復活の日
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『復活の日』(ふっかつのひ)は、小松左京が1964年に発表した日本のSF小説である。また、同作を原作に、角川春樹事務所とTBSの製作により、1980年6月に東宝系で公開されたSF映画である。英題:VIRUS。
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[編集] 概要
小松にとっては『日本アパッチ族』に次ぐ長編第2作であり、バイオテクノロジーによる破滅テーマの本格SFとしては日本ではこれが嚆矢になった。執筆当時の香港風邪の流行、東昇の『ウイルス』、カミュの『ペスト』『戒厳令』、南極には風邪がないと記された岩波新書の『南極越冬記』を下敷きとしている。本作で地震について調べたことが、代表作『日本沈没』にも繋がったという。1970年代、角川春樹が社長に就任した角川書店では角川文庫を古典中心からエンターテインメントに路線変更を図り、特に日本のSF小説に力を入れていた。本作も早川書房から刊行されていたものを1975年に角川文庫へ。また、当時、角川は映画製作事業も開始しており、いわゆる角川映画の1本として白羽の矢が立った。角川春樹は社長に就任するとすぐ小松に文庫化を依頼し、映画化の際には小松に「これを映画化するために会社を継いだ」と語ったという。
壮大なスケールの原作の映像化にふさわしく、直接の制作に費やした費用は25億円。深作欣二監督の下、外国人俳優も多数参加した。撮影日数には1年以上をかけ、特に35mmムービーカメラで南極大陸を撮影したのはこの映画が世界初となった。南極ロケでは座礁事故を起こして一般ニュースとして日本で報道され、また、チリ海軍の協力で本物の潜水艦を撮影で使用するなど話題には事欠かなかった。世界各地の様子を知る為に昭和基地のアマチュア無線で情報収集をする様子が描かれている。
国内公開では配給収益24億円とヒットしたものの、製作費が巨額だったため、宣伝費等を換算すると赤字だったとされる。国際市場を意識して、外国人俳優を起用して海外ロケを行い、当初は監督と脚本に外国人スタッフを打診した。アメリカ人スタッフによる編集で海外版を制作したものの、海外セールスは好調とはいかなかったとされる。本作がきっかけとなって、角川映画は1970年代の大作志向から、1980年代は、薬師丸ひろ子ら角川春樹事務所所属俳優主演のアイドル路線に転換した。
角川と共同製作したTBSは、1980年4月から放送した連続テレビドラマ『港町純情シネマ』の第1回で、西田敏行演じる映写技師が本作の場面を流すタイアップを行なった。
[編集] 内容
細菌兵器に使うため弱毒化する過程で出来た、猛毒の新型ウイルス MM-88 (映画では「イタリア風邪」とされているが、原作では新型インフルエンザウイルスの流行と並行して蔓延したことになっている)の事故による蔓延で、人類(哺乳類、鳥類)はほとんど絶滅。生き残ったのは南極大陸に滞在していた各国の観測隊員だけであった。
絶望の中から再建の道を模索する彼らだったが、地質学者・吉住がアラスカへの巨大地震の襲来を予測する。そしてこの地震を核爆発と誤探知する米の自動報復装置 (ARS) によってソ連本土に核ミサイルが撃ち込まれ、さらにこれを受けてソ連の ARS も作動し、南極も含めた全世界に核弾頭付き ICBM が降り注ぐ危険が判明する。吉住は自ら志願して、ワシントンD.C.にあるスイッチを切る為にふたたび死の世界へと赴く……。
[編集] 映画版
[編集] スタッフ
- 製作:角川春樹
- 監督:深作欣二
- 脚本:高田宏治、深作欣二、グレゴリー・ナップ
- 撮影:木村大作
- 原作:小松左京
- 音楽監督:Teo Macero 、羽田健太郎
- 音楽監督補佐:鈴木清司
- 主題歌: ジャニス・イアン「You are love」
[編集] 出演
- 吉住周三:草刈正雄
- 中西博士:夏八木勲
- 山内博士:千葉真一
- 辰野隊員:渡瀬恒彦
- 松尾隊員:永島敏行
- 真沢隊員:森田健作
- 浅見則子:多岐川裕美
- カーター少佐(アメリカ隊):ボー・スベンソン
- マリト隊員(ノルウェー隊)オリビア・ハッセー
- コンウェイ提督(アメリカ隊):ジョージ・ケネディ
- マクラウド艦長:チャック・コナーズ
- リチャードソン・アメリカ合衆国大統領:グレン・フォード