遺留分
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遺留分(いりゅうぶん)とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に対して留保された相続財産の割合をいう。
相続財産は被相続人が生前処分や死因処分によって自由に処分しえ、推定相続人の相続への期待は権利として保障されないのが原則であるが、相続が相続人の生活保障の意義を有する点、また被相続人名義の財産には相続人の潜在的持分が含まれていることが多く、これを顕在化させる必要がある点などにかんがみ、相続財産の一定割合については遺留分という名の、相続財産に対する権利が認められる。
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[編集] 民法での遺留分
※民法の条文を適示する場合は、条番号のみでこれをあらわす。
[編集] 遺留分
遺留分は、被相続人の処分によって奪うことができない。ただし相続人による被相続人に著しい虐待・侮辱などがあれば家庭裁判所に廃除の申請をすることができる(第892条)。
- 遺留分の帰属、割合(第1028条)
- 遺留分を算定するためには、まず遺産の範囲を確定することが必要である。:具体的には1029条、1030条などの規定により決定される。
- 第1029条
- 遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。
- 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。
- 「贈与した財産の価額」は、相続開始時の価額に換算して評価する。
- 第1029条
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- 第1030条
- 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。
- 第1030条
- 遺留分の放棄(第1043条)
- 家庭裁判所の許可が必要(第1043条1項)。共同相続の場合につき、第1043条2項。
- 代襲相続人、特別受益者がいる場合など(第1044条)
[編集] 遺留分減殺請求権
遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる(第1031条)。
- 遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から、1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時より10年を経過したときも同様である。