ロメオ級潜水艦
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ロメオ級潜水艦(Romeo class submarine)は、旧ソ連ロシアのпроект 633(Project 633)哨戒潜水艦に付けられたNATOコードネーム。
ウィスキー級潜水艦の発達型であるが、船体がやや大型化し、新型のセンサを搭載した以外、大きな設計上の変更は無く、第二次大戦中のS型潜水艦の系譜を直接に継ぐ艦と言える。このように明らかに設計上の差異が有り、本級とドイツのUボート (XXI型)との関連性を強調し過ぎるのは正しくない。一般に現代の基準においては、潜水艦としてもはや時代遅れのものと見なされているが、北朝鮮などにおいてまだ使われており、中国にも未だ残存している。潜水艦と称されるが、実情は可潜艦というべきものであり、通常は水上を騒音の大きいディーゼルエンジンで航走し、会敵の際に潜航して待ち伏せ攻撃を行なう。潜航能力は低く潜航時の航続距離は10~20海里、最大潜航可能時間は約半日程度であり、ソナーから逃れても空気補充時にレーダーで必ず探知されてしまう。
ソビエト連邦、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国で生産され、ソ連ではProject 633、中国ではType 033またはType ES3として知られる。中国で1隻だけ建造された技術試験型の033G武漢型は、6基のC-801対艦ミサイルを運用可能であり、フランス製の低周波パッシブソナー、Sintra DUUX 5をも搭載しているとされている。この内、Sintra DUUX 5に関しては、後期に建造された艦に追加されている可能性がある。
また、中国のType 035(NATOコードネーム 明型)のデザインはこれに酷似し、船体はこれの改良型である(詳細は、明型潜水艦を参照)。
[編集] 保有国
- 中国: 19隻前後(2010年全艦退役予定)2007年3月に一隻退役
- 北朝鮮: 20隻以上
- エジプト: 4隻
- ブルガリア: 1隻
[編集] スペック
- 水上排水量: 1,330t
- 水中排水量: 1,700t
- 全長: 76.6m
- 幅: 6.7m
- 喫水: 4.95m
- 出力: 水上4000hp 水中2700hp
- 速力: 水上15-17ノット 水中13-14ノット
- 兵装: 魚雷14発または機雷28個
- 21インチ魚雷発射管×6(艦首)
- 21インチ魚雷発射管×2(艦尾)