伊藤正己
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伊藤 正己(いとう まさみ、1919年9月21日-)は、兵庫県生まれの英米法学者、憲法学者。元最高裁判所判事、東京大学名誉教授、日本学士院会員(第2分科(法律学・政治学))。弟に伊藤正元住友商事社長。 最高裁判事としては、「パブリックフォーラム論」など、数々の補足意見や反対意見を記した。
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[編集] 略歴
- 1943年 東京大学法学部卒業
- 1957年 東京大学教授(1970年11月1日-1972年10月31日 東京大学法学部長併任)
- 1980年1月19日 最高裁判所判事に就任(第三小法廷)
- 1989年9月20日 最高裁判所判事を定年退官
- 1990年1月1日 日本育英会会長に就任
- 1993年1月1日 日本育英会会長に再任
- 1993年4月29日 勲一等旭日大綬章受章
- 1995年12月31日 日本育英会会長任期満了
- 1999年11月3日 文化勲章受章
[編集] 最高裁判所判事
- 自衛官護国神社合祀事件(最高裁昭和63年6月1日大法廷判決・民集42巻5号277頁) - 1968年(昭和43年)1月、陸上自衛隊岩手地方連絡部の二等陸尉Aが釜石市で公務中、交通事故に遭い、殉職した。クリスチャンの妻Bが遺骨を教会に納骨したところ、自衛隊の隊員が山口県護国神社に合祀するので、書類を渡して欲しいと求めたが、Bが拒否した。すると、隊友会山口県支部が申請者となって山口県護国神社に合祀した。そこで、Bが国家と隊友会山口県支部を相手どって慰謝料100万円の支払いを請求した。争点は国の合祀する行為が憲法20条が定める信教の自由に違反し、民事上の請求権として認めるかどうかという点にあった。最高裁判所は、15人中14人がBの請求を棄却する判断をした中、伊藤正己のみが請求を認めるべきだとの少数意見を述べた。
[編集] パブリック・フォーラム論
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[編集] 著書
- 『現代法学入門[第4版]』(有斐閣、2005年)加藤一郎と共著。ISBN 4-64-111256-8
- 『アメリカ法入門 basic university library[第3版]』(日本評論社、2000年)木下毅と共著。ISBN 4-53-501034-X
- 『憲法[第3版]』(弘文堂、1995年)ISBN 4-33-530057-3
- 『裁判官と学者の間』(有斐閣、1993年)ISBN 4-64-102698-X