状態方程式
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状態方程式(じょうたいほうていしき)とは、その対象がどのような状態であるかを決定する方程式のことである。
物理学や化学では物質の状態を表現する方程式のことをいうが、制御工学ではシステムの入力と出力の関係を表す方程式をいう。
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[編集] 状態方程式(物理学・化学)
物理学や化学においての状態方程式(じょうたいほうていしき)とは、その物体がどのような状態であるかを決定する方程式。
[編集] 気体の状態方程式
[編集] 理想気体
理想気体の場合は、圧力をP、体積をV、物質量をn、気体定数をR、熱力学温度(絶対温度)をTとおくと、ボイル=シャルルの法則とアボガドロの法則から、
という関係式が得られる。これを理想気体の状態方程式という。
また、この式は統計力学からも導くことができる。
[編集] 実在気体
実在気体の場合は、以下のいくつかの近似式が提案されている。
- ファンデルワールスの状態方程式
- ビリヤルの式
- ペン-ロビンソンの状態方程式
[編集] 液体及び固体の状態方程式
状態方程式は気体だけでなく、液体や固体に対しても、その熱力学的状態を記述する状態方程式が存在する。また主に熱平衡状態下での系(物質)の状態変数と温度との関係を表すものが状態方程式であるが、必ずしも状態変数‐温度との関係とは限らない。熱平衡下における磁性体では、磁化⇔磁場、同様に誘電体では、電気分極⇔電場の関係を表す式も状態方程式と言われることがある。
固体における状態方程式としては、マーナハン(Murnaghan) の状態方程式が有名。式は、
であり、Etotは系の全エネルギー、Bは体積弾性率、B'は体積弾性率の圧力の微分、V0は平衡格子定数での系の体積、Etot(V0)は平衡格子定数での全エネルギーである。この式で、V=V0において、右辺括弧内がゼロになり、Etot(V0)となる。
上式は、全エネルギーと体積との関係式(バンド計算などで利用される)であるが、マーナハンの式には圧力と体積との関係式、
がある。このような固体における圧力‐体積などの関係式(状態方程式)にはいくつか派生型が存在する(Birch-Murnaghanの式など)。
[編集] 状態方程式(制御工学)
制御工学における状態方程式(じょうたいほうていしき)とは、制御対象のシステム(プラントという)が入力に対してどのような応答であるかを決定する方程式のことである。 制御工学では、システムの入力と出力を観測することにより入出力の関係を数式化(モデル化あるいはモデリングという)し、望ましいフィードバック制御系を設計することを目的とする。このような状態方程式に基づく解析・設計手法を総じて状態空間法と呼ぶ。
線形時不変なシステムにおいて状態方程式は、
で表される。ここで、uがシステムへの入力、yがシステムの出力であり、内部変数xを状態ベクトルという。係数行列A、B、Cはシステムによって決まる。
[編集] 関連記事
- 線形システム
- 状態空間法
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