撮像管
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
撮像管(さつぞうかん)は被写体の像を電気信号に変換するための電子部品である。映像信号としてテレビ受像機に像を映し出すための最初の段階を担う部分であり、テレビカメラの心臓部である。同様の働きをするものに固体撮像素子があり、撮像管に対して撮像板(さつぞうばん)と呼ばれることがある。
機能部は真空にした筒状のガラス管に封入されており、先端に配置された撮像面に光学系により被写体の光学像を投影し、光の強弱を電気信号として取り出すものである。光-電気変換には、一般に光導電効果を応用した光導電膜を用いることが多く、光導電膜の素材により様々な撮像管が開発された。例えば初期の撮像管であるビジコン(英: vidicon)は三硫化アンチモンを用いたものある。光の強弱によるこの光導電膜の抵抗変化を、撮像管を囲むように配置した偏向コイルなどによって走査される陰極からの電子ビームで外部に読み出すのが基本動作原理である。
- 世界初の撮像管は1931年に P. T. Franswarth のつくったイメージディセクタである。
- 実用的な撮像管として最初のものは1933年に V. K. Zworykin のつくったアイコノスコープ (iconoscope) である。
撮像管は電子管の一種であり、固体撮像素子に比べて性能維持や調整に手間がかかる。また固体撮像素子の品質が向上し、放送用として充分な画質を得られるようになったことから、撮像管は次第に固体撮像素子に置き換わっていった。
現在では、撮像管は高感度暗視カメラなどの特殊な用途に使われている。
主な撮像管には以下のようなものがある。【】内は光導電膜の素材を示す。
- イメージディセクタ・・・P. T. Franswarthが発明
- アイコノスコープ・・・V. K. Zworykinが発明
- イメージオルシコン・・・アメリカ・A. Roseらが発明
- ビジコン・・・アメリカ・RCAが開発【Sb2S3】
- プランビコン・・・オランダ・フィリップスが開発【PbO】
- サチコン・・・NHKと日立製作所が開発【Se・As・Te】
- ニュービコン・・・松下電器産業が開発
- トリニコン・・・ソニーが開発
- HARP(ハープ)・・・NHKと日立製作所が開発(超高感度撮像管)