新保守主義
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新保守主義(しんほしゅしゅぎ、英:Neoconservatism)は政治的立場の一種。
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[編集] 概要
1980年代に登場した、対外的には時に武力行使も辞さないとする強硬姿勢を取り、内政面では福祉や住民サービスを削減し民間に解放することで効率を最重視することにより「小さな政府」を重視する立場を取る政策論のこと。国家によるサービスの縮小(小さな政府、民営化)と、大幅な規制緩和、市場原理主義の重視を特徴とする経済思想は新自由主義と呼ばれる。地方を基盤とし安定的な経済を与える従来の保守とは異なり、大都市市民の不安を煽ることにより都市を基盤にして台頭した。ネオコンと略される場合、狭義の意味として独裁国を武力により民主化しようとする勢力、特にアメリカの新保守主義者を指すことが多い。(ネオコンという言葉自体はジャーナリストの田中宇氏が日本に紹介したとされる)
英国と米国の文脈では、外交政策上は強硬で軍事力の重視やイスラエルに対する積極的な支援を表明する傾向にある。経済的には政府による介入を排し、市場や企業の活動への規制を無くす傾向が強い。大企業や富裕層への減税と間接税増税、福祉削減、規制緩和などによって特徴づけられる。英国ではサッチャー政権が地方議会を廃止していった例のように、中央集権的な傾向を持つとされる。また、家族・性道徳などを重視する保守的な価値観、倫理観を持ち、妊娠中絶、麻薬問題、同性愛者の権利問題などをめぐる政策に反映される場合がある。
[編集] 各国における新保守主義
アメリカのレーガン政権、英国のサッチャー政権、日本の中曽根内閣が新保守主義の代表例として言及される。また、小泉内閣や安倍内閣や石原慎太郎も新保守主義とされることがある。
[編集] 日本
日本では地方を基盤とするのではなく都市部の人気に依存し、親米保守もほぼ同じ勢力を意味し、外交的には憲法改正と日米同盟の強化、中国や北朝鮮への脅威論を唱え強硬姿勢を取る。自衛隊の自衛軍への昇格など海外派兵に積極的である。内政的には規制緩和(国鉄や電電公社などの民営化)と自由貿易・自由経済の推進、福祉政策・社会保障の削減・縮小という効率重視の政策を取る。地方自治には消極的であり市町村数の削減・交付金の削減など中央集権的な政策を取る。道徳的には伝統尊重を価値観に据えている。
日本の新保守主義は自民党にも民主党にも存在する。主に若手議員で憲法9条改正に躊躇しないことを特徴とする。松下政経塾出身の議員に多いとされる。
[編集] 代表的な論者
[編集] アメリカ新保守主義
- 詳細は新保守主義 (アメリカ)を参照
現在の米国でネオコンと呼ばれる勢力は中曽根やレーガンの新保守主義とは同じ言葉でも意味が違う場合がある。彼らはレーガン政権内の一勢力として育ってきたものであり、そこではあくまでも少数派であった。
[編集] 関連項目
カテゴリ: ネオコン | 政治思想 | アメリカ合衆国の歴史 | アメリカ合衆国の国際関係