相鉄7000系電車
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7000系電車(7000けいでんしゃ)は、相模鉄道の通勤形電車である。
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[編集] 系列別概要
[編集] 7000系
1975年(昭和50年)9月から1985年(昭和60年)4月にかけて80両が投入され、新6000系の足回りと2100系と同様のアルミ製車体を組み合わせて登場した。
一見すると、5100系(5000系)や2100系後期車と同じような車体であるが、側面の型材着色帯が細くされていること、前面の灯火類が外側に寄せられていること、前から見た際に雨どいが目立たないようにされていること、前面にステンレス製の補強板を張った部分を側面から見ると下部にある斜めの欠き取りがないなどといった細かな差異が見られる。また車内の造作もやや違っている。5100系(5000系)や2100系とともに「アルミ車トリオ」と呼ばれたが、前者の2系列は東急車輛製造製なのに対して、本系列は日立製作所製である。このことから、日立製作所製のアルミ車は、旧6000系6021号車以来8年ぶりということになる。
設計・構造は、ロール材などを活用してさらに合理化、鋼体重量は3.6tという、大型通勤電車としては空前の軽さになっている。一部車両の貫通路に最初から風をさえぎるための引き戸が設置されたのも、相鉄ではこの系列が最初である。
当初、海老名寄り制御付随車クハ7500形(13両製造)、横浜寄り制御付随車クハ7700形(12両製造)、中間電動車モハ7100形の3形式が登場し、編成も当初は新6000系をモデルにした4両+4両の8両編成と2100系をモデルにした中間にモハ7100形(40両製造)を4両組み込んだ6両編成の2本立てであったが、その後1編成(1980年(昭和55年)増備の「旅客車301両達成記念」編成)を除き7両編成化され、最初から7両編成で登場したものもあった。その後、すべての編成をラッシュ時10両編成・閑散時8両編成として運転できるようにするため、1983年(昭和58年)に横浜寄り制御電動車モハ7000形(8両製造)と中間付随車サハ7600形(7両製造)が登場した。モハ7000形はモハ7100形7134~7148の偶数番号車とユニットを組んでおり、奇数は欠番となっている。このユニットを連結したり解結したりすることで、8両編成と10両編成の両方に対応できるという訳である。
2003年(平成15年)より、10000系の導入や新6000系の廃車などの影響で8両に組み替えられたり、また10両に組み替えられたりと頻繁に編成が組み替えられ、さらに4両が事業用車に改造されている(後述の「事業用車」を参照)。
2007年(平成19年)3月現在の在籍数は、10両編成2本(20両)、8両編成5本(40両)、休車16両(7005-7142-7006-7144(Mc-M-Mc-M)と7105-7106-7502(M-M-Tc)、7701(Tc)、7007-7146-7004-7140(Mc-M-Mc-M)、7702-7101-7102-7501(Tc-M-M-Tc)(Mcは制御電動車、Mは電動車、Tcは制御車)の合計76両となっている。
2007年2月あたりより、しばしばかしわ台車両センター(神奈川県海老名市柏ヶ谷)からJR厚木駅構内の留置線へ、休車中の本系列が数両輸送されているのが目撃されているが、2007年4月現在、厚木留置線では7000系が4両2編成の計8両と新7000系4両が留置されている。
1975年に投入された1次車以外は車両間に転落防止幌が設置されているほか、一部の車両は集電装置がシングルアームパンタに換装されている。
2006年(平成18年)下期に相鉄のCIロゴを貼付している。さらに、2007年4月より、後述の新7000系ともどもこれまで形式別に施していた車体の塗装を全車両とも相鉄の新コーポレートカラーの相鉄ブルーと相鉄オレンジの新デザインに順次塗り替えられることが発表された。2010年度末までに塗り替えを終了させるとしている。相鉄公式サイトのニュースリリース(PDF)、地元新聞社の記事1、地元新聞社の記事2
[編集] 事業用車(モヤ700形)
老朽化していた2000系(モニ2000形)を置き換えるため、2005年(平成17年)から2006年にかけて編成組み換えで余剰となった本系列のうち4両が東急車輛製造にて事業用車に改造(かしわ台車両センターで施工)され、モヤ700形となった。7002-7136から改造された701-702は架線検測車、7001-7134から改造された703-704は事故救援車となっている。なお、号車番号は10000系と同じフォントが使われている。また、当初10000系と同じエンブレムが貼られていたが、その後相鉄のCIロゴに変更されている。
[編集] 新7000系
1986年(昭和61年)5月以降に投入された編成(第12次増備車以降)はデザインが大幅に変更されたため、新7000系として前述の7000系とは区別されて呼ばれている。当初製造された2編成(20両)は従来の抵抗制御のままである。その他の部分も小改良程度であり、旧6000系と新6000系の関係とは大きく違う。
MT比6M4Tの10両編成を組むが、横浜方6両と海老名・湘南台方4両の分割編成となった。このうち2編成目にあたる1987年(昭和62年)に投入された7715Fでは客室天井の扇風機が廃止され、平天井構造とし補助送風機としてラインデリアが付く、より近代的ですっきりした内装になった。
1988年(昭和63年)以降に投入された編成は、GTO素子によるVVVFインバータ制御方式に改められ、中間電動車はモハ7300形になり、またサハ7600形が再登場した。このサハ7600形とクハ7500・7700形は、十の位から下の番号を「51」から付番しており、モハ7300形も「7351」から付番している。1本目の7751Fは5両編成を2本連結した10両編成であったが、2本目の7753F以降は10両固定編成となった。ブレーキ方式は従来の電磁直通弁式電磁直通ブレーキ(日立式電磁直通ブレーキ)のままだが、回生ブレーキ併用とされた[1]。いずれも4M6Tの構成であり、全部で4本(40両)が日立製作所で製造された。
VVVFインバータ制御装置も日立製作所製を採用した。伝統の直角カルダン駆動を継続して採用したために、独特なモーター音がするのが特徴である。8000系と9000系でもそうであるが、電動車の台車上部の車内床にモーター点検用の蓋(トラップ・ドア)が設置されているのも「相鉄流」である。VVVFインバータ車両では、モーターの小型化と信頼性が飛躍的に高まっているためにトラップ・ドアは不要なのであるが、「念のため」に設置しているという。
VVVFインバータ車の台車は、一次(車軸)バネをロールゴム式円筒案内とし、ゆれ枕を上ゆれ枕式空気バネとした日立KH-132A・KH-135を採用した。この台車は改良の上で8000系に引き継がれた。後述するセミクロスシートとの関係もあり、VVVFインバータ制御の新7000系は「8000系への過渡的存在」とも言われる。
最終編成の7755Fではセミクロスシートが一部車両に試験的に設置されているが、それが乗客から好評だったため、その後に製造された8000系と9000系にも採用された。
車内には、客用ドアと仕切りドアの上部に千鳥配置で地図式の旅客案内表示器が設置されている。
2006年5月のダイヤ改正に伴い、抵抗制御の2本が中間のTc車を抜いて8両編成とされた。これにより休車車両が4両生じている。
2006年に10両固定編成の3編成にバリアフリー化を目的とした室内更新が行われた。変更点は以下の通り。
また、同年下期には全編成に相鉄のCIロゴを貼付しており、7753・4Fは更新出場時に貼付している。
[編集] 運用
- 8両編成はいずれも各停を中心に使用されている。
- 10両編成のうち7753F~7755Fは主に運行番号が40番台の運用に充てられ、急行・快速を中心に使用されている。7003F・7008F・7751Fは予備車的な扱いとなっており、検査などで運用を外れた編成の埋め合わせをする形で運用に入る。また、8両編成の代走に入ることもしばしば見られる。