歪み (音響)
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歪み(ひずみ、distortion)とは電気回路における、系の非線形な応答により入出力の波形が相似形にならない現象。主に、増幅回路を含む系での性能指標として使用されるため、電気音響工学で使用される場合が多いが、近年では、無線通信機のパワーアンプや高周波スイッチの性能指標にも使用される。
[編集] 電気音響工学での歪み
限界を超えた音は増幅回路の限界値で発音される、すると音を波形として捕らえたときに、波形の頂点が頭打ち(ヒステリシス)した形になる。が、増幅回路の限界値を超えなくても歪みは発生場合があり、またスピーカーの振動や電気音響工学にかかわらず人間の発声などについても起こりえる物理現象である。歪みはこれまで雑音として扱われてきたが、主にロックを中心に表現の一部として利用するようになった、それに伴い一部の増幅回路(ギターアンプなど)も歪み値を可変できるように設計されるようになった。
[編集] 無線通信回路での歪み
無線通信回路に使用されるパワーアンプや高周波スイッチは非常に高い線形性が要求される。これは、送信信号や受信信号、または他の妨害波により通信機の誤動作が生じることを避けるためである。この歪みは回路に使用されている素子の持っている非線形性が原因で生じる。