの穴があり、親指、中指、薬指でグリップするのが一般的。子供用のボールなど、5つの指穴が開けられているものもある。昔は2つ穴であった。なおボールには指穴(最大5つ)、空気穴(各指穴に最大1つ)の他に、バランスホールと呼ばれるエクストラホールを最大1つ空けることがルール上許されている。個人用のボールを一般にマイボール、ボウリング場にあるボールをハウスボールと呼び、区別される。
- ハウスボール
- ボウリング場に準備されているボールのこと。通常無料で貸し出される。多くの人の手に合うようにドリルされているが、逆に言えば誰の手にも完全には合わないと言える。右投げ用、左投げ用の区別すらされていない場合が多い。競技ボウリングを志す場合は、自分専用のボールを所有することが望ましい。
- マイボール(和製英語)
- 個人用に準備したボールのこと。各指穴の大きさの他、各指穴の角度(ピッチ)、指穴間の距離(スパン)等、ボウラー個々の手に合わせてドリルされる。様々な特色を持ったボールが市場に流通しており、ボールを複数個準備して用途によって使い分けることも多い。
- ピン
- レーンの先に設置された棒状のもの。手前からピラミッド状に10本設置される。ピンには番号が付けられており、投球者からみて最も手前の先端に当たるピンが1番ピン、以下、2列目左から右へ2番、3番、3列目左から右へ4~6番、最終列左から右へ7~10番ピンである。この呼び方は、右投げ・左投げに関係なく共通である。1番ピンを「ヘッドピン(またはヘッド)」、5番ピンを「キングピン」、10番ピンを「テンピン」と呼ぶことが多い。
-
ピンの並び方 7 8 9 10
4 5 6
2 3
1
- ロフトボール
- リリースの際、前方に放り出すような投球をする事。レーンを傷めるだけでなく、大変大きな音がするため、周りの人に迷惑をかける。ほとんどのボウリング場では禁止行為とされている。
- オイル
- レーンを保護するために塗布されている。コンディショニングオイル。その分布によりボールの挙動が変化する。投球軌跡や時間の経過等によってオイルの分布は刻々と変化するため、その見極めは難しく、また勝負を左右する重要なポイントの1つでもある。多くのセンターではファールラインから35~40フィートまで塗布している。
- アプローチドット
- アプローチ上に描かれている点(ドット)の事。スタンディングドット。ファールラインから12フィートおよび15フィートの地点に、5枚間隔に描かれている。
- エイムスパット・トライアングルターゲット
- 通称スパット。レーン上、ファールラインから約15フィート地点に描かれている7つの三角印のこと。5枚間隔に描かれており、これを目印に投球する。
- アドレス
- ボールを構え、投げる準備をする事。
- フックボール
- 右投げの場合、左へカーブする球筋のこと。左投げの場合は逆に、右へカーブする球筋をフックボールと呼ぶ。
- ストライク
- 1投目で10本のピンすべてを倒すこと。
- スペア
- 1投目で残ったピンを、2投目ですべて倒すこと。
- ダブル
- ストライクを2回続けること。
- ターキー
- ストライクを3回続けること。トリプルとも言う。ターキー後はフォース→フィフス→シックスパック→セブンパック→エイトパック→ナインススロー→テンススローと続く。
- パンチアウト
- 第10フレームでストライクを3回続けること。
- パーフェクト
- 1ゲーム全ての投球をストライクにすること。12回連続ストライクで得点は300点となる。
- ガター
- レーンの横にある溝。または、ボールがピンに届く前に、横の溝に落ちること。溝にボールが落ちないようにする装置(バンパー)が設置されているレーンもある。
- ミス
- 2投目でピンを一本も倒せなかったこと。この時ガターに落ちても、ガターとは言わない。ブローとも言う。
- ヘッドピン
- 投球者から見て一番手前にある1番ピンのこと。
- ノーヘッド
- 1投目でボールがヘッドピンに当たらないこと。
- スプリット
- フレーム1投目でヘッドピンが倒れ、残りのピンが隣接しない状態で残ること。
- キーピン
- スペアを取る際に最初にボールが当たるピンのこと。一番手前のピン。
- チョップ
- スプリットやワッシャーではないフレームの2投目でボールがキーピン(最も手前のピン)に厚く当たり、キーピンより右側(右投げの場合)のピンが残ること。
- オープンフレーム
- ストライクにもスペアにも出来なかったフレームのこと。
- ハンデキャップ
- 対戦相手と技術的に差がある場合に付加される得点のこと。略して、「HDCP」と表記される事が多い。リーグ戦等において参加者個人の平均得点(アベレージ)を元に与えられる場合と、公式競技等で年齢・性別に応じて与えられる場合がある。
- アメリカン(方式)
- 1ゲームの中で、2つのレーンを使い、フレームごとに交互に投げる方式。レーンごとにレーンのコンディションが変わるため、公平性を保つために競技ではこの方式で行われることが多い。
- ヨーロピアン(方式)
- 1ゲームの全フレームを同じレーンで投げる方式。
- アプローチ
- 助走して投球する場所。あるいは、投球のための助走のこと。
- ファウル
- 投球姿勢に入ってから次の投球者が投球姿勢に入るまでの間に、体の一部がファウルライン(アプローチとレーンの境界)を超えてレーンに触れること。倒したピン数にかかわらず0点となる。スコアには「F」と表示される。
- レーンメンテナンス
- レーンの整備のこと。主にデイリーメンテナンスである、クリーニング(古いオイルやホコリの除去)、オイルドレッシング(新たなオイルの塗布)を指すことが多い。オイルドレッシングのみを指す場合もある。
- メンテナンスマシン
- レーンメンテナンスのために作られた、自走式の機械のこと。バッテリーを内蔵しているもの、左右の動きまで自動で行うもの、クリーニングとオイルドレッシングを同時に行うもの、オイルパターンを自由にプログラムできるものなど、種類は様々。
[編集] ボウリングにまつわる芸術・学術作品
- モーツァルトにはケーゲルシュタット・トリオと呼ばれるピアノ三重奏曲(K498)がある。ケーゲルシュタットは九柱遊戯とも訳され、ボウリングの前身とされる。この曲はモーツアルトがボウリングをしながら作曲したものという逸話がある。(但し、真偽のほどは必ずしも定かではない。)
- 映画『キングピン ストライクへの道』("King Pin" 1996年,ピーター・ファレリー、ボビー・ファレリー監督)はボウラーを扱ったコメディ映画。
- 論文 Bowling Alone (Robert Putnam (1995). Journal of Democracy, v.6, n.1, pp.65-78) はボウリング・リーグの会員が減っていることに象徴される現代アメリカ社会のコミュニティの崩壊や個人主義化を指摘したもので、メディアで大きな反響を引き起こした他、社会資本(Social Capital)の概念を広め、世界中で関連の調査研究ブームがおこなわれるきっかけともなった。
- 『美しきチャレンジャー』 - テレビドラマ(TBS・ABC系列、不二家の時間枠で放送)新藤恵美主演
- 『キューティーガール~美少女ボウラー危機一発!!~』(2003年、小倉優子主演)は、賭けボウリングをテーマに描いた青春スポ根ムービー。
- 『ゴールデンボウル』(2002年、金城武主演)
[編集] 特殊な残り方の呼び名
白い数字が残ったピンを表す。
バケット | インザダーク1 | インザダーク2 |
---|---|---|
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
ベビースプリット | クリスマスツリー1 | クリスマスツリー2 |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
ビッグフォー(ハッピーバースデイ) | ビッグファイブ | スネークアイ(ベッドポッド) |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
ダイムストア1 | ダイムストア2 | リリー |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
ワッシャー1 | ワッシャー2 | ワッシャー3 |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
7 8 9 10 4 5 6 2 3 1 |
上記の残りピンは、右投げを基準にしている。
[編集] ボウリングのTV放送
- ザ・スターボウリング(東京12チャンネル → テレビ東京)- 放送終了
- 中山ボウリング店(テレビ東京)- 放送終了
- ボウリングパラダイス(テレビ東京)- 放送終了
- パーフェクトボウリング(スカイ・A sports+)- 放送中
- ボウリング革命 P★League(BS日テレ)- 放送中
[編集] 300本ボウリング
- 日本テレビ系「ワールド☆レコーズ」で「100本ボウリング」を放映。
- これをきっかけに「X-BOWL」(釧路・小田原・松本)が企画。番組が「300本ボウリング」を放映後、こちらも300本に変更。
- 一人一球のみの挑戦で料金は300円。300本のピンは手作業で並べるため一度セットするのに30分~40分ほどかかる。そのためこのゲーム自体は採算が取れないが、集客効果が上がったといわれる。
- 「アイビーボウル」(埼玉)でも開始。
[編集] ピンセッター
ボウリングの倒れたピンを回収し、自動的にピンをセットする機械。ピンとボールを回収し、ボールとピンを分別、ボールはプレイヤーに戻し、ピンは向きをそろえて立て直す。
[編集] 関連項目
- ジャパンカップ
- DHCレディースオープンボウリングツアー
- 国民体育大会
- 全国青年大会
- ベーカー方式