A10ロケット
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A10は第二次世界大戦中にドイツが1943年より計画した有人ミサイルで、もし実現していれば世界初のICBMとなった。正式名称はA9/A10。
※なお、一段目のブースターロケットもA10と呼称される為、以下においてはA10ロケット全体をA9/A10、ブースターロケット単体はA10と表記する。
ほかにも多段式ロケットとして三段式のA9/A10/A11、四段式のA9/A10/A11/A12が計画されていたとも言われている。
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[編集] 概要
V2ロケット(A4)にデルタ翼を取り付けた(A9)を、ブースターロケット(A10)に搭載した二段式のロケットである。射程は約5000kmと見積もられヨーロッパから直接アメリカ本土を攻撃可能だった。このため「アメリカロケット」「ニューヨーカー」などの通称も存在する。 ちなみにA4に後退翼を取り付けたA4bもA9と呼称する事があるが全くの別物である(偵察用ロケットなどの説がある)。
[編集] A9
デルタ翼を取り付けられている為、大気圏内を滑空して目標に到達できた。
当時の誘導方式で5000km先の目標を攻撃したところで到達するはずもなかったため、A9はパイロットを乗せ、大西洋上に展開したUボートをビーコンとして誘導することとなっていた。パイロットはその誘導を元に目標に到達するよう軌道を修正、その後滑空時に脱出という手順となっていた。
[編集] A10
A9と同じロケットエンジンを6基搭載した巨大なブースターロケット。A9の後部1/2ほどを包み込んだ感じとなっている。
[編集] 主要諸元(計画)
- 弾頭重量:1t
- 最大射程距離:約5000km
- 到達可能高度:96km
- 乗員:1名
[編集] A9/A10
- 全長:25.8m
- 翼幅:9m
- 発射重量:100t
- 最大推力:200t
- 最高速度:11000km/h
[編集] A9
- 全長:14.2m
- 直径:1.65m
- 翼幅:3.5m
- 発射重量:13t
- 最大推力:27t
- 最高速度:5500km/h
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- ナチスの超兵器(見取り図あり)
- A9/A10(英語、A9の飛翔イメージあり)
- A9/A10/A11(参考までに。英語、イメージあり)
- A9/A10/A11/A12(参考までに。英語、イメージあり)