メイヘム
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メイヘム(Mayhem)はノルウェーを中心に活動するヘヴィメタルバンド。初期ブラックメタルシーンの中核的な存在として携わり、既存のブラックメタルサウンドの一形態を確立したという点において最も重要なバンドの一つである。1993年にBurzumのヴァーグ・ヴァイカーネス(Varg Vikernes)による、悪魔信仰主義団体『Inner Circle』及びこのバンドの中心人物であったユーロニモス(Euronymous)殺害により、バンドは一時期活動を停滞した。その後、ドラムを務めていたヘルハマー(Hellhammer)が中心となり、1995年に再結成された。再結成以降の音楽性は賛否が分かれ、と言うよりも、Euronymous在籍時の初期Mayhemの支持者にとっては否定的な材料が少なくはなく、解散前ほどの評価は決して得られていないのが現状である。
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[編集] 歴史
1983年にØystein Aarseth(ギター)、Truls(ボーカル)、Glenn Larsen(ベース)、Espen Mortensen(ドラム)によって結成される。バンド名はヴェノムのMayhem with Mercyという曲から付けられた。このラインナップでのMayhemは1984年に解散し、その後、Destructor(後のEuronymous、ギター・ボーカル)、Necrobutcher(ベース)、Manheim(ドラム)により正式に活動を始める。1986年にデモを2枚録音、その際ボーカリストとしてMessiah、続いてManiacが加わる。
1987年にはミニアルバム『Deathcrush』がPosercorpse Musicより発表される。この頃はまだVenomやBathory影響下のスラッシュメタルを完全には脱していなかった。1988年には、脱退したManheimとManiacに代わり、Hellhammer(ドラム)とDead(ボーカル)が正式メンバーとしてMayhemに加入する。Deadはエントゥームドのメンバーも在籍していたスウェーデンのデスメタルバンドMorbidの元メンバーで、ライヴでの過激なパフォーマンスに加え、コープスペイントと呼ばれるブラックメタル特有の死化粧のパイオニアとしてその名を馳せていたが、1991年にショットガンで頭を打ち抜き自ら命を絶ってしまう。(その後1993年に、Dead在籍時の90年11月26日、ドイツのライプツィヒで行われたライヴの模様を収めた『Live in Leipzig』がリリースされ、1995年には、第一発見者のEuronymousが撮影したとされるDeadの自殺体写真がジャケットであることで有名な、90年2月28日、ノルウェーのサルプスボルでのライブを収録したブートレグ音源『Dawn of the Black Hearts』が初発売されている。)
1991年にはまた、NecrobutcherがMayhemを脱退し、ベースとボーカルが空席となってしまう。『De Mysteriis Dom Sathanas』のレコーディングに入っても正式メンバーは定まらず、バンドはセッション・メンバーとしてボーカルに、当時Tormentorのメンバーでもあったハンガリー人のAttila Csiharを、ベースにBurzumのCount Grishnackhを加えて録音を行う。
そして1993年、1stアルバムのレコーディングに携わったBurzumのCount GrishnackhによるEuronymous殺害事件が起こる。(両者間の個人的な金銭トラブルに加え、飽くまでブラックメタルはアンダーグラウンドであるべきと徹底するEuronymous、それに反して大手音楽レーベルとの契約締結を果たしたCount、双方の方向性の相違から次第に発生していった不仲が主な原因とされる。)これによりバンドは活動を一時停滞するが、初のフルアルバムとなる『De Mysteriis Dom Sathanas』は1994年、亡きEuronymous自身が立ち上げたカルトレーベル『Deathlike Silence Productions』から無事発売された。このアルバムはブラックメタル史に名を刻む大傑作として知られており、多くのブラックメタルバンドに多大な影響を与えている。
例の殺傷事件によりバンドは一度解散したものの、1995年にHellhammer(ドラム)、Blasphemer(ギター)、Necrobutcher(ベース)、Maniac(ボーカル)の4人により再結成される。1997年発表のEP『Wolf's Lair Abyss』に続き、2000年、2004年にはこのメンバーで録音されたフルレンス『A Grand Declaration of War』、『Chimera』がリリースされる。その後Maniacは2004年に脱退し、現在は、1stアルバムでセッションボーカルを務めたAttila CsiharがManiacの後任として正式メンバーに加入している。
[編集] メンバー
- ボーカル: アッティラ・シハー en:Attila Csihar (1993、2004-)
- ドラム: ヘルハマー en:Hellhammer (本名 Jan Axel Blomberg、1988-)
- ギター: ブラスフェマー Blasphemer (本名 Rune Erickson、1995-) - Aura Noirにも参加
- ベース: ネクロブッチャー Necrobutcher (本名 Jørn Stubberud、1984-1991、1995-)
[編集] 過去のメンバー
- ギター: ユーロニモス en:Euronymous (本名 Øystein Aarseth、1983-1993)
- ドラム: マンハイム Manheim (本名 Kjetil Manheim、1984-1987)
- ボーカル: マニアック Maniac (本名 Sven-Erik Kristiansen、1986-1987、1994-2004)
- ボーカル: デッド Dead(本名 en:Per Yngve Ohlin、1988-1991)
- ベース・ボーカル: オカルタス Occultus (本名 Stian Johannsen、1991-1992)
- ベース: カウント・グリシュナック en:Count Grishnackh (本名 Varg Vikernes、1993) - レコーディング時のセッションメンバー
[編集] ディスコグラフィー
[編集] スタジオフルアルバム
- 1994年 De Mysteriis Dom Sathanas
- 2000年 A Grand Declaration of War
- 2004年 Chimera
- 2007年 Ordo Ad Chao
[編集] その他
- 1986年 Voice of a Tortured Skull (デモ)
- 1986年 Pure Fucking Armageddon (デモ)
- 1987年 Deathcrush (EP)
- 1993年 Live in Leipzig (ライヴアルバム)
- 1997年 Wolf's Lair Abyss (EP)
- 1999年 Mediolanum Capta Est (ライヴアルバム)
- 2001年 European Legions (コンピレーション)- ライヴ7曲とデモ5曲
- 2001年 Live in Marseille (ライヴラルバム)
- 2002年 The Studio Experience (ボックスセット)