森恪

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森恪（もりかく、正式には、もりつとむ、明治16年(1882年)2月28日 - 昭和7年(1932年)12月11日）は、昭和戦前期の日本の極右政治家、衆議院議員。東洋のセシル・ローズを自認した帝国主義者。軍部と癒着し、日本の中国進出に大きな役割を果たす。

[編集] 経歴

1882年2月28日（戸籍上の誕生日。実際の誕生日は、前年の明治15年12月28日）大阪府西区江戸掘にて森作太郎の子として生まれる。最終学歴は東京商工中学校卒業。明治34年(1901年)東京高等商業学校入学試験に不合格となる。

父と旧知の仲であった三井物産上海支店長で、後年、立憲政友会幹事長、南満州鉄道総裁を歴任する山本条太郎の縁故で、同支店支那修業生として中国に渡る。上海支店社員時代に中国語（北京語、広東語）、英語に通じたほか、日露戦争では、バルチック艦隊を発見して日本海海戦の勝利に貢献した。三井物産天津支店長を経て、大正5年(1916年)に上仲尚明と共に塔連炭砿鉱業権を得ると、翌大正6年(1917年)より東洋炭砿、小田原紡績、東洋藍業、東洋製鉄など次々と事業を興して事業家となった。

大正7年(1918年)に政友会に入党して政界に進出、党に多額の献金（推定5万円）をする。大正9年(1920年)政友会公認で神奈川県足柄郡から衆議院議員総選挙に立候補し、初当選。選挙に多額の資金をつぎ込み、金の出所をめぐり「満鉄事件」といわれる疑獄事件に発展している。この疑惑がたたり、次の総選挙では落選する。選挙区を栃木県に移し当選し、国政に復帰する。大正12年(1923年)には政友会院内幹事となり、1925年、衆議院議員に当選。昭和2年(1927年)田中義一内閣で外務政務次官を任ぜられる。当選2回でありながら、政務次官となるのは、異例のことであったため、党内からは反対論が噴出したが、院外団の支持と、森が地盤を受け継いだ横田千之助が田中を陸軍から政界に進出させた立役者であったため、就任にこぎつけた。外務大臣は、田中首相が兼摂したため、事実上の外相として辣腕を振るう。田中政権下では対中国強硬外交を強力に推進し、山東出兵、東方会議開催などに奔走した。また、満蒙を中国本土から分離することをもくろみ、張作霖爆殺事件（首謀者は関東軍の河本大作大佐）の背後にいたともされる。

田中内閣が昭和天皇に譴責され、総辞職すると、昭和4年(1929年)政友会幹事長に就任する。ロンドン海軍軍縮条約をめぐり、昭和6年(1931年)2月首相臨時代理の幣原喜重郎外相の衆議院予算総会での失言を捕まえ、浜口内閣を揺さぶる。第二次若槻礼次郎内閣を経て、同年12月13日政友会の犬養毅内閣が成立すると内閣書記官長となる。しかし、元来が軍部と提携した森と、政党政治家の犬養は、水と油ともいうべき関係で、軍部と大陸政策をめぐり、対立する。森は、犬養に対して内閣改造を提言するが、入れられず辞表を提出するが、預かりとされる。昭和7年5月15日五・一五事件では、会心の笑みを漏らした様子が語られている。7月に発病。12月11日、持病の喘息に肺炎を併発し、滞在先の鎌倉海浜ホテルにて十河信二と鳩山一郎・薫子夫妻に看取られ死去。49歳。