国鉄DF90形ディーゼル機関車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
DF90形ディーゼル機関車(でぃーえふ90がたでぃーぜるきかんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)のディーゼル機関車の一形式である。
目次 |
[編集] 製造の背景
国鉄がディーゼル機関車の開発を模索していたころ、国内の車両メーカーは国鉄および海外への売り込みをはかるべく、独自の機関車を設計・試作した。これらの機関車は、合計9形式が国鉄に借り入れられ、40代、のちに90代の形式を与えられて試用された。一部の形式は国鉄が正式に購入した。 それらの試作機関車のうち、本線・入換兼用として製造されたのが、本形式である。
[編集] 構造
エンジンは西ドイツ(当時)のMAN社と日立製作所が提携して製作したV8V22/30形(V形16気筒 1680馬力/900rpm)である。エンジンを車体中央に、冷却装置はその前後に各1組を配置した。
動力伝達方式は電気式を採用した。主発電機は1100kw/900rpm、全車軸に165kw/500rpmのモータを装備する。
台車は3軸台車を2組装備し、軸配置はC-Cである。動輪直径は1000mm。なお客車への暖房供給装置は搭載されてなく、冬季は暖房車を連結していた。
車体は箱形で非貫通。前面は国鉄EF58形電気機関車と同系統の意匠だが、車体長の関係から前面を細く絞る必要が無かったため、若干線が太い感じである。落成時は赤を基調にクリーム色を配した塗色であったが、すぐに当時の標準色である茶色(ぶどう色)1色とされた。1958年(昭和33年)、A.R.C.(アジア鉄道首脳者懇親会)の鉄道展にあわせ、落成時の塗色(前照灯周辺など細部に相違があった)に変更され、その後暫くそのままの姿で運用に就いた。1961年(昭和36年)、再び茶色1色に戻されたあと、秋田への転属時に国鉄標準色ともいうべきグレー(上半分)と朱色(下半分)に塗られた。
メーカーの諸元では運転整備重量90tとなっているが、実際はもっと重かったらしく、電気制動やラジエタの一部撤去、空気圧縮機の交換など、数回の軽量化改造の後、国鉄購入時に92t以下となった。
[編集] 製造
1955年(昭和30年)に日立製作所で製造され、翌年に国鉄が借り入れた。1961年(昭和36年)には国鉄が購入している。
[編集] 運用
1957年(昭和32年)6月に国鉄が借り入れて水戸機関区に配置。1964年(昭和39年)8月まで常磐線の旅客列車に使用された。秋田機関区に転属となってからは、秋田地区で使用するには軸重が重すぎる事、また1形式1輌のため保守面でデメリットがあった事から、僅かに入換などで1966年(昭和41年)ころまで使用された後休車となった。1971年(昭和46年)2月10日に廃車され、しばらく東能代機関区に留置されていた。
[編集] 情報
メーカーの文献や取り扱い説明書には、本形式に「DF50」という形式を付与した写真や図が残されている。
[編集] 主要諸元(製造時のもの)
- 全長:16.33m
- 全幅:2.944m
- 全高:3.942m
- 運転整備重量:90t
- 軸配置:C-C
- 機関:MAN V8V22/30形ディーゼル機関1基
- 出力:1680PS/900rpm
- 動力伝達方式:電気式
- 最大運転速度:100km/h
- 主発電機型式:EFC10-SP
- 主発電機出力:1100kw/900rpm
- 主電動機:HS-274-Ar-17
- 出力:165kw/680rpm
- 連続定格引張力:12300kg/28.7km/h
日本国有鉄道のディーゼル機関車 |
---|
DB10/DC10・DC11/DD10・DD11・DD12・DD13・DD14・DD15・DD16・DD17・DD18・DD19・DD20・DD21 DD40(DD92)・DD41(DD90)・DD42・DD91・DD93 DD50・DD51・DD53・DD54/DE10・DE11・DE15・DE50/DF41(DF92)・DF90・DF91I・DF40(DF91II)・DF93/DF50 ケDB10・ケDB11 |