動物兵器
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動物兵器(どうぶつへいき)とは、軍事目的に動物を使用する兵器のこと。または兵器と同様の役割を動物に担わせること(また、一部では、生体兵器(せいたいへいき)ともいわれる)。
古来から人間は戦争において様々な動物を、その特性を活かして使用してきた。馬を騎乗用、あるいは戦車として利用したものが最も代表的な例であり、インドやカルタゴの将軍ハンニバルが象を使用したことも有名である。このように人間と一体となって戦う以外にも、輸送、通信手段、索敵、あるいは動物単体で攻撃をしかけるなどの様々な用途で動物は使用されてきた。
これらの動物を単に軍用動物とみるか、兵器としてみるかは個人の主観に委ねられる。
特に、動物単体で攻撃をしかけるものをアニマルウェポンと呼称することがある。これはSFの世界と思われがちだが、実際に使用例がある。
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[編集] 馬
馬は草食性で家畜化が比較的容易であり、多目的に利用されてきた。軍事においては、その機動性などから重宝され、銜(はみ)、鐙(あぶみ)、鞍(くら)、蹄鉄などの発明により乗馬技術が進歩し、騎兵としての地位を確立した。現代の戦場では兵器の機械化が進んでその役割を終えたが、儀典の場で活躍している。
- 詳細は軍馬、人間によるウマ利用の歴史、騎兵、戦車を参照。
[編集] 象
インドではインドゾウ、地中海世界ではアフリカゾウが調教され戦場に投入された。家畜化、機動力においては圧倒的に馬に劣るが、その巨体による突進は訓練が不十分な敵勢を瓦解させるのに十分であった。しかし、その巨体ゆえに搭乗者もろとも標的になり易く、火器に弱いなど、戦場での弱点に対応しきれず、使用していた国、地域の没落とともに戦場から姿を消すこととなった。
- 詳細は戦象を参照。
[編集] 鳩
鳩の利用とは伝書鳩による通信手段である。現代のような無線技術を駆使した通信技術のない時代では、帰巣本能に優れた鳩が最速の通信手段であった。通信用の鳩は無線機器故障の際の代替手段として第二次世界大戦時でも使用されている。現代で鳩が主要な任務をこなすことはない。
[編集] 犬
イヌは古代から人間社会と密接に関わっており、特に学習能力が高く嗅覚に優れていることから索敵、行方不明者や地雷の捜索、追跡など、多岐にわたって使用される。その用途は軍民を問わず活躍しており、軍事においては現代でも軍用犬として現役である。
- 詳細は軍犬を参照。
- 地雷犬
- 地雷犬とは、旧ソビエト連邦が独ソ戦においてドイツ国防軍の戦闘車両を破壊するために、信管を取り付けた爆薬を背負わせたイヌである。稼動させたドイツ軍の車両の下に餌を置き、条件反射でそれを覚えたイヌを飢えさせた状態で戦場に投入し、イヌ自らが地雷となるものであったが、敵軍だけでなく自軍にも被害が出て、運用が困難であった。
- 詳細は地雷犬を参照。
[編集] ラクダ
乾燥地帯や山岳地帯、寒冷地など特殊な地理的条件では、輸送に牛馬を用いるよりもラクダを用いた方が有効である場合がある。これはラクダが数日間、水分の無補給に耐えることができる、積載量が多いといった利点があるからだ。日中戦争時、日本陸軍もフタコブラクダを一部地域で使用していた。また砂漠地帯などでは、古くからラクダに騎乗した戦士であるラクダ騎兵が戦いに用いられていた。
[編集] イルカ
イルカの高い学習能力を利用して機雷探知などを行い、水中での活用を行うものである。なお、ハリケーン・カトリーナの襲来によってテロリストに毒矢を射掛けるよう訓練していたアメリカ軍のイルカが逃げ出したとの報道があり話題となったが真相は不明。
- 詳細は軍用イルカを参照。
[編集] その他の例
- ウシ
- 牛は馬と同じく、物資の輸送に使われてきた歴史を持つ。しかし、中国・戦国時代の斉の武将田単は、数百頭の牛の角に松明を括り付けて夜間に敵の軍勢に放ったと伝えられている(『史記』は牛の尻尾に葦の束をくくりつけ、それに火を着けたと記されている)。また、『平家物語』の異本である『源平盛衰記』には源義仲が倶利伽羅峠の戦いで同様の戦法を用いたと記されているが、これが史実かどうかには疑問が呈されている。
- コウモリ
- 第二次世界大戦時、アメリカ軍は日本を空襲する方法の一つとしてコウモリの使用を検討した。小型のナパーム弾を括り付けたコウモリを夜明け前の狙って日本上空で放ち、日光を避ける習性のために木造の多い日本の家屋の屋根裏にとまったところで爆発させるという計画であった。しかし運用に危険が伴うこともあり、実戦配備されることはなかった。
- タカ
- 日露戦争の旅順攻囲戦において、要塞守備軍が伝書鳩を使用して外部と通信しているのを阻止するため、長岡外史参謀次長の提案で鷹狩り用のタカを使ってハトを襲わせる作戦が検討されたが、訓練が要塞陥落に間に合わず実行されなかった。
- なお、第二次世界大戦中には、イギリス軍が伝書鳩を多用していたため、ドイツ国防軍が実際にタカに伝書鳩を襲わせている。
- ニワトリ
- 冷戦時代、イギリスが西ドイツ領内に核地雷の配備を計画したことがある。その際、地下に埋めてから起爆させるまでの数日間に電子部品が冷えて故障するのを防ぐため、ニワトリを餌と一緒に地雷の中に閉じ込め、その体温で電子部品を暖めようとしたが、核地雷の配備自体が中止されたために実用化はされなかった。
- 詳細はブルーピーコックを参照。
- ブタ
- 古代ローマが拡張していく過程で、他国との戦闘時に遭遇した戦象への対抗策として、豚の背に油を塗り火をつけて敵に放ち、その火勢と絶叫をあげ走り回らせることにより、象を混乱させる戦術があったとされる。
[編集] 関連項目
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