超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ
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『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』(ちょうおんそくこうげきヘリ・エアーウルフ、AIRWOLF)はアメリカのTVドラマ。「エアーウルフ」は作中に登場するヘリコプターの名前。
日本では日本テレビ系で1986年10月 - 1987年11月にわたって毎週日曜22:30 - 23:25→水曜21:00 - 21:54に放送された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 内容
ストリングフェロー・ホークが攻撃用ヘリコプター・エアーウルフを使い、さまざまな事件を解決するアクション・ドラマ。(詳細はあらすじ参照)
[編集] あらすじ
CIAの秘密作戦遂行のために、「悪魔的天才」とも揶揄される科学者チャールズ・ヘンリー・モフェットによって10億ドルの費用と20年の歳月をかけ開発された“マッハ1・プラス・アタック・ヘリコプター”「エアーウルフ」。軍関係者を招いて行なわれた展示飛行の最中に、働きを正当に評価されていないと思い込んだ、当のモフェット自身がエアーウルフで招待者たちを攻撃。モフェットはエアーウルフと共に北アフリカ某国(英語版ではリビアと名指し)へ逃亡した。開発計画の責任者でエアーウルフの銃弾を浴び、左目失明・左足不随の大怪我をしたCIA特別作戦部長アークエンジェル(コードネーム、“大天使”の意。)は、敏腕パイロットで今は山荘で暮らすストリングフェロー・ホークにエアーウルフの奪還を要請。ホークは友人のドミニク・サンティーニと共に、北アフリカに潜入、モフェットと対決し、エアーウルフの奪還に成功する。しかし、今度はホークが、人知れぬ土地(ネバダ砂漠の“神の谷”と呼ばれる地域)にエアーウルフを隠匿してしまう。ホークは「エアーウルフを返してほしければ、ベトナム戦争で未帰還兵となった、兄のセント・ジョンの生死を確認し回答せよ」と政府に要求。アークエンジェルとホークは「政府のホークへの逮捕に関する情報をホークに教えること」や「CIAの情報網でジョンを探す」、代わりに「CIAの作戦にエアーウルフを使わせる、そのために必要な経費も出す」ことを約束する。 これをきっかけにホークはエアーウルフを使い、世界の各地で様々な事件を解決していく。
[編集] キャスト
〔〕内は日本語版での吹き替え声優。
- ストリングフェロー・ホーク - ジャン=マイケル・ヴィンセント〔磯部勉〕
- ドミニク・サンティーニ - アーネスト・ボーグナイン〔富田耕生〕
- “アークエンジェル”マイケル・コールドスミス・ブリッグス3世 - アレックス・コード〔家弓家正〕
- ケイトリン・オシャネシー(第2シーズン以降) - ジーン・ブルース・スコット〔戸田恵子〕
- オープニング・ナレーション(第1、2シーズン) - ランス・レガルト〔金内吉男〕
- マレラ(第1、2シーズン) - デボラ・プラット〔横尾まり〕
- チャールズ・ヘンリー・モフェット(パイロット版、第1、2シーズン) - デイヴィッド・ヘミングス〔内海賢二〕
[編集] スタッフ(アメリカ)
- 製作総指揮:ドナルド・P・ベリサリオ(第1・第2シーズン)/バーナード・L・コワルスキー(第3シーズン)
- 音楽:シルヴェスター・レヴィ
- 制作:ベリサリウス・プロダクション、ユニバーサルTV
- 放映:米国CBS (1984-86), USA Network (1987)
[編集] スタッフ(日本語版)
- 日本語版製作:東北新社
- 翻訳:木原たけし/佐藤一公
- 演出:伊達康将
- 調整:小野敦志
[編集] エアーウルフの特徴
- エアーウルフの母体となったのはベル・ヘリコプター・テキストロン社のベル222。[1]
- ウィンドウは防弾、ボディはボロン繊維でカバーされた装甲板で守られており、銃撃程度では傷も付かない。その戦力は歩兵部隊一個師団分に匹敵し、空飛ぶ小型要塞とも呼ばれている。機首に口を開けている空中給油用プローブが唯一の弱点(両舷の燃料タンクに直結しており、ここから火が入ると引火爆発する)。
- 戦闘を自動的に記録するシステムを持ち、蓄積された経験を次の戦闘に生かすことができる。
- 自分の設計図を内蔵しており、閲覧する事で同一性能の機体を製作可能。
- 主要装備
- チェーンガン
- 燃料タンク先端に備えられた2連装30ミリ機関砲。左右に1基ずつ、2基を装備。
- キャノン
- チェーンガン直下に装備された単装40ミリキャノン砲。左右に1基ずつ、2基を装備。
- ファルコン
- ADFポッド(機体下部に格納されている)の両脇から発射される長距離空対空ミサイル・4基、ミサイルは自動(手動)誘導弾。
- シュライク
- 核弾頭装着可能な長距離ミサイル。装備箇所および装弾数は不詳。ロマンアルバムの解説ではADFポッド両脇から出る模様。※第2シーズンで一度だけ使用され、その際はADFポッドから発射された。
- サンバースト
- 機体側面のランチャーから放出され、敵の発射した赤外線追尾式ミサイルを引き付ける高熱源体の囮。吹き替え版において、第3シーズンまでは、主に「太陽弾」と呼称されていた。劇中では、チャフのボタンで放出される描写も散見される。
- ターボシステム
- 燃料タンク内側部分等に装備された計4基のターボエンジン。装置点火後、9.6秒で標高0から2万メートルの空間でマッハ1プラスに到達。作動時には駆動系が切り替わり、通常のローターは停止される。
- レーザー
- 機首部分から照射されるオレンジ色のレーザービーム。※『新エアーウルフ』以降
- ウィスパーモード
- 前後ローターの回転音を極限まで低くして飛行するモード。※『新エアーウルフ』以降
- ミサイル群
- 機体下部に備えられた3連装ADFポッドから発射される3種類のミサイル。ポッドは180度回転可能、連射モードも装備。
- ヘルファイヤー(空対地短距離ミサイル・6基)
- レッドアイ(空対空短距離ミサイル・12基)※第3シーズン以降はマーヴェリック
- コパーヘッド(対戦車用空対地長距離ミサイル・6基)
- チェーンガン
- 計24発を装填。
- 乗員は3名。
- 1番目のクルーは機長。操縦・標的捕捉・武器システムの選択などの全責任を負う。
- 2番目のクルーは砲手兼副操縦士。機長が負傷した場合に備え予備の制御システムを管理する。
- 3番目のクルーは航空機関士。電子データによってターボの温度、燃料及び潤滑油の圧力、ローターのシンクロ状態など、エンジンを管理する。
- 機内後部にあるペイロードエリア(普段はミサイル装填用ラックがある)に様々な装備を別に搭載できる他、ここを空にする事で定員も最高6人まで増やせる。
ほぼ同時期に製作された『ブルーサンダー』に比べるとエアーウルフ本体や装備の性能は荒唐無稽な設定となっているが、SFアクションとして痛快なアクションシーンを生み出すバックボーンとなっている。
[編集] 音楽関係
アメリカのドラマの大抵がそうであるように、正式なサウンドトラックは存在しない。日本では人気が高かったため、『ナイトライダー』とカップリングの日本録音のカバーレコードがスターチャイルドから発売された。編曲者は川井憲次で、原曲に似せる努力が最大限されていた。TVに実際に使用された音源を集めたプロモ版が存在する。
[編集] 関連商品
上記のサウンドトラックのほか、以下の関連商品が発売された。
- 書籍
- 日本テレビ出版から第1話を翻案した小説とコミック(作画:のなかみのる)の単行本が発売された他、徳間書店からはスチールや各種設定(海外の資料を転載したと思われる)、エピソードガイド、吹替え版スタッフとキャストのインタビューなどを収録したムック(ロマンアルバム)が、勁文社からは日本を舞台とした完全オリジナルストーリーのゲームブック『アドベンチャーヒーローブックス27 エアウルフ 東京極秘司令』(椎葉克宏/構成・文、メディコン/編)が発売された。
- ゲーム
- 本放送時に九娯貿易からアーケードゲームがリリースされ、全国のゲームセンターで遊ぶ事ができた。横スクロールタイプのシューティングゲームだったが緊急回避(無敵)が単なる宙返りである等エアーウルフならではの要素をゲームデザインに組み込むという意欲は全く見られず、内容的にも特筆すべき点はない凡作だった。
- 同社からはファミコン用ソフトとメガドライブ用ソフト『スーパーエアーウルフ』も発売された。ファミコン版は横スクロールタイプのシューティングだが、アーケード版の移植という訳ではなく、謎の組織がホークとエアーウルフに戦いを挑んでくるというストーリーとなっている。こちらも取り立てて見るべきところのない内容だった。『スーパーエアーウルフ』は縦スクロールシューティング。エアーウルフで敵施設の砲台などを破壊した後、施設にホーク(何故か歩兵の様なヘルメットと野戦服という姿)が潜入し敵兵を銃で倒しながら捕虜を救出していく展開で、前半エアーウルフで砲台等を破壊しておかないとホークが施設に潜入してから砲台の攻撃で行く手を阻まれる(僅かながら難易度が上がる)という仕掛けがある。
- なお欧米ではアクレイムがNES(海外版ファミコン)用にエアーウルフのゲームを発売していたが日本版とは全く内容が異なり、主観視点による3Dシューティングだった。
- プラモデル
:放送当時にアメリカのAMT社から1/48のプラモデルが発売されているが、近年スカイネット(アオシマ文化教材社)から当時のAMT社の金型を流用して発売されている。
[編集] 続編
『新・エアーウルフ 復讐編』(しん・エアーウルフ ふくしゅうへん、AIRWOLF)
日本では『エアーウルフ』の後番組として日本テレビ系で1987年11月 - 1988年3月にわたって水曜21:00 - 21:54に放送された(当初、全話放送予定だったものの視聴率低迷による打ち切りのため、日本では放送されていないエピソードが数本ある)。
[編集] キャスト
〔〕内は日本語版での吹き替え声優。
- セントジョン・ホーク(ストリングフェローの兄) - バリー・ヴァン・ダイク〔津嘉山正種〕
- マイク・リバース(空軍少佐 航空機関士) - ジュレイン・ワイン・デービス〔石丸博也〕
- ジョー・サンティーニ(ドミニクの姪) - ミシェル・スカラベリ〔潘恵子〕
- ジェイソン・ロック(CIA特別作戦部長、異動したアークエンジェルの後任) - アンソニー・シャーウッド〔樋浦勉〕
[編集] 前作との主な違い
- 登場人物は一新(前作の登場人物は、第1話にジャン=マイケル・ヴィンセントがストリングフェロー・ホーク役としてゲスト出演したのみ)。
- セントジョンが帰還を果たしためエアーウルフはCIAに返還され、4人ともCIA所属の秘密チーム「騎兵隊」のメンバーとなる。これにより、前作でのストリングフェローとアークエンジェルのような裏取引はない。
- 第1話はセント・ジョンの消息をCIAが掴んでいると知ったホークがCIAに乗り込んだところ、新任の特別作戦部長として赴任したジェイソンがおり、アークエンジェルがエアーウルフ運用の件で更迭されたとホークに知らせる事から物語は始まる。その後敵が仕掛けた爆弾でドミニクは死亡、ホークも重傷を負う。入れ替わりで、帰還を果したセント・ジョンと型破りな空軍士官のマイク、ドミニク死亡の現場に居合わせた彼の姪ジョーがジェイソンの下で新たなるエアーウルフの運用スタッフとしてチームを組むという展開になっている。なおドミニク役のボーグナインは出演しておらず、ドミニクは体型の似た役者による後姿のみの登場で、画面に映るのも死ぬ直前のほんの僅かなシーンだけである。
- アメリカではあくまで『エアーウルフ』第4シーズンの位置づけであるが、製作・放映局はアメリカABCへ移っている。
- 旧エアーウルフはフィルム撮影であったが、新・エアーウルフはビデオ撮影がメインになった。ただし制作費の関係で、予算がかかる特撮シーンの大半は旧作から流用されているため、その部分との映像の質感の差による違和感がある。
[編集] DVD
『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』シーズン1:コンプリートDVD-BOX
(品番 UNSD-44919 1万1800円税込み)
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
2006年12月22日発売
■収録内容
●ディスク1
1:"Shadow of the Hawke" (Airwolf) 「超音速攻撃ヘリ・エアーウルフスペシャル」 約87分
2:Daddy's Gone a Hunt'n 渡洋攻撃!!ベトナム孤児を救え 約48分
●ディスク2
3:Bite of the Jackal 直撃弾命中!!CIA副官奪回作戦 約48分
4:Proof Through the Night ミグ戦闘機を振り切れ!!細菌戦スパイ脱出 約48分
5:One Way Express 高速100kmの不時着!死のスタント飛行 約48分
●ディスク3
6:Echos From the Past カリブ海空戦!!失われた1年間の記録 約48分
7:Fight Like a Dove 初陣は南米ナチス狩り!!ミサイル空中戦 約48分
8:Mad Over Miami マイアミ沖航空戦!!2つの反政府組織 約48分
●ディスク4
9:And They Are Us 外人戦闘機隊!!アフリカに散った撃墜王 約48分
10:Mind of the Machine コンピューター電子戦!盗まれた設計機密 約48分
11:To Snare a Wolf 猛爆撃!空の狼レッドゾーンを駆け抜ける 約48分
[編集] 関連項目
[編集] 番組の移り変わり
日本テレビ系 日曜22時30分枠 | ||
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前番組 | 超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ | 次番組 |
新・白バイ野郎ジョン&パンチ | 探偵レミントン・スティール |
日本テレビ系 水曜21時枠 | ||
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次番組 |
美味しいテレビ9トゥ10 | ビートたけしの全日本お笑い研究所 |