ロボコップ (架空のサイボーグ)
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ロボコップは、映画『ロボコップ』シリーズに登場する架空のサイボーグの名前。一般に「ロボコップ」と言った場合、映画の登場人物であるマーフィー巡査の死体から作られたサイボーグの事を指すが、作中では固有名詞というよりも、「商品名」のような扱いである。
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[編集] 概要
「ロボコップ」は、一度死んだ人間の肉体から、まだ細胞が死を迎えていない部分を部品として再利用したサイボーグであり、必ずしも人間としては認められていないことから人権も保有しておらず、表向きは「オムニ社(作中でロボコップを製作したコングロマリット企業)の新製品」でロボット扱いである。法的にも、既に死亡した人間の臓器だけが部分的に機械装置の補助で生きている状態に過ぎないことが作中の描写に見出せる。相当部分が機械的な装置によって代行されてはいるものの、思考の基本部分はマーフィー巡査のそれであり、これを機械的なサポートにより、射撃や怪力などの面で、超人的な能力を発揮する。
肉体(生体部分)としては顔面表皮や顔骨格の一部が移植されいるようであるほか、脳が金属製の頭部にカプセルに入れられ収められている。このほか消化器官の一部も生身であるらしいが、そのほとんどは省かれており脳や顔面など僅かながらの生体部分に栄養供給を行う程度でしかなく、ベビーフードのような非常に消化の良い食品しか口にできない。なおロボコップ専用フードディスペンサーもデトロイト署に配備されたことが作中の描写に見られるが、一般の瓶入りベビーフードでも一向に問題は無いようである。
なお『ターミネーター』のTシリーズ(T-800/T-850)の様に、全ての部品が機械や人工的な部品などで出来ているという訳ではない。また「一度死んだ人間の脳や皮膚を利用する」というコンセプトなどから、同型のロボコップは量産されていない特注品である。基本的には都市の治安維持と警察企業(作中では、警察も営利経営である)の機能強化、また同警察企業の親会社であるオムニ社のイメージアップを狙った宣伝用機材であった。
しかし一度は記憶を消されてロボコップとして甦った筈のマーフィー巡査の意識が後に復活、人間的な反応も見せるようになったが、直接のマーフィー巡査の死因ともなった脳機能の損傷した部分がコンピュータによって代行されてもいるため、たびたびこのコンピュータのプログラムが書き換えられては人間性を喪失している。
なお身体のほとんどは金属シェルと防弾ゴムとによって強固な防弾機能を備え、拳銃の弾丸程度では全くダメージを受けない。このため犯罪捜査・検挙では、わざと犯罪者から見える位置に移動して銃撃を受け、この際に犯罪者の位置をレーダーやセンサーで確認、ほとんど目視しないで射撃することが可能である。しかし運動能力は高い防弾性のために避けられなくなった重量もあり、お世辞にも身軽とは言えず、しばしば強力な火器で待ち伏せされたり、高速機動を得意とする敵と対峙したりした場合に致命的な損傷を被っており、また使用火器は主に対人装備でもあることから、強固な装甲を持った敵を相手に苦戦している。
ただマーフィー巡査がずば抜けて優秀で、危機的状況にも諦めない生存欲求を持つ人物であったこと、加えて周囲からの信頼も厚いこともあって、劣勢に苦しめられてなおロボコップは、その都度周囲にも助けられ、リベンジを果たしている。
ロボコップ#見所も参照。
[編集] ロボコップ・二号
初代ロボコップの後継機として、二号機が作られたことがある。いずれも機械的な性能面では初代ロボコップを上回っている。
- ロボコップ2 映画『ロボコップ2』
- 旧態化して力不足になったロボコップの継続機として、確信犯的に麻薬を蔓延させようとする犯罪者「ケイン」の脳を利用してオムニ社により作られた。これ以前には作中にて、ロボコップのマーフィー巡査同様に、殉職した警官の脳を使ったサイボーグが複数制作されたようだが、全て失敗作におわり最後まで「2」のナンバーが与えられることの無かったものたちが登場している。彼ら失敗作の全ては、肉体を奪われ機械化されたことに精神的に耐えられず、まったく動作しなかったり、発狂して暴れたり、始動直後に自殺している。なお犯罪者の脳を使ったのは、ある狂信的心理学者の発案だが、彼女は麻薬依存の犯罪者であれば、褒章が麻薬で済み単純で制御し易く従順であること、くわえて強靭な生存欲求から肉体を失ってなお正気を保つことができると考えていた。
- デザインは初代ロボコップとはかけ離れており、巨大で幾つかのアームを持ち、人間というよりは昆虫的ですらある。武装では初代ロボコップを圧倒しており、高速ミニガンや機関砲・小型ロケット砲の他、救助活動にも格闘兵器としても利用可能なエンジンカッターやバーナー・プラズマトーチ等を装備しており、加えてビル屋上からの落下やガス爆発をものともしない強固なフレーム、装甲車すら持ち上げる強力なパワーをもっている。しかし核となったのが犯罪者の脳であったために狡猾で倫理意識が皆無、加えて麻薬中毒で己の快楽のためなら後先考えない性格から暴走を起こし、正式なお披露目の場で居合わせた記者らや警備の警官らを攻撃、最終的にロボコップや警官隊との銃撃戦の末に破壊され、失敗に終わった。なおこの大失態にも拠り、製作元であるオムニ社は失墜を余儀なくされ、3作目『ロボコップ3』では哀れ売却の憂き目を被っている。
- ロボケーブル TVシリーズ『ロボコップ プライム・ディレクティヴ』
- アレックス・マーフィーの警官時代の元パートナー、ジョン・ケーブルの死体から作られた。デザインは初代ロボコップと瓜二つだが、装甲の色が黒色や赤色っぽくなっている。開発時期がロボコップ誕生後の10年後という設定もあり、パワー・スピード・コンピューターの性能等、全てにおいて初代ロボコップを上回る。武装はオート9を二丁装備しており、二丁同時に使用することができる。
[編集] 武装
- オート9
- ロボコップの標準装備の武器。通常は右大腿部に格納されており、戦闘時にはロボコップの手をレーダー感知して取り出す事が出来る。セミオート及びフルオートの切り替えが可能。劇中では強固なロングバレルに頑丈かつ確実な動作性で、ロボコップの腕も相まって正確無比な命中率を誇る。この銃は全くのオリジナルと言う訳ではなく、原型はベレッタ社のM93Rという銃で、オート9は同銃をフルカスタムした物が映画プロップとなった。尚、劇中ではほとんど弾丸を再装填せずに発砲しているが、装弾数は無限ではないらしく、ロボコップ2では弾を再装填するシーンが確認出来る。この銃を足に収納する時には生前の癖が出る。
- コブラ・アサルト・キャノン
- クラレンスの一味にロボコップの破壊を指示したジョーンズが、彼らに与えた強力で対戦車ライフルのようなシルエットを持つ大型の銃器。爆発弾頭を連射可能でターゲットスコープは電子制御のハイテク兵器である。廃工場での死闘の末にロボコップが逆に奪い、オムニ社の玄関を警備していた重武装マシン『ED-209』を撃破するのに利用した。この銃も上記の銃と同様にバレットM82A1というアンチマテリアルライフルが元になっており、2km程度の遠距離や航空機内のハイジャック犯の狙撃に使用される。ちなみに劇中の様にミサイルのような爆発性のある弾を発射する設定は、頓挫したOICWやそれからの派生である25mm弾を使用するXM25、M82を25mm弾仕様へスケールアップしたXM109等との発想の類似が見られるのは興味深い(→XM29 OICW)。
- アームガン
- ロボコップ3で登場した新装備。着脱可能になった左腕を外して装着されるアタッチメント。ミサイル発射機を中心に、その上部にアサルトライフル、下部に火炎放射器をレイアウトした多連装の小火器となっている。アサルトライフルに関しては、バナナ状のボックス・マガジンによる給弾であることが画面から確認できるものの、ミサイルと火炎放射器の装弾数(タンク容量)と再装填は不明な点が多い。
- フライトパック(試作品)
- ロボコップ3で登場した新装備。武装ではなく移動手段。F-117のエンジンを搭載しており背面、肩、腕に連結しロボコップの飛行を可能にした。更に予備バッテリーを内蔵。エネルギー切れの際はここからリチャージ出来る。これにより歩行や自動車に乗ってでしか移動の出来ない(走る描写は一度もなされてないがオートバイの運転は可能)ロボコップを、かなり速い速度で移動できるようになり、上空から敵を制圧することが出来るようになった。制御系はロボコップの射撃用ヘッドマウントディスプレイをアビオニクスとして流用し、また脳直結の操作系を持つことから当然人間には使えない専用装備となっている。また後部噴炎は相当な高熱となり、周囲を焼き焦がすことで攻撃兵器的にも運用可能である。
- ニードル
- 右腕の指の部分に標準内蔵。本来はオムニ社や警察署のコンピューターの端末にアクセスし、データの取り込みやデータ書き換え等を行う際の接続端子として装備されたが、ロボコップ1では物語の後半で武器としても使用している。先端部が尖った円錐状をしており、これをコンピュータに設けられた専用接続ポートに差し込んで利用し、接続中に回転させることで、何らかの機能切り替え操作を行っていることも伺われる。
- パック(小型吸着爆弾)
- 投げたりして磁力で吸着させる爆発物。手榴弾程度の威力だが破裂に伴う破片の爆散で死傷させるようなものではなく、爆発力で対象を吹き飛ばしたり熱で焼ききったりするようなものらしい。オート9とは反対側の大腿部に複数収納されている。起爆にはオート9で銃撃する。
その他、ライフルの銃身を捻じ曲げるほどの腕力を備えている。
[編集] その他
[編集] 関連項目
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