マクシミリアン・ジーナス
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マクシミリアン・ジーナス(Maximilian Jenius)は、SFアニメ作品『超時空要塞マクロス』に登場する、架空の人物。主要登場人物のひとり。統合軍の撃墜王と呼ばれる天才的なパイロット。愛称は「マックス」。(声:速水奨)
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 『超時空要塞マクロス』時代
ヨーロッパ地区出身。身長181cm体重61kg。初登場時の年齢16歳。経歴は不明だが、マクロス艦内市街地で統合軍の新兵募集に応じたものと思われる。一条輝がバーミリオン小隊長を任ぜられた際、柿崎速雄とともに部下として配属された(小隊3番機)。機体のパーソナルカラーは青。飛行経験は浅かったが、初戦で7機を撃墜し、早くも天才的な操縦技能を見せる。空戦においてバトロイド形態を駆使し、「おとり撃ち(ミサイルが追尾する敵機をガンポッドで仕留める)」など従来にない戦術を編みだしたのは、素質はもちろんのこと、可変戦闘機という新時代の兵器に柔軟な発想をもっていたからであろう。
その活躍はゼントラーディ軍にも知れ渡り、敵軍のエースミリア・ファリーナに一騎打ちを挑まれ、これに勝利する。その縁でのちにミリアと結ばれ、史上初の異星人間結婚を果たす。ロイ・フォッカーや柿崎の戦死後、一条輝の中隊長昇進にともない自らの小隊を率いる。
この他、ゲームセンターでの腕前も一流、料理もたしなむなど、どこを取っても天才ぶりが目立つが、驕らない素直さから妬まれることはない。むしろ、周りに天才と褒められ、初めて才能に気づくなど天然ボケな部分がある。決して自惚れたり鼻にかけている訳ではないが、時々周りの空気を読めず、周囲を見下したかのような発言をしてしまうこともある。ミリアと結ばれたエピソードといい、「天才の考えは常人に理解し難い」を地で行く人物といえる。
戦後の2011年3月、初の星間混血児である長女コミリア・マリアが誕生。ミリアと独立遊撃部隊「ダンシング・スカル」を結成し、新地球統合軍の特別任務を担う。
劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』ではロイ・フォッカー指揮下のスカル小隊に所属(スカル13)。18歳で一条輝とは同階級だが、入隊時期の違いからか「先輩」と呼んでいる。フォッカーと輝が消息不明になったため、スカル小隊長(スカル1)に就任。エースとしての自覚からか、TVシリーズとは異なる自信家に変貌する。敵艦内でミリアと死闘の末、一目惚れしてそのままメルトランディ軍に残留。マイクローン装置で巨大化し、最終決戦において青いクァドラン・ローを駆り、ミリアと共に戦った。
なお、作中ではカットされたが、絵コンテ段階ではマイクローン装置で巨大化したマックスとミリアの結婚式がマクロスやゼントラーディ軍に中継されるシーンが予定されていた。
[編集] 『マクロス7』時代
妻ミリアとの間に7人の娘をもうけるが、その内の末娘が『マクロス7』に登場するバンド「ファイアーボンバー」(後の「サウンドフォース」)のメンバー、本作のヒロインミレーヌ・ジーナスである。
第37次超長距離移民船団マクロス7艦隊司令兼宇宙空母バトル7艦長に就任。すでに50歳代だが容姿は依然若々しく、ブリッジ勤務女性たちの憧れの上司である。性格的には劇場版の延長にあり、仕事のほかに、冷め切った夫婦仲や娘ミレーヌ・ジーナスの将来に頭を痛める日々が続く。航行中「プロトデビルン」と呼ばれる謎の異星人との戦いに巻き込まれるが、天才パイロットと謳われた往年の腕は健在で、妻ミリアとの共闘も見せた。プロトデビルンに対する奇襲突撃作戦「オペレーション・スターゲイザー」ではVF-22Sを駆り、作戦の切り札となった。
また、番外編であるアニメ映画『マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!』には、五女のエミリアが登場する。
[編集] 『ロボテック』版
海外版ではRobotech The Macross Saga 及びSentinelsにMax Sterlingの名で登場。前者では日本版と同じであるが、海外オリジナルの後者では、このシリーズでのVF-1バルキリーの後継機であるVFA-6アルファおよびVFB-9ベータ(『機甲創世記モスピーダ』のAFC-01 レギオス・エータとAB-01 トレッド)の試験を夫婦で行っている。
[編集] 搭乗機
テレビシリーズ
- VF-1A バルキリー (バーミリオン小隊隊員)
- VF-1J バルキリー (小隊長以降)
- VF-22S シュトゥルムフォーゲルII (マクロス7艦長)
劇場版
- VF-1A スーパーバルキリー (スカル小隊隊員)
- VF-1S バルキリー (スカル小隊隊長)
- クァドラン・ロー (メルトランディ軍)
- VF-14 バンパイア (DC用ゲーム『マクロスM3』、ダンシング・スカル隊)
[編集] 家族構成
- 妻 ミリア・ファリーナ・ジーナス
- 長女 コミリア・マリア (2011年3月生)
- 次女 ミラクル (2017年生)
- 三女 ミューズ (2022年生)
- 四女 テレーズ (2022年生)
- 五女 エミリア (2024年生)
- 六女 ミランダ (2026年生)
- 七女 ミレーヌ (2031年2月2日生)
- 養女 モアラミア・ジフォン
[編集] 備考
- 第一次世界大戦中、ドイツ軍は戦績優秀なパイロットにプール・ル・メリット勲章を授けた。マックス・インメルマン、マンフレート・フォン・リヒトホーフェンなどの撃墜王が受賞し、勲章の色とインメルマンの名から通称「ブルー・マックス」と呼ばれた。マクシミリアン(マックス)の名と機体パーソナルカラーの青は、この勲章をもとに制作スタッフが設定した。なお、ジーナス(Jenius)は英語の「天才(genius)」から来ている。
- キャラクターとしては、従来のテレビアニメのヒーロー像を演じる「脇役」という異色の存在である。これは主人公一条輝をごく普通の青年に描くため、対極として演出されたものであった。
- 板野サーカスと呼ばれる高速メカアクション演出により、マックスとミリアの天才同士の空中戦はシリーズ中出色の見せ場となった。このため放送当時、雑誌上の「好きなバルキリー」アンケートでは、一条輝やロイ・フォッカーの機体を差し置いて、マックスの青いVF-1Aが1位になるという現象も起こった。
- 『マクロス7』で50代になっているマックスが依然若々しい外見を保っている事について、キャラクター原案の美樹本晴彦は「『老ける』というのは凡人の発想。彼は天才だから」とコメントしている。