線あそび
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線あそびとは、3歳未満児がクレヨンやマーカー等の筆記用具を握って線を描いて楽しむ行為。(1歳前後から始めるといわれている。)
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[編集] 自然発生的行為
なぜ、1歳前後になると線あそびを始めるかについては、その理由は、まだ十分に解明されていない。ただ、どの子も始めることが事実なので、人間としての自然発生的行為としてみられている。 チンパンジーも画用紙とマーカーを与えられると線あそびをするが、円スクリブルに終わってしまい、その後の発達は見られない。ここに、人間の持つすばらしい力を知ることができる。
[編集] 誰もがする線のあそび
チンパンジーは円スクリブルの段階で終わってしまうが、人間はさらに人物表現へと発達し、以後自分の見たことや知っていること、想像したことなどを絵に描いて楽しむ。
[編集] 子どもの絵画活動と線
子どもの遊びを見ると、土の上に絵を描いたり、画用紙に絵を描いたりしているが、いずれも線での表現が多い。 線での表出や表現の活動は子どもにとって最高の方法であるからと言われている。 発達的にみると、1歳前後で線あそびが始まり、年少・年中・年長になっても絵を描く時は、線描きが中心となっている。
- 表出とは…心の吐き出し的行為であり、心の中が自然に表れている、いわゆる「あらわれ」である。
- 表現とは…心を意図的に外に表し、誰かに伝達しようとする行為であり、いわゆる「あらわし」である。
[編集] 「なぐり描き」「スクリブル」との違い
子どもの線あそびは、「なぐり描き」のようにいい加減な線ではない。「スクリブル」は、線あそびに至るまでの発達段階の1つである。子どもの線あそびは、決して「なぐり描き」ではなく、表出活動であり、人間として生きている証である。
[編集] 参考文献
- 岡田憼吾『3歳未満児の環境と造形 心の豊かさとたくましさを育てる保育』サクラクレパス出版部 2007年2月
- 林健造『幼児造形教育論-三系論を中心として-』建帛社 1987年10月 ISBN 978-4-7679-7027-1
- 花篤實・岡田憼吾編著『造形表現 理論・実践編』三晃書房1994年3月
- 岡田憼吾『新・せんのぞうけいー豊かな心を育てる絵画指導と実践』 サクラクレパス出版部 2005年7月 ISBN 978-4-87895-115-2
- 花篤 實・辻正宏共著 『0~4歳児の造形』 三晃書房 1987年6月 ISBN 978-4-7830-7039-9