硫化水素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
硫化水素 | |
---|---|
![]() ![]() |
|
IUPAC名 | スルファン(系統名) |
別名 | |
組成式 | H2S |
式量 | 34.08 g/mol |
形状 | 無色気体 |
結晶構造 | |
CAS登録番号 | [7783-06-4] |
密度と相 | g/cm3, |
水への溶解度 | g/100 mL ( ℃) |
融点 | −60.7 ℃ |
沸点 | −85.5 ℃ |
出典 |
硫化水素(りゅうかすいそ, hydrogen sulfide)硫黄と水素からなる無機化合物で、化学式 H2S と表される無色の気体。卵が腐ったときに示す独特の臭いを持つ。
目次 |
[編集] 物性
- 化学式:H2S
- CAS登録番号:[7783-06-4]
- 分子量:34.08
- 沸点 −60.7 ℃
- 融点 −85.5 ℃
- 密度 1.190 (空気を1とした値)、または 1.434 g/L
[編集] 特徴
空気より重く、無色、水によく溶け弱い酸性を示し、腐敗した卵に似た特徴的な強い刺激臭(というより、腐卵臭とはそもそも硫化水素を主成分とする臭いである)があり、目、皮膚、粘膜を刺激する有毒な気体である。悪臭防止法に基づく特定悪臭物質のひとつ。
人為的な発生源には石油化学工業などがあり、また、下水処理場、ごみ処理場などにおいても、硫黄が嫌気性細菌によって還元され硫化水素が発生する。また糞、屁にも若干含まれる。
また、自然由来としては、火山ガスや温泉などに含まれる。空気よりも重いため火山地帯、温泉の吹き出し口などの窪地にたまりやすい。致死量に近づくにつれ、においを感じなくなるので、火山周辺では警告の看板に注意する事が必要である。知らずに近づいた登山者や温泉客が死亡する例も見受けられる。 深海のチムニー周辺などに住む貝の一種であるシロウリガイにとっては貴重なエネルギー源となっている。
[編集] 化学的性質
- 金属イオンを含む水溶液と反応して、金属硫化物の沈殿を生じる。沈殿の色は、金属イオンの分解・検出の重要なポイントとなる。温泉街など硫化水素が発生しやすい場所では銀、銅などは持ち込まないようにと注意書きも見受けられる。
- 硫化水素と二酸化硫黄との反応から、単体の硫黄と水が生じる。本反応は硫黄回収装置に応用されている。
[編集] 気体の発生
[編集] 濃度対危険度
濃度(単位:ppm) | 作用 |
---|---|
1,000~2,000 | 即死 |
600 | 約1時間で致命的中毒 |
200~300 | 約1時間で急性中毒 |
100~200 | 症状:臭覚麻痺 |
50~100 | 症状:気道刺激、結膜炎 |
10 | 労働安全衛生法規制値(許容限界濃度) |
3 | 不快臭 |
0.02~0.2 | 悪臭防止法に基づく大気濃度規制値 |
0.03 | 臭いの閾値 |