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レイテ沖海戦 - Wikipedia

レイテ沖海戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

レイテ沖海戦

日本軍の攻撃を受け炎上する米空母プリンストン
戦争: 太平洋戦争
年月日: 1944年10月23日~25日
場所: フィリピン周辺海域
結果: アメリカ軍の圧倒的勝利・日本海軍の組織的戦闘能力喪失
交戦勢力
大日本帝国 アメリカ合衆国
指揮官
栗田健男中将、小沢治三郎中将、西村祥治中将、志摩清英中将 ウィリアム・ハルゼー大将、トーマス・キンケイド中将
戦力
航空母艦4、戦艦9、重巡洋艦13、軽巡洋艦6他 航空母艦17、護衛空母18、戦艦12、重巡洋艦11、軽巡洋艦15他
損害
航空母艦4、戦艦3、重巡洋艦6、軽巡洋艦1、駆逐艦6沈没など 航空母艦1、護衛空母2、駆逐艦2、護衛駆逐艦1沈没など
アメリカ軍のレイテ島上陸により生起した4つの海戦の場所。以下の4つを総称してレイテ沖海戦という。1.シブヤン海海戦 2.スリガオ海峡海戦 3.エンガノ岬沖海戦 4.サマール沖海戦
アメリカ軍のレイテ島上陸により生起した4つの海戦の場所。以下の4つを総称してレイテ沖海戦という。1.シブヤン海海戦 2.スリガオ海峡海戦 3.エンガノ岬沖海戦 4.サマール沖海戦

レイテ沖海戦レイテおきかいせん)(Battle of Leyte Gulf)とは、第二次世界大戦中の1944年10月にフィリピンレイテ島沖で行われた、日本海軍アメリカ海軍との戦闘のことを示す。比島沖海戦ともいう。シブヤン海海戦スリガオ海峡海戦エンガノ岬沖海戦サマール沖海戦の4つの海戦からなる。日本側の作戦名は「捷一号作戦」。アメリカ軍によるフィリピン奪還作戦(マスケティーア作戦)の阻止を目的として行われた。日本海軍はこの海戦を最後に、組織的抵抗を終えたとも言える。また、この海戦で神風特別攻撃隊による攻撃がはじめて行われた。

日本海軍は総力を挙げ、アメリカも太平洋に展開する全艦隊を挙げて戦ったため、史上最大の海戦としても有名である。

目次

[編集] 背景

1944年6月のマリアナ沖海戦で敗北しマリアナ諸島を失陥した日本軍は、次なる防衛作戦として捷一号から捷四号作戦を立案した。このうち、フィリピン方面の防衛作戦は、捷一号作戦として立案されていた。日本軍にとって、フィリピンを奪還されることは、本土と南方資源地帯の連絡が途絶されることであり、戦争の敗北に大きく繋がるものであった。

マリアナ諸島を占領したアメリカ軍は、マッカーサーの構想の基、ペリリュー島ヤップタラウド諸島などの次の目標とし、そこを拠点にしてフィリピン奪回作戦(マスケティーア作戦)を行う予定であった。特にマッカーサーは、軍事的理由の他に、フィリピンが元アメリカの植民地であり、自身の前職がフィリピン軍元帥であったことから、フィリピン奪回に大きな努力を払っていた。なお、彼が父親の代よりこのフィリピンの利権を多く握っており、マッカーサー王国などと揶揄される状態であったことも留意しておかなければならない。

9月15日、アメリカ軍はモロタイ島、ペリリュー島へ上陸した(ペリリューの戦い)。17日にはアンガウルに上陸した(アンガウルの戦い)。第3艦隊ハルゼー大将)の空母機動部隊である第38任務部隊(ミッチャー中将、4群からなり空母17隻基幹)はペリリュー、モロタイ上陸作戦を支援した後、小笠原諸島やヤップを空襲し、9月9日、10日にはフィリピンのミンダナオ島を空襲した。11日からはハルゼー大将が直接指揮し、22日までフィリピン各地を攻撃し日本軍に大打撃を与えた。日本軍は激化するフィリピンへのアメリカ軍の攻撃からアメリカ軍がフィリピンに侵攻するのは間違いないと判断した。

[編集] 作戦計画

日本軍
日本海軍の機動部隊がアメリカ軍第38任務部隊を北方に牽制し、基地航空部隊は第38任務部隊への攻撃を控え、フィリピン奪還を目的としたアメリカ軍輸送船団を撃滅する。また適宜、戦艦を中心とした水上砲撃部隊もアメリカ軍上陸地点に送り込み、輸送船団及び上陸した部隊を攻撃してフィリピン奪還を頓挫させる。
アメリカ軍
フィリピン奪回の手始めとして、レイテ島に上陸、これを奪還する。陸軍部隊は上陸時に最も脆弱となるので、ハルゼー大将の第3艦隊とキンケイド中将の第7艦隊がこれを援護する。

[編集] 台湾沖航空戦の影響

詳細は台湾沖航空戦を参照

アメリカ軍はフィリピン攻撃後、パラオ作戦の支援に第4群を残して第38任務部隊の残りの3群は一旦後退した。10月7日マリアナ諸島の西で合流した第38任務部隊はフィリピン奪回の陽動攻撃の意味も込めて10日に南西諸島を空襲、12日から14日には台湾を空襲した。日本軍の基地航空部隊はこれに応戦し、アメリカ軍に多大な損害を与えたものと判断したが、実際はアメリカ軍はほとんど損害を受けておらず、日本の航空戦力が消耗しただけに終わった。そして、この時の戦果誤認が、後の日本軍の艦隊総出撃という積極的な行動要因の一つとなる。

連合艦隊司令部は台湾沖航空戦の大戦果を信じ、基地航空部隊にアメリカ軍空母機動部隊の攻撃を命じ、小沢治三郎中将指揮下空母航空隊も基地航空部隊の指揮下に移して沖縄へ展開。また、アメリカ軍機動部隊の損傷した残存空母を掃討するために、小沢中将の指揮下にあった志摩清英中将の第二遊撃部隊(第五艦隊)が出撃したものの、戦果誤報にともない任務中止、奄美大島へ退避中に台湾の馬公に向かうように指示され、南西方面艦隊の指揮下に移った。

9月のフィリピン空襲と10月の南西諸島・台湾空襲、台湾沖航空戦で基地航空部隊、特に第一航空艦隊が壊滅的打撃をうけ、小沢機動部隊の艦載機も投入してしまった。さらに、台湾沖航空戦の直後にアメリカ軍の上陸作戦が始まり、作戦の見直しや修正を行う余裕がなくなった。アメリカ軍機動部隊が防御する輸送船団に対し、戦艦部隊が航空支援なしに突っ込むなど自殺行為に等しい。苦肉の策として小沢艦隊を囮にして、アメリカ軍のハルゼー大将率いる第38任務部隊を水上砲撃部隊から引き離し、その間にレイテ湾に突入する。また、水上砲撃部隊は、レイテ島に南北からタイミングを合わせて接近し、同時に別方向からアメリカ軍輸送船団に攻撃を行う。

[編集] 海戦の推移

ブルネイ泊地の戦艦大和、武蔵、長門(1944年10月)
ブルネイ泊地の戦艦大和、武蔵、長門(1944年10月)

[編集] 1944年10月 海戦前

  • 10月11日
    • アメリカ軍上陸部隊、ニューギニア各地を出発。
  • 10月12日から16日
    • 台湾沖航空戦(上述)。
  • 10月17日
    • アメリカ軍レイテ湾のスルアン島に上陸。
    • 連合艦隊司令部、捷一号作戦を発動。
  • 10月18日
    • 栗田健男中将指揮の日本軍第一遊撃部隊(戦艦7隻基幹、通称栗田艦隊)リンガ泊地を出撃。
  • 10月19日
    • 小沢中将指揮の日本軍第三艦隊(空母4隻・戦艦2隻基幹、通称小沢機動部隊)が瀬戸内海を出撃。
  • 10月20日
    • 日本軍第一遊撃部隊ブルネイに到着、燃料を補給。
  • 10月21日
    • 日本軍第二遊撃部隊(巡洋艦3隻基幹、通称志摩艦隊)が馬公を出撃。フィリピン、ルソン島マニラへ向かう。
  • 10月22日
    • 日本軍第一遊撃部隊第一部隊・第二部隊(戦艦5隻基幹)がブルネイを出撃。シブヤン海を通過するコースを取る。
    • 日本軍第一遊撃部隊第三部隊(戦艦2隻基幹、通称西村艦隊)がブルネイを出撃。スリガオ海峡を通過するコースを取る。
    • 志摩艦隊はスリガオ海峡コースでレイテ湾突入が決定、マニラ寄港を中止。補給のためパナイ島西岸コロン湾へ向かう。
  • 10月23日
    • 1時16分、パラワン水道を航行中の栗田艦隊をアメリカ海軍潜水艦ダーター (USS Darter, SS-227) がレーダーで発見した。ダーターはこれを報告すると共に艦隊に接近し、6時32分栗田艦隊旗艦の重巡洋艦愛宕に対し艦首発射管から魚雷6本を発射、それから急旋回して重巡洋艦高雄に対し艦尾発射管から魚雷4本を発射した。愛宕には魚雷4本が命中し、6時53分に沈没した。愛宕の被雷1分後、高雄に魚雷2本が命中した。高雄は大破し、駆逐艦朝霜と水雷艇鵯に護衛されブルネイに後退した。6時57分、今度は重巡洋艦摩耶に潜水艦デース (USS Dace, SS-247) の放った魚雷4本が命中した。摩耶は7時8分に沈没した。栗田中将は旗艦を戦艦大和に移しレイテ湾に向かって進撃を続けた。
    • 志摩艦隊コロン湾着。輸送船を発見できず、巡洋艦から駆逐艦に燃料を送る。
  • 10月24日
    • 未明、志摩艦隊がコロン湾を出撃。レイテ湾へ向かう。
    • 潜水艦ダーターが帰途途中で座礁、放棄される。

[編集] 10月24日 シブヤン海海戦

攻撃を受けている戦艦武蔵
攻撃を受けている戦艦武蔵

シブヤン海に差し掛かった栗田艦隊は24日8時過ぎアメリカ軍第38任務部隊に発見された。この時第38任務部隊は第2群(ボーガン少将指揮、空母5隻基幹)がサンベルナルジノ海峡付近に、第3群(シャーマン少将指揮、空母4隻基幹)がルソン島の東に、第4群(デーヴィソン少将指揮、空母4隻基幹)がレイテ島付近にいた。また、第1群(マッケーン中将指揮、空母4隻基幹)はウルシー環礁で補給中だった。ハルゼー大将は第2,3,4群の3個群を集結させて栗田艦隊に対し攻撃を開始した。10時26分、第2群の空母イントレピッドキャボットからの第1次攻撃隊45機が攻撃を開始し、武蔵と妙高に魚雷1本が命中した。妙高は速度が12ノットに低下し離脱した。12時6分、イントレピッドからの第2次攻撃隊31機が攻撃を開始し、武蔵に魚雷3本、爆弾2発が命中した。この攻撃で武蔵の速度は22ノットに低下した。13時30分、ミッチャー中将直率第3群の空母レキシントンエセックスからの第3次攻撃隊44機が武蔵に攻撃を集中し魚雷5本、爆弾4発を命中させた。また、大和にも爆弾1発が命中した。武蔵の速度は16ノットに低下した。14時30分、第4群の空母フランクリンからの第4次攻撃隊32機が来襲し、大和に爆弾1発が命中した。14時59分、第2群及び第4群からの第5次攻撃隊67機が来襲。攻撃は武蔵に集中し魚雷11本、爆弾10発が命中し艦隊より落伍、2軸運転と大量の浸水により6ノットに速力低下。その後機関が停止して午後7時35分に転覆沈没した。他に長門と利根に爆弾2発、駆逐艦清霜に爆弾1発が命中した。15時30分、栗田艦隊は一時空襲圏外へ退避のため反転した。

栗田艦隊の援護のため、新たにフィリピンへ展開した日本海軍基地航空隊の第二航空艦隊は、第38任務部隊の第3群に航空攻撃を行った。9時30分、軽空母プリンストンは爆弾が1発命中し爆発炎上、その後軽巡洋艦リノの魚雷で処分された。また、プリンストンの消火作業中に起きた爆発で軽巡洋艦バーミンハムが損傷した。

ルソン島東方の小沢機動部隊は基地航空隊から知らされた第3群に偵察機を送って存在を確認、58機(電報では76機)を出撃させて攻撃し、基地航空隊も日没まで5回渡る攻撃隊を出撃したが有効な損害を与えることはできなかった(小沢機動部隊から出撃した攻撃隊の戦果は、空母エセックス以下数隻の空母に対して至近弾。その中の1~2隻の喫水線下の船体に軽い損傷を与えたのみ)。だが、基地航空隊と小沢機動部隊の波状攻撃は、第38任務部隊の一番北側に位置する第3群の北方への索敵を遅らせることに成功した。

24日夕方になり、栗田艦隊のサンベルナルジノ海峡強行突破を危惧したハルゼー大将は、第38任務部隊の3個群から高速戦艦(6隻中5隻)を中核とする水上砲撃部隊を引き抜いて第34任務部隊(リー中将)が編成予定であることを全軍に知らせて準備を進めていたが、栗田艦隊の反転を作戦不能なほど損害を与えたためと判断し、戦果報告と栗田艦隊が壊滅して撤退していることを報告した。また、間をおかずに小沢機動部隊を発見、これを日本軍の主力と判断し、栗田艦隊への攻撃を中止、小沢機動部隊攻撃のため、第34任務部隊を含む3個群を率いて北上した。

栗田艦隊は、アメリカ軍の空襲がやんだことにより、17時45分再度反転した。ハルゼー大将は再び栗田艦隊の残存艦(全艦損傷と報告された)がサンベルナルジノ海峡に迫っても第7艦隊が対処できると判断していたため、栗田艦隊反転の知らせがきても集結と北上を続けた。栗田艦隊はサンベルナルジノ海峡で待ち伏せに合うことなく通過し、レイテ湾を目指してサマール島西岸を南下した。

戦艦武蔵の生存者救助には駆逐艦清霜、島風、浜風があたり、20本の魚雷が命中した武蔵は19時35分沈没した。25日1時30分過ぎ、救助を終えた清霜と浜風の2艦はコロン湾へ撤退した。

[編集] 10月25日未明 スリガオ海峡海戦

スリガオ海峡海戦(赤:日本軍、黒:アメリカ軍)
スリガオ海峡海戦(赤:日本軍、黒:アメリカ軍)

10月22日15時30分にブルネイを出撃した西村艦隊は23日、スールー海に入りスリガオ海峡へ向かった。24日、西村艦隊も第38任務部隊に発見され、9時30分ごろ約20機の空襲を受けたが、栗田艦隊発見の報に北方に移動し被害は2隻の小破にとどまる。

栗田艦隊と西村艦隊はほぼ同時にレイテ湾に突入する予定であったが、栗田艦隊が一時反転したことにより予定より遅れた。多方面から攻撃してアメリカ軍の戦力を分散するという計画は崩れたが、西村祥治中将は夜戦を企図し、西村艦隊単独でのレイテ湾突入を決断した。アメリカ軍第7艦隊司令長官のキンケイド中将は西村艦隊の接近を察知しオルデンドルフ少将指揮の戦艦部隊を迎撃に投入した。オルデンドルフ少将は西村艦隊のルート上、レイテ湾南方のスリガオ海峡で待ち伏せを行うことにした。その戦力は、戦艦メリーランドミシシッピテネシーペンシルヴァニアウエスト・ヴァージニアカリフォルニア、重巡洋艦ルイスビル、ポートランド、ミネアポリス、オーストラリア、軽巡洋艦デンバー、コロンビア、フェニックス、ボイス、駆逐艦26隻、魚雷艇39隻と大きなものであった。

25日未明に、西村艦隊はスリガオ海峡に接近、1時48分北上を開始した。西村艦隊は魚雷艇の攻撃はかわしたものの、2時53分駆逐艦部隊に襲撃された。戦艦扶桑は魚雷4本を受け弾薬庫に引火、大爆発を起こし艦体が真っ二つに折れ沈没した。また、駆逐艦山雲も轟沈し、駆逐艦満潮、朝雲も被雷し航行不能となった。戦艦山城にも魚雷1本が命中した。航行不能となった2隻の駆逐艦はその後撃沈された。西村艦隊は3隻になったが北上を続けた。

3時51分、アメリカ軍の巡洋艦が砲撃を開始して戦艦も後に続いて砲撃をはじめた。西村艦隊の旗艦の山城が被弾し、最上もレーダーが役に立たたず両艦とも正面に見える砲撃の閃光を頼りに反撃したが、大口径弾300発、小口径弾4000発の砲撃を受け命中弾が相次いだ。加えて山城は駆逐艦からの雷撃を受け速力が低下、その後火薬庫に引火、大爆発を起こした。この時、山城の艦橋が崩れ落ちたのが目撃されている。それでも尚山城は1、2番主砲から反撃の砲撃を行っていたのが米軍から確認されているが間もなく右舷に傾斜し4時19分艦尾より転覆して沈没した。最後尾にいた駆逐艦時雨は反転離脱した。尚、扶桑の残骸は艦首部が4時20分頃沈み艦尾部分が午前5時頃まで転覆したまま浮いていたとされる。 最上は微速航行で戦場を脱出した。 西村艦隊は駆逐艦時雨を残して壊滅状態に陥り、西村中将も戦死して、レイテ湾への突入は失敗した。

後に続き突入する筈だった志摩艦隊は西村艦隊の2時間後にスリガオ海峡に到着した。この際魚雷艇の攻撃を受け軽巡阿武隈が被雷した。3時25分、志摩艦隊は戦闘序列で突入を開始したが、旗艦の那智が最上を炎上停止した敵艦と誤認して転舵、8ノットで退避中の最上と衝突した。敵情不明のため志摩中将は突入を断念、海峡外で様子を見ることにして退避をはじめた。

4時10分、オルデンドルフ少将は同士討ちの報告を聞いて砲撃を中止させた。巡洋艦と駆逐艦は残敵の掃討と救助活動をするべく南下を開始した。

当初は多数が海面を漂っていた生存者だが、多くが米軍の救助を拒否して自決、また近くの島に上陸した少数の生存者も丸腰だったため殆どが原住民の襲撃により殺害され、生存者は沈没した全艦合わせて10数人だった。特に最初に大爆発を起こした戦艦扶桑は、艦長以下1637人全員が戦死し、生存者は1人もいなかった。同じく戦艦山城も生存者は2名のみ。この両艦のみを見ても乗組員三千余名中生存者がたったの2名。まさしく全滅であった。

阿武隈の護衛に駆逐艦潮を派遣してマニラへ向かわせ、最上には駆逐艦曙を護衛にあたらせてコロン湾に避退するよう命じたが、最上はその後空襲を受け最終的に乗員の退艦後、曙の魚雷で処分され、翌日の11時28分、阿武隈もアメリカ陸軍機の空襲を受けて沈没した。志摩艦隊の本隊である、那智、足柄、霞、不知火は何度か空襲を受けたものの、損失艦なくコロン湾に到着した。不知火を栗田艦隊の駆逐艦早霜の救援に送ったが第38任務部隊の空襲で撃沈された。

[編集] 10月25日 エンガノ岬沖海戦

空襲を受ける日本空母
空襲を受ける日本空母
小沢中将の移乗のために損傷した空母瑞鶴に接近する軽巡洋艦大淀
小沢中将の移乗のために損傷した空母瑞鶴に接近する軽巡洋艦大淀
アメリカ軍の攻撃を受け沈没しつつある空母瑞鶴。(14時14分沈没)
アメリカ軍の攻撃を受け沈没しつつある空母瑞鶴。(14時14分沈没)

24日の14時39分、相次ぐ栗田艦隊の被害報告に小沢中将は艦隊の存在をアメリカ軍第38任務部隊に明らかにするため、航空戦艦日向、伊勢からなる松田千秋少将指揮の第四航空戦隊を基幹に前衛隊を編成して第38任務部隊に砲撃戦を試みるべく南下をはじめた。16時過ぎ、栗田艦隊のシブヤン海での反転が知らされてから間もなく第3群の偵察機に発見された。ハルゼー大将は栗田艦隊への攻撃を中止、日没から深夜にかけてサンベルナルジノ海峡、レイテ島沖から集結して全速力で北上をはじめ、ハルゼー大将自ら第34任務部隊(高速戦艦6隻)を率いて先行し、空からだけでなく砲戦を挑んで徹底した攻撃を目指した。一方小沢中将は24日にアメリカ軍の偵察機に発見されたことから、25日は空襲を受けると判断していた。そのため、翌朝の7時12分に第38任務部隊の偵察機を発見後、錬度不十分なため戦力とならない艦載機を直衛用の戦闘機18機を除き残存機を陸上へ退避させ、小沢本隊と松田支隊の2隊に分かれ、さらに囮任務を果たすため北上した。

8時15分、第1次攻撃隊180機が小沢艦隊に来襲した。空母千歳と駆逐艦秋月が被爆沈没。軽巡洋艦多摩は魚雷1本が命中、大破。空母瑞鶴も被雷して速度が低下し、通信機が損傷したため囮成功を知らせる電報が打てなかった。さらに、10時ごろ第2次攻撃隊36機が来襲した。この攻撃で空母千代田が被爆、大破炎上して航行不能になった。10時51分、小沢中将は旗艦を軽巡洋艦大淀に移し、連合艦隊司令部と栗田中将宛てに、「大淀に移乗して作戦を続行」と打電した。12時31分にも空襲を受けて被害が出ていることを大淀から知らせた。

10時過ぎにハワイの太平洋艦隊長官ニミッツ大将から、「第34任務部隊はどこか。全世界は知らんと欲す」と電報を受信し、ハルゼー大将はこの電報に激怒した。11時15分、ハルゼー大将は小沢機動部隊の残存艦に迫っていた第34任務部隊と第38任務部隊の第2群を率いて、レイテ島沖に引き返した。残った2個群にミッチャー中将指揮下で攻撃を続けさせ、第34任務部隊からローレンス・デュボーズ少将指揮の重巡洋艦2隻と軽巡洋艦2隻、その護衛の駆逐艦を引き抜いて巡洋艦部隊を編成して同様に追撃を続行させた。ハルゼー大将はニミッツ大将とキンケイド中将に、「レイテ沖に向けて急進中」と返答を送った。

13時過ぎ、ミッチャー中将に指揮が移った2個群から発進した第3次攻撃隊約200機が来襲、空母瑞鶴と瑞鳳が被爆被雷し、14時14分に瑞鶴は沈没した。15時過ぎになると第4波の約30機が小沢本隊を攻撃し、15時27分、瑞鳳が沈没した。航行不能になっていた千代田も第38任務部隊から分派されたデュボーズ少将指揮の巡洋艦部隊の攻撃で16時55分に撃沈され、小沢機動部隊は空母4隻全てを失った。17時過ぎには第5波と第6波の第4次攻撃隊約150機が来襲、伊勢に攻撃が集中されたが大きな損傷は免れた。ハルゼー大将の反転命令によって多摩を含む損傷艦は復旧と救助活動ための時間を獲得し、千代田の曳航を任されていた軽巡洋艦五十鈴は空襲のため曳航を中止していて、駆逐艦槇と退避していたので難を逃れた。

18時半ごろ、小沢本隊と松田支隊は合同する。瑞鶴の護衛についていた駆逐艦若月と駆逐艦初月は救助を続けていたが、日没にあわせて若月が艦隊を追ったため初月のみ現場に留まっていた。五十鈴が千代田の安否を気遣って引き返してきたので2艦は遭遇し、初月に千代田の消息を尋ねたが判明しなかったので燃料不足を理由に捜索と所在確認を依頼した。そこに追撃してきたデュボーズ部隊の砲撃を受け、小沢中将に敵艦隊の発見と千代田の捜索中止を知らせた。五十鈴は撤退したが、初月は約2時間の交戦の後、撃沈された。小沢中将は知らせを受けて、艦隊に南下を命じたが時間を要した(ほとんどの艦が損傷していたためとされる)。また、急行途上に若月より戦艦2隻を含む艦隊と報告を受けたのでハルゼー大将指揮の高速水上砲撃部隊と誤認、南下を続けた。しかし、デュボーズ部隊がミッチャー中将指揮の2個群と合流するため撤退したので遭遇できず、燃料も残り少なく、再び北へ反転、撤退した。大破した多摩は単艦で退避中に米潜水艦ジャラオの雷撃を受け23時5分に沈没した。

翌日の26日の夕方、五十鈴が沖縄南東部の中城湾に、29日の深夜、日向、伊勢、大淀、霜月、若月、槇が呉に帰港。

日米双方の絶妙な時期の行動によって当初の計画通り、小沢艦隊は奇跡的にアメリカ軍第38任務部隊の引きつけに成功し、戦艦部隊による敵輸送船団攻撃のチャンスを得た。しかし、25日22時10分、栗田中将から夜戦の見込みがないと作戦失敗を知らされた。

[編集] 10月25日 サマール沖海戦

サマール沖海戦(赤:日本軍、黒:アメリカ軍)
サマール沖海戦(赤:日本軍、黒:アメリカ軍)
サマール島沖の戦艦大和(手前)と利根型重巡洋艦(奥)
サマール島沖の戦艦大和(手前)と利根型重巡洋艦(奥)

反転後、再びレイテ湾を目指していた栗田艦隊は、アメリカ軍第38任務部隊による妨害を受けずに、25日0時30分サンベルナルジノ海峡を通過、サマール島沖に差し掛かっていた。この時点での栗田艦隊の勢力は戦艦4隻、重巡洋艦6隻、軽巡洋艦2隻、駆逐艦11隻であった。6時48分、大和が35km先にマストを発見した。それはサマール島沖で上陸部隊支援を行っていたクリフトン・スプレイグ少将指揮の第77任務部隊第4群第3集団の護衛空母群であり、護衛空母ホワイトプレーンズ、ファンショウベイ、ガンビアベイ、カリニンベイ、セントロー、キトカンベイ、駆逐艦3隻、護衛駆逐艦4隻で編成されていた。栗田艦隊はこれを正規空母中心の機動部隊、すなわちアメリカ軍の主力と誤認、6時59分これへの攻撃を開始した。

スプレイグ少将は救援を求めたがハルゼー大将の部隊もキンケイド中将の部隊もすぐに救援にいける状態ではなかった。ハルゼー大将は休養と補給中の第38任務部隊第1群を救援に向かわせ、北方の小沢機動部隊へ攻撃を続けたが、キンケイド中将はスリガオ海峡のオルデンドルフ艦隊と志摩艦隊を追っていた巡洋艦部隊を集結して補給を急いだ。

栗田艦隊は攻撃を行うものの、煙幕を展開し必死の防戦を行う駆逐艦部隊や空襲のため、約2時間の海戦で護衛空母ガンビアベイと駆逐艦ジョンストン、ホエール、護衛駆逐艦サミュエル・B・ロバーツを撃沈したに留まった。一方、栗田艦隊では他の護衛空母群からの攻撃機などにより重巡洋艦が攻撃を受け、鈴谷は至近弾で航行不能となった後、再度爆撃を受け魚雷が誘爆して沈没、鳥海は爆弾が1発命中し航行不能となり、筑摩も魚雷が1本命中して舵を損傷、航行不能に陥った。熊野は駆逐艦ジョンストンの雷撃により落伍し、羽黒も爆撃により第二主砲搭を失ったが、誘爆と火災は防げた。

9時11分、栗田中将は艦隊に集合を命じた。11時、栗田艦隊はレイテ湾への進撃を再開したが、11時前に南西方面艦隊から栗田艦隊の北100kmに機動部隊が存在するという電文が届いた。護衛空母群の空襲を受けて利根が落伍し、11時26分、栗田艦隊は反転し敵機動部隊を求めて北上を開始した。

9時20分ごろ、ハルゼー大将にキンケイド中将から二度目の高速戦艦と機動部隊の派遣と攻撃の要請と合わせて栗田艦隊の兵力とオルデンドルフ艦隊の弾薬欠乏を知らされたが、第1群を送ったことと第34任務部隊は北方の小沢機動部隊を追って前進中であると返事を送ったが、後に反転。ハルゼー大将直率第34任務部隊と第38任務部隊第2群は16時ごろ、全速の北上と南下で小型艦の燃料に支障をきたしたため、減速して補給を急いだ。しかし、ハルゼー大将は補給を待ちきれずに高速戦艦2隻と少数の護衛を率いて、撤退しつつある栗田艦隊を追ってサンベルナルジノ海峡へ急行したが、間に合わず、落伍した駆逐艦野分を撃沈したのみに終わった。

反転後から栗田艦隊はようやく戦場に到着した第1群の攻撃隊など数度にわたる空襲を受けて駆逐艦早霜が損傷し、結局レイテ湾への突入は断念し、北上を続けてサンベルナルジノ海峡へ向かった。利根は艦隊に復帰したものの、19時15分に栗田中将は落伍した艦とその護衛の駆逐艦に、自力航行できない艦は処分してコロン湾に向かうように指示を出し、航行不能な筑摩と鳥海は修理が完了せず、筑摩は自沈、鳥海は駆逐艦藤波の魚雷で処分された。0時54分には野分が海峡入り口にて第34任務部隊の砲撃を受け、1時35分に沈没。

夜間にサンベルナルジノ海峡沖へ集結した第1群と第2群から、夜が明ける前に発進した偵察機に栗田艦隊は発見され、日の出と同時に攻撃隊が発進。空襲で軽巡洋艦能代が沈没、熊野、早霜が損傷、早霜の救援に向かった藤波も撃沈され、無人島で仮泊した早霜は続く空襲で擱座した。

栗田艦隊は28日21時30分、ブルネイに帰投した。

[編集] 海軍初のレーダー射撃

一般的に、米海軍ではレーダー射撃が実用可能な水準になっていたが、日本海軍ではレーダー技術が遅れており、その性能は劣っていたと言われている。

しかし、レイテ沖海戦時において、海軍が各大型水上艦に搭載した二号二型電探改四は、戦艦程度の目標であれば、夜間15,000m、昼間25,000m(34,000~35,000m説もある)の補足距離があり、また、大和を初めとする戦艦群は初めてといえるレーダー射撃をおこなっており、その性能は「まずまず信頼して使いうる程度」といわれている。しかし、同海戦に参加した戦艦榛名の戦闘詳報では「味方艦の電波が干渉しあって妨害される場合が多く、言われるような性能が安定して発揮できない」としている。だが、戦艦金剛戦闘詳報の「電測(レーダー)射撃は相当に有効。敵の電測射撃はわが方と大差ない」という見方もある。

この海戦で、(よく言われる重巡鳥海への味方撃ちを含めて)命中弾こそなかったもののレーダー射撃自体が可能であったことには、疑う余地はない。とはいえ、サマール沖海戦のような混戦では、敵味方識別も困難であり、有効なレーダー射撃が可能であったかは、疑問なしとしない(米軍も同時期の西村艦隊との戦闘で、レーダー射撃での味方撃ちを行っている)。

[編集] 謎の反転問題

栗田艦隊のレイテ突入については、実行すれば弾薬が欠乏したアメリカの第7艦隊を撃滅したという、根強い通説がある。しかし、第7艦隊は、栗田艦隊に対して戦艦で1.5倍、巡洋艦で2倍以上、駆逐艦で3倍の戦力を有していた。

通説では不足していたと言われる米艦隊の弾薬だが、一会戦する程度の分量は保有していた。対艦戦闘に必要な徹甲弾の残量は、40.6センチ砲搭載のウェストバージニア107発(+榴弾171発)、メリーランド192発(+榴弾445発)、35.6センチ砲搭載のテネシー327発(+榴弾262発)、カルフォルニア177発(+榴弾78発)、ミシシッピ189発(+榴弾543発)、ペンシルバニア360発(+榴弾14発)で、巡洋艦についても各巡洋艦は各砲当たり50~80発の徹甲弾が残っていた。これらは十分とは言い難いが、榴弾は装甲貫徹力はないものの、測距儀など、非装甲部分を破壊して戦闘力を奪える点、陣形の調整した待ち伏せを行う点、中~近距離戦へ持ち込むなど徹甲弾不足を補うこともできることから、弾薬不足で米側は戦えないという通説は妥当なものとは言えない。

水雷戦の要である駆逐艦27隻については、搭載魚雷をすべて発射したのは3隻のみ、1本を残して発射した艦を含めても6隻のみが「ほぼ消耗した状態」であり、その他の艦は各艦当たり5~10本の魚雷を残していた。アメリカの駆逐艦が次発装填装置を装備していない点、煙幕の展開に従事する艦が必要である点を考慮すると、一会戦であれば持ちこたえる可能性が高い。サマール沖海戦で米駆逐艦隊が示した戦意を考えても、日本戦艦部隊は、護衛巡洋艦・駆逐艦を撃破された上で(数の差がありすぎ、日中で奇襲もあり得ないため、技量や性能がどうこうという次元の問題ではない)、米戦艦と砲戦中に魚雷攻撃を受けることになるだろう。

さらにアメリカ軍側には攻撃を受けていない護衛空母群が残っており、レイテ突入を行えば、急行中であったマッケーン中将率いる第1群の攻撃を受けていた。栗田艦隊はもっともレイテ湾に接近した時点でも、湾内の艦船を射程に入れるまでにあと2時間を必要としていた。この間、日本基地航空隊の米護衛空母艦隊への空襲があったとはいえ、栗田艦隊が空襲を受けないとは考えられない。また、第7艦隊を撃破してレイテ湾に突入したとしても艦隊機動に不利な、狭いレイテ湾内で航空攻撃に晒される。栗田中将はこの点を憂慮したと言われている。

また、制空権がアメリカ側にある状態で砲撃命中率が期待できないことは、直前に行われたサマール沖海戦で証明されており、仮にそうした不利を覆して栗田艦隊が船団を撃破できればアメリカ軍のレイテ島攻略、延いてはフィリピン諸島攻略に少なからず影響を与えるが、目標としていた上陸船団は既に揚陸を終えており、避退できる状態にあった。

ただし、西村艦隊迎撃のさいに米戦艦はウェストバージニアは射撃中前部Mk.8レーダー故障。1、3番砲塔揚弾機故障。1、3番砲塔で一門ずつ発火ミスで以後射撃不能、カルフォルニアは大部分の射撃は9門によって行われ1番砲塔で装薬に破損。2、4番砲塔で発火ミスで故障、以後射撃不能。メリーランドはレーダー目標識別できず、ウエストバージニアの水柱(スクリーン上の虚像)を目標に射撃、効果なし。ミシシッピーはレーダー目標識別できず。一斉射で終了。ペンシルバニアは目標識別できず射撃不能というトラブルが相次いだ状況で状態であり、レーダーが目標を確定できず、戦艦部隊は25日当日の戦闘に支障がある可能性もあった。米戦艦部隊の目視による射撃成績は場合射距離2200~20000ヤード、発射弾数279発、命中弾数2発、命中率0.72%。巡洋艦は平均射距離13000ヤード発射弾数3379発、命中弾数23発、命中率0.68%となっている(なお戦艦山城に命中した砲弾数を考えても、戦艦部隊の命中弾2発は疑問なしとしない。また射撃速度を重視する米軍の射撃方法は、日本側とは異なるので、同列の比較はできない)。とはいえ、米第7艦隊と栗田艦隊の交戦は日中に行われることが予想されるため、レーダー射撃能力の低下はさして戦力低下とはならない。また砲撃命中率は、場合によっては護衛空母機の空襲を受ける日本艦隊がより不利と予想されるため、戦闘結果への影響はごく小さなものに留まっただろう。

いずれにせよ栗田艦隊が突入すれば、歴史上最後の戦艦同士の艦隊決戦が生起した。

栗田中将がなぜこの反転行動をとったかは現在も謎とされ、戦史研究家などの間では「謎の反転問題」と呼ばれている。最も有力とされる説は、連合艦隊司令部と栗田艦隊の意思疎通の欠如である。中央では比島上陸部隊の輸送船団を叩く事を主目的とし、艦隊が全滅しても構わない、以後の作戦は一切考慮しない、と考えていたが、栗田艦隊では、機会さえあれば敵主力艦隊を撃滅する事を望み、また、被害が大きくなって来ると、以後の作戦の為に1隻でも多くの艦艇を保全することを考えた。この齟齬が反転につながったというのである。なお、「敵主力部隊の撃滅」については、作戦を伝達した神重徳大佐が認可を与えたとも言われ、事実であれば作戦立案の中心人物でさえ作戦目的を全く理解出来ていなかった事になり、栗田中将一人を責めるのはいささか酷というものであろう。なお、栗田艦隊のレイテ突入は、小沢機動部隊の囮作戦及び味方基地航空隊の航空攻撃を前提としたものである。栗田艦隊側からの視点では、小沢艦隊からの連絡はなく、味方基地航空隊の攻撃が行われているとの連絡もなく、支隊である西村艦隊もどうやら全滅したらしいという認識から、作戦の前提が崩壊しているという認識を持つのは当然である。対戦国の首相であったチャーチルでさえ回顧録の中で「この戦場と同様の経験をした者だけが、栗田を審判することができる」と述べている。 

前述の通り、小沢機動部隊と栗田艦隊は通信障害で連絡が取れておらず、栗田艦隊では米機動部隊が既に小沢艦隊に引き付けられていることを把握していなかった。そして、栗田艦隊は直前のサマール沖海戦で、米正規空母部隊の一群を撃破したと認識している。小沢艦隊からの囮成功の連絡もなく、自分の艦隊が(小沢艦隊が囮となって誘引するはずの)米機動部隊の一群をすでに捕捉・撃破している(という認識を持つ)状況下で、小沢艦隊の米機動部隊誘引作戦が成功しているなどという「正しい」認識を持つのは不可能である。そして、当時の日本軍の情報能力は米軍と比べると雲泥の差であり、この他にも、栗田艦隊後方に米機動部隊が存在するという誤報もあり、宇垣中将も「なぜ栗田中将は反転して米機動部隊を叩かないのだ」という意味の一文を『戦藻録』に記している。さらに栗田中将は、レイテ湾の米艦隊は後退中で、基地航空隊の戦力が増強されており、突入すれば空襲で返り討ちになるとさえ予測していた(現実に帰路では米機動部隊だけでなく、陸上機の空襲も受けている)。これらを鑑み、栗田中将は後方にいるという(幻の)機動部隊を撃滅すべく反転を命じた(もちろん栗田艦隊は機動部隊と会敵しなかった)。また、栗田が艦艇を保全したことは、数度にわたって行われた日本軍の逆上陸作戦(何度かは成功している)での護衛艦確保という意味で有益であった。米機動部隊は残存日本艦隊の攻撃に大きなリソースを割いており、艦艇がレイテ湾で全滅していれば、米機動部隊の陸上部隊に対する空襲支援はより強力なものとなったでろう。結論として、通説による栗田中将批判は、概ね非現実的な認識によるものと考えられる。

[編集] 神風特別攻撃隊の攻撃

1944年10月25日、護衛空母ホワイト・プレーンズに突入する零戦52型
1944年10月25日、護衛空母ホワイト・プレーンズに突入する零戦52型

レイテ沖海戦から「統率の外道」と最初の"発令者"大西中将("発案者"は軍令部との説が有力)自らが呼んだ、神風特別攻撃隊通称「特攻隊」とよばれる、航空機による体当たり攻撃が実施された。

25日朝、神風特別攻撃隊は各地から出撃した。8時ごろダバオを出撃した部隊はレイテ湾の南で第77任務部隊第4群第1集団の護衛空母群を発見しこれに突入した。護衛空母サンティーとスワニーに特攻機が命中し損傷した。10時45分第77任務部隊第4群第3集団の護衛空母群にマバラカットを出撃した部隊が突入した。護衛空母セントローに特攻機が命中し、爆弾、魚雷の誘爆でセントローは沈没した。1時間後、同じ護衛空母群にセブを出撃した部隊が突入、護衛空母カリニンベイに特攻機が命中した。

[編集] 結果とその後

日本軍はアメリカ軍に一矢報いる最後のチャンスを逃した。これにより、アメリカ軍はレイテ島に足場を築くことに成功し、フィリピン奪回を進めていくこととなった。また、日本軍は空母4隻、戦艦3隻他多数の艦艇を失い、組織的攻撃能力を失った。この直後、軍令部では、特攻機と護衛機を積んだ雲龍型航空母艦で機動部隊を編成して再びレイテに突入するという「神武作戦」計画が企画されたが、実行されなかった。

ウルシー環礁に帰還したアメリカの第38任務部隊(1944年12月)
ウルシー環礁に帰還したアメリカの第38任務部隊(1944年12月)

アメリカ軍のレイテ島上陸阻止に失敗した日本軍はマニラを拠点に多号作戦と呼ばれるレイテ島への輸送作戦を行った。9次にわたるこの輸送作戦でも日本軍は多くの艦艇を喪失した。レイテ島を制圧したアメリカ軍は12月15日にミンドロ島に上陸、そして1945年1月9日ルソン島リンガエン湾へ上陸した。この後戦いの舞台は硫黄島沖縄へと移っていった。

なお、この海戦で戦艦群の侵入を許し、結果として完全な撃破に失敗したことから、ハルゼーは「明確な意図を持って進む強力な水上戦力を、航空攻撃によってのみ阻止するのは困難」と発言した。

[編集] 参加艦艇(日本軍)

[編集] 第二艦隊

司令長官:栗田健男中将 参謀長:小柳富次少将 旗艦:愛宕→大和

第一遊撃部隊第一部隊

  • 第一戦隊:司令官:宇垣纏中将、戦艦 大和 武蔵 長門
  • 第四戦隊:司令長官直率、重巡洋艦 愛宕 高雄 摩耶 鳥海 
  • 第五戦隊:司令官:橋本信太郎少将、重巡洋艦 妙高 羽黒
  • 第二水雷戦隊:司令官:早川幹夫少将 軽巡洋艦 能代
    • 第二駆逐隊:司令:白石長義大佐、駆逐艦 早霜 秋霜
    • 第三十一駆逐隊:司令:福岡徳治郎大佐、駆逐艦 岸波 沖波 朝霜 長波 
    • 第三十二駆逐隊:司令:大島一太郎大佐、駆逐艦 浜波 藤波 島風

第一遊撃部隊第二部隊

  • 第三戦隊:司令官:鈴木義尾中将、戦艦 金剛 榛名
  • 第七戦隊:司令官:白石萬隆少将、重巡洋艦 鈴谷 熊野 利根 筑摩
  • 第十戦隊:司令官:木村進少将、軽巡洋艦 矢矧
    • 第十七駆逐隊:司令:谷井保大佐、駆逐艦 浦風 磯風 雪風 浜風 清霜 野分

  第一遊撃部隊第三部隊(西村艦隊)

  • 第二戦隊:司令官:西村祥治中将、戦艦 山城 扶桑・重巡洋艦 最上
  • 第四駆逐隊、駆逐艦 山雲 満潮 朝雲
  • 第二十七駆逐隊、駆逐艦 時雨

[編集] 南西方面艦隊

第二遊撃部隊(志摩艦隊)

司令長官:志摩清英中将

  • 重巡洋艦 那智 足柄
  • 軽巡洋艦 阿武隈
  • 駆逐艦 曙 潮 不知火 霞

[編集] 第三艦隊

司令長官:小沢治三郎中将 参謀長:大林末雄少将 旗艦:瑞鶴→大淀

機動部隊本隊(小沢機動部隊)

  • 第三航空戦隊:司令長官直率、正規空母 瑞鶴 軽空母 千代田 千歳 瑞鳳
  • 第四航空戦隊:司令官:松田千秋少将、航空戦艦 伊勢 日向
  • 巡洋艦戦隊:司令官:多摩艦長山本岩多大佐指揮、軽巡洋艦 多摩 五十鈴
  • 第一駆逐連隊=第三十一戦隊:司令官:江戸兵太郎少将、軽巡洋艦 大淀 駆逐艦 槇 杉 桐 桑
  • 第二駆逐連隊
    • 第六十一駆逐隊 初月 若月 秋月 
    • 第四十一駆逐隊 霜月

[編集] 参加艦艇(連合軍)

[編集] 第3艦隊

太平洋艦隊指揮下(太平洋艦隊司令長官:チェスター・W・ニミッツ大将)

司令長官:ウィリアム・F・ハルゼー大将、参謀長:ロバート・B・カーニー少将、艦隊総旗艦:戦艦ニュージャージー

[編集] 第38任務部隊

司令官:マーク・A・ミッチャー中将、参謀長:アーレイ・A・バーク大佐、旗艦:空母レキシントン

[編集] 第34任務部隊

司令官:ウイリス・A・リー中将

第38任務部隊から水上部隊(戦艦6、巡洋艦7、駆逐艦17)を抽出して編成

[編集] 第7艦隊

南西太平洋方面軍指揮下(最高指揮官:ダグラス・マッカーサー陸軍大将、旗艦:軽巡洋艦ナッシュビル)

司令長官:トーマス・C・キンケイド中将、旗艦:輸送艦ワサッチ(水陸両用作戦部隊旗艦)

[編集] 砲火支援群

司令官:ジェス・B・オルデンドルフ少将、旗艦:重巡洋艦ルイスビル

  • 左翼隊(オルデンドルフ少将直率)
    • 重巡洋艦ルイスビル ポートランド ミネアポリス
    • 軽巡洋艦デンバー コロンビア
    • 第56駆逐連隊 駆逐艦9隻 司令:スムート大佐
  • 右翼隊(司令:バーケイ少将、旗艦:軽巡洋艦フェニックス)
    • 重巡洋艦ショロップシャー(オーストラリア海軍)
    • 軽巡洋艦ボイス フェニックス
    • 第24駆逐連隊(司令:マクメーン大佐)
      • 駆逐艦 6隻
    • 第54駆逐連隊(司令:カワード大佐)
      • 駆逐艦 7隻
  • 高速魚雷艇隊(司令:レッスン少佐)
    • 魚雷艇 39隻(3隻・13個小隊)

[編集] 護衛空母群

司令官:トーマス・L・スプラーグ少将 旗艦:護衛空母サンガモン

  • 第1群(トーマス・L・スプラーグ少将直率)
    • 護衛空母サンガモン サンティ スワニー ペトロフ・ベイ
    • 駆逐艦 3隻
    • 護衛駆逐艦 4隻
  • 第2群(司令:フェリックス・B・スタンプ少将)
    • 護衛空母ナトマ・ベイ マーカスアイランド オマネー・ベイ サボアイランド カダシャン・ベイ マニラ・ベイ
    • 駆逐艦 3隻
    • 護衛駆逐艦 4隻
  • 第3群(司令:クリフトン・A・F・スプラーグ少将 旗艦:護衛空母 ファンショウ・ベイ)
    • 護衛空母ファンショウ・ベイ セント・ロー ホワイト・プレーンズ カリニン・ベイ キトカン・ベイ ガンビア・ベイ
    • 駆逐艦ホエール ヒアマン ジョンストン
    • 護衛駆逐艦デニス ジョン・C・バトラー レイモンド サムエル・B・ロバート

[編集] その他

潜水艦部隊(司令:クリスティ少将)

北部攻撃 第78任務部隊(司令:バーベイ少将)

南部攻撃 第79任務部隊(司令:ウィルキンソン中将)

[編集] 潜水艦部隊

司令官:チャールス・A・ロックウッド中将

シーライオンII(戦艦金剛を撃沈)、ダーター(重巡愛宕撃沈)、デース(重巡摩耶撃沈)、ハリバット(駆逐艦秋月撃沈?)他、計9隻

[編集] レイテ沖海戦に関する作品

映画

文学作品(小説)

[編集] 参考文献

  • 半藤一利著 『レイテ沖海戦』 PHP研究所 2001年 ISBN 4-569-57616-8
  • 「やっぱり勝てない?太平洋戦争」制作委員会著 『やっぱり勝てない?太平洋戦争』 シミュレーションジャーナル 並木書房 2005年 ISBN 4-89063-186-0

[編集] 関連項目

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