御神苗優
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御神苗 優(おみなえ ゆう)は、たかしげ宙原作の皆川亮二の漫画作品『スプリガン』の主人公である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 概暦
現役高校生ながらアーカムのトップエージェントの一人であり、世界中の組織で恐れられている。成績はけっして悪くはない(英語の成績は抜群らしい、勉強全般も嫌いではない)のだが、日本に一人しかいない特殊エージェントのためアーカムの仕事が頻繁に入ってきて出席日数が足りず、激しい任務を終えた後は授業中に居眠りをしているので、留年ギリギリである。
優が6歳の頃、実の両親と共にアーカム発掘隊に参加していたところを、米軍がアーカムへの示威行為として発掘隊を襲撃し、運よく助かった優は、両親や発掘隊員達の無残な屍を目にする。その後アメリカの叔父の家族に引き取られ、普通に生活していたが、何者かに拉致され忽然と姿を消す。
拉致された優は、米軍のプロジェクト COSMOS (Children Of Soldier Machine Organic System) で機械兵士 No.43 として徹底した洗脳、訓練を施される。やがて米軍は COSMOS をアーカムの発掘現場に差し向け、優はまさしく機械のようにアーカムの人間を殺戮していったが、あることが引き金で過去と精神が蘇り、暴走を始めた優は単独で当時の COSMOS をほぼ壊滅させた。
ただ一人取り残された発掘現場で放心状態になっている所を、朧に発見される。朧を目にした瞬間優は攻撃を仕掛け一撃で倒されるが、同時に特殊部隊の射撃も回避する朧に攻撃を当てたことからも、優の非凡な戦闘の素質がうかがえる。御神苗隆、秋葉親子の元に再び帰り、彼らと共に過ごすことによって人間らしさを取り戻す。そして自ら「スプリガン」になることを志願し、朧やボーマンの元で心身を鍛える。
[編集] スプリガン
スプリガンとしては天性の戦闘センス、並外れた生命力と不屈の精神力、瞬時の洞察力と機転に裏打ちされたサバイバル能力でいかなる困難な任務も成功させてきたが、その窮地に陥ったときの爆発力は、同時に普段の明るさの奥底に隠れた冷血な COSMOS 兵士としての自分を呼び起こすことでもあり、ひとたびキリング・マシンとなった優は冷徹かつ凄じい戦いぶりで一気に形成を逆転する。しかし優はそんな自分の中の機械兵士を忌み嫌い、恐れていた。
「トライデント」のバックアップで復活した COSMOS と再び対峙したことによって、自分の過去と、自分の中の機械兵士に直面することになる。圧倒的な強さで迫り、様々な手段で優を追い詰めていく COSMOS の前に、機械兵士としての力を再び解放せざるを得なくなり、 COSMOS を殲滅する。その直後で正気を失いかけている優を、 COSMOS を指揮するかつての上官ラルフ・クーリーは再び洗脳し殺害しようとするが、それを打ち破りクーリーを葬り去る。
優は任務をこなしていくうちにアーカム内部に異変が起きていることを察知し始めるが、アーカムから離反し優に立ちはだかるボーマン教官を前にして、それが確信に変わっていく。かつての恩師であるボーマンを、迷いながらも結局倒すことになり、深い悲しみに襲われる。
A・M (アーマード・マッスル)スーツでも防げない拳を持つ強敵、源双烈と対峙した時、死闘の中でその潜在能力を発揮し、獣人(ライカンスロープ)のジャン並みのスピードと鮮やかな武術の技で、源双烈を完膚なきまでに打ち倒す。師である朧は、機械兵士ではなく人間として本来の力を発揮し始めたと、目を見張った。
やがて朧は、アーカムから離反しジャンを倒して、優の前に立ちはだかる。それは自分自身の修行と、優の力を完璧に引き出すためであったが、戦いの中で優は、機械兵士としての自分を乗り越え、相手の氣を肌で感じて回避する朧の体術を会得する。しかし朧は圧倒的な強さで優を追い詰めていき、優は最後の力を振り絞って勝負をかけるが、朧はあくまで拳同士の戦いとするために自分の氣功を封じ、優の最後の一撃が入って、引き分けに持ち込むことができた。
完成された COSMOS は No.0 (金谷昌)を司令塔とし、日本列島壊滅を目論んで、優の前に再び現れる。優はジャン、暁、ボーと共に COSMOS に戦いを挑む。朧との戦いで大きく成長した優は、 COSMOS の予測を超える力を発揮し、 COSMOS の計画を阻止する。優は、 No.0 達 COSMOS 兵士に救いの手を差し伸べようとするが、それを拒否した No.0 に従い COSMOS 兵士全てが自決してしまう。またボーも激戦の中で、日本列島を守るため、その命を燃焼し尽くした。
優はボーが眠る前で、今までの戦いで命を散らした者達のためにも、ヘンリー・ガーナムのアーカムに反旗を翻し、その計画を阻止することを誓う。そして、志を同じくするスプリガンや科学者達と共に南極に向かい、アーカムに戦いを挑む。アーカムは遺跡の力を暴走させ、巨大な蛇の形をした炎が世界中で発生する。優は護衛として差し向けられた無敵の青銅巨人に叩きのめされながらも、痛みを訴える地球生命体の精神を感じ取り、優は自分の生きたいという強い意志を地球生命体に示す。これによって荒れ狂う炎蛇は静まり、それと共に青銅巨人も消滅する。
[編集] その後
南極での戦いを終えた後は何とか高校を卒業し、しばらく休暇をとって隆と共に世界を旅していた。SPECIAL ACT 「GOLD RUSH」では、大学生(考古学部)となっていた。ガーナムが退陣し、新体制となったアーカムにスプリガンとして復帰しており、インカの黄金郷(エルドラド)をめぐる任務に当たる。もうA・Mスーツは装着していないが、気配を読んで光速に近い速さを持つ雷を回避するなど、もはや無敵といえる強さに達している。
大学でも相変わらず授業中は居眠りをしているが、黄金郷の任務に同行した同じ大学の近藤菜々子には、過酷な仕事を忘れさせる考古学への思いを語り、考古学者としてのロマンを持ち続けてくれと言う。