資格商法
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資格商法(しかくしょうほう)とは、「就職に有利」、「資格を必要とする仕事を提供する」などといい、資格取得のための通信教育費用や授業料を支払わせる商法のことをいう。資格の名称が「○○士」となっているものが多いことから、「士商法」(さむらい商法)ともいう。 また、そのような商法のうちで、業者自ら仕事を提供、または、仕事を斡旋するものを業務提供誘引販売取引という。
この商法には、一般的に以下のような問題があることが多い。
- 取得を目指す資格に社会的な価値がない。(そのような資格は、社会的に価値のある資格と類似した名称の民間資格ということが多い。)
- 資格について、次のような虚偽の説明を行なうことがある。
- 国家資格でないのに国家資格であるという。
- 資格講座を受講すれば、資格が与えられる、または、資格試験が科目免除になるというような虚偽の説明をする。
- 国家資格になる予定が無いのに、将来は国家資格になるという。(そして国家資格になる前の今ならば、比較的容易に取得できるなどということもある。)
- 仕事が提供されることを期待して資格を取得したとしても、仕事がほとんど(あるいは全く)提供されない。そもそも業者側に仕事を提供する意思が無く、単に資格取得の勧誘トークに過ぎないことも多い。
- 通信教育や授業内容が劣悪で価格に見合った価値がない。
- 自宅や勤務先へ一方的にかかってくる電話によって売り込まれる(電話勧誘販売)ことが多い。
[編集] 資格商法で舞台となる資格
比較的簡単に取得できそうな資格や、資格試験の受験資格が多くの人にある資格が資格商法の舞台になる。世間的にも難しいと思われている弁護士などの資格は扱わないし、医師などは受験資格がある人が極めて限られているので扱わない。
- 旅行業務取扱管理者(旅行主任)
- 宅地建物取引主任者(宅建)
- 行政書士
- 電気主任技術者(電験三種)
- 取得しただけで就職できる資格のように勧誘するが、電気設備管理の実務経験がない人が資格を取ったというだけで雇われる可能性は低い。資格商法の教材などを利用しなくても、高校物理・数学の教科書と、参考書・過去問を利用するので十分である。
- 施工管理技士
- 国家資格であるが、その受験講座の受講を勧誘する。もちろん合格を保証されているわけではない。
- 労務管理士
- 民間資格を国家資格と誤認させる、受講後登録を勧め、登録料を要求する
- 著作権管理士・知的所有権管理士
- スクーバダイビングの免許取得無料」宣伝
- 民間業者が作った独自資格を国家免許を装い勧誘。(免許制度は存在しない)
- 無料と偽り高額な器材購入をさせる。
- 特許管理士(正規の国家資格である弁理士との誤解を招く恐れがあると、登録商標を取り消された。)
- ネイリスト
- 民間資格しか存在しないにもかかわらず、国家資格が取得できると偽り高額な教材を購入させる。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- トラブルの多い商法/3.資格商法の二次被害 - 経済産業省関東経済産業局
- 資格商法の二次被害 - 独立行政法人国民生活センター