堺泉北臨海工業地帯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
堺泉北臨海工業地帯(さかい・せんぼくりんかいこうぎょうちたい)とは、大阪府の大阪湾岸を埋め立てて造成された工場集積地域。堺市、高石市、泉大津市にまたがり、堺泉北港の港湾機能を持つほか、石油・化学・鉄鋼・金属などの工場、発電所、ガス製造所などが立地。大阪府の製造品出荷額のおよそ11%を占める。
目次 |
[編集] 概要
- 面積:約2,000ha
- 事業所数:242(4人以上の事業所)
- 従業者数:14,470人
- 製造品出荷額:1兆7258億1827万円(大阪府の製造品出荷額の11.1%)
- 石油・石炭:7896億3199万円(7事業所、製造品出荷額全体の45.7%)
- 化学:3802億2189万円(47事業所、同22.0%)
- 鉄鋼:2524億5247万円(28事業所、同14.6%)
- 金属製品:1324億3485万円(74事業所、同7.7%)
(平成15年度 大阪府統計)
- 1957年~1966年に堺地区が、1961年~1972年に高石・泉大津地区が整備され、計1,711.4haが造成された。同時に、企業専用埠頭が約8割を占める堺泉北港が整備され、鉄鉱石など船舶により海外から輸入された原材料を加工して輸出する石油コンビナートとして機能。高炉を持つ新日本製鐵堺製鐵所や日立造船、三井東圧化学、丸善石油などの工場に関西電力、大阪ガスの発電所・ガス製造所がエネルギーを、大阪府が工業用水を供給。中小企業による繊維や金属・機械工業が中心であった阪神工業地帯の産業高度化に寄与し、高度経済成長期の大阪・関西経済を牽引した。
- 一方、この工業地帯の造成によって、古くから行われてきた漁業は衰退。浜寺・大浜・高師浜など、地元で親しまれてきた砂浜と自然が失われたことによる批判もあった。昭和40年代後半から南大阪で頻発した光化学スモッグとの関連を指摘する声もあるが、臨海工業地帯との因果関係は必ずしも明確ではない。
- 高度経済成長が終焉し、重化学工業は徐々に衰退。製造品出荷額は1990年の約2兆円をピークに低下した。新日本製鐵が高炉を廃止、日立造船が造船部門を移転。地域内に遊休地が目立つようになった。
[編集] 今後の計画
- 1992年12月の大阪湾臨海地域開発整備法の成立を受けて、大阪府は大阪湾臨海地域整備計画を策定。次のような開発が予定されている。
- 堺北臨海地区 - 堺2区の低未利用地を中心に、工場以外の整備を計画。国際マリーナ、医療関連研究施設、環境研究・教育施設、大規模スタジアム。このほか共生の森や干潟を整備し、自然環境の回復も図る予定。
- 高石・泉大津地区 - 泉北ポートサービスセンタービル
- 2004年に、三井化学や、関西電力、宇部興産などの民間企業9社と、大阪府、堺市、高石市が加盟する任意団体『堺・泉北臨海企業連絡会』が結成された。技術、環境などの分野で協力できる事業を模索し、官民一体となって地域振興策を協議することを目的としている。2006年11月の総会では、活性化計画として年度内に『堺・泉北ベイエリア新産業創生プログラム』を作り、事業などの方向性を示す事が決定された。
- 関西電力は、それまで大阪ガスからLNGの供給を受けていたが、2006年1月より、自社所有による堺LNG基地を稼動させた[1]。現在、近畿都市部に電力を供給している堺港発電所(出力200万kw)を、LNGによる高効率コンバインドサイクル発電による設備に更新し、2009年4月から運転する予定。一方、電力事業への進出をめざす大阪ガスは、LNGを利用した泉北天然ガス発電所(出力300万kw)の建設を計画し、2009年の稼動をめざしている。
- ^ 基地の運営会社である堺エル・エヌ・ジー(株)は、2000年12月1日に、関西電力70%、岩谷産業、コスモ石油各12.5%、宇部興産5%出資の合弁会社として設立(資本金10億円)。
[編集] 事業所のある主な企業
堺1~7区(堺市)、泉北1~6区(高石・泉大津市)に区分されている。企業名後の*印は堺・泉北臨海企業連絡会に参加している企業。
- 新日本製鐵
- 日立造船
- クボタ
- セントラル硝子
- 栗本鐵工所
- 松尾橋梁
- 太陽日酸
- 大和ハウス工業
- 日新製鋼
- 住友金属パイプエンジ
- 住友金属建材
- 日本酢ビ・ポバール*
- 丸一鋼管
- コスモ石油*
- 新日本石油*
- 東燃ゼネラル石油*
- ダイキン工業
- 宇部興産*
- 不二製油
- ライオン
- 大日本インキ化学工業*
- 三井化学*
- 大阪ガス泉北製造所*
- 関西電力堺港発電所*