ワンコールワーカー
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ワンコールワーカーとは、一日単位の仕事について電話、メール等で派遣元からの指示を受け、直接派遣先に出向いて就労する派遣労働者を指す言葉。日雇い派遣とも。和製英語。
「電話一本で呼び出される労働者」という意味で、労働条件の悪い派遣労働者を揶揄した蔑称。
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[編集] 背景
2004年の労働者派遣法改正により人材派遣会社の業務範囲が拡大したことにより発生した。景気低迷により有効求人倍率が1.0を割り込む一方で低賃金労働者の需要が高い社会背景に加え、携帯電話の個人普及率の高さが生み出した就労形態。
[編集] 形態
一般的には、派遣元に登録した者が希望する日に応じて、前日に電話・メールで派遣先の情報が伝達される。労働者は指定された派遣先に出向き、派遣先の指示に従って就労する。
外形的には労働者派遣法に基づく一般派遣労働であるが、労働条件について派遣労働、日雇い双方の問題に加えワンコールワーカー独特の問題もあわせ持つ不安定な雇用形態。
人材派遣会社によっては「スポット派遣」などの名称を使用している。
[編集] 待遇
ワンコールワーカーに与えられる仕事は熟練を要しないものであるが、その分賃金は安い。 交通費などの諸手当もなく、仕事の有無さえ直前にならないと判らないなど、パートタイム労働よりも待遇が悪い一面がある。 また、派遣先について事前の説明が不十分なケースが多く、就労者の傷病に関するリスクが懸念される。
[編集] 評価
働く日付、日数を自分で選択できる自由な労働形態とされる一方で、他に働き口が無い者にとっては派遣元からの電話が生命線であることから「人材派遣会社の奴隷」などと揶揄される。
人材派遣会社の好況に反して待遇の悪いままの派遣労働者が多いことと相俟って、しばしば格差社会の象徴として取上げられる。
[編集] 問題点
- 派遣労働全般に係るもの
- 派遣労働者と派遣先労働者の賃金・待遇格差
- 使用者責任の不明確化
- 派遣元による高額な派遣手数料
- 通勤交通費補助をしないことが一般的(自宅から遠い勤務地を指定された場合は通勤往復時間の無駄も含め致命傷となりえる)
- 日雇い全般に係るもの
- 安定した収入が確保できない
- 職業経験が身に付かない
- 社会保険等生活保障の制度が不十分
- ワンコールワーカーに係るもの
- 仕事の選択権または拒否権が存在していないことが多い
- 仕事の内容が直前まで不明
- 場合によっては賃金すら不明である(仕事内容により賃金が変動する場合など)
[編集] 関連項目
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