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DC-8

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NASA ドライデン飛行研究センター保有のDC-8-72型 1998年2月
NASA ドライデン飛行研究センター保有のDC-8-72型 1998年2月

ダグラス DC-8アメリカ合衆国ダグラス・エアクラフト社(現ボーイング社)が開発した大型ジェット旅客機ボーイング707コンベア880と並んで、第一世代ジェット機を代表する旅客機である。

目次

[編集] 概要

[編集] ダグラス初のジェット機

1930年代以降、DC-3DC-4DC-6など数々のレシプロ旅客機を開発・製造し、1950年代当時、アメリカを始めとする世界の旅客機市場で最大のシェアを誇っていたダグラス社が、初のジェット旅客機として1952年に基礎的な開発を開始した。当初は80席級の中型機として開発がスタートされたが、その後ライバルとなるボーイング707と同様の大きさに変更した。

[編集] 就航

その後、1955年7月に正式に開発をアナウンスし受注を開始。直後に当時世界最大の航空会社の一つで、ダグラス機の古くからのユーザーでもあったパンアメリカン航空から25機の発注を受ける(なお、パンアメリカン航空はその後最大のライバルとなったボーイング707も20機発注している)。その後もデルタ航空ユナイテッド航空日本航空などの世界中の航空会社から発注され、1958年までに133機の正式発注を集めた。

ATI航空のDC-8-62型
ATI航空のDC-8-62型

しかし、先に開発をはじめたボーイング707に対する遅れを取り戻すために、試作機の製作を省くという当時としては画期的な開発手法を取り、その結果大幅に開発期間を短縮し、1958年4月にカリフォルニア州ロングビーチのダグラス社工場で初号機が完成。同年5月に初飛行を行った。その後テスト飛行を行いFAAの耐空証明を取得、ライバルのボーイング707の初就航から約1年遅れの1959年9月18日ユナイテッド航空及びデルタ航空の定期路線に初就航した。

就航当初は予定された性能が出ずに販売面でも苦労したものの、その後次々にスーパー60シリーズなどの改良型や胴体延長型をリリースしたこともあり(主脚の長さが短いボーイング707は胴体延長が困難であった)、順調に発注数を伸ばし、後継機とされたワイドボディ機・DC-10の生産が始まった直後の1972年に生産中止するまでに、計556機が製造された。

[編集] 特徴

客室与圧用空気取り入れは通常エンジンで行うが、DC-8は機首先端にあるレドーム下部の専用空気取り入れ口から行った。これはエンジンをリバース(逆噴射)にしたとき、排気ガスが混入するのを防ぐという理由であったが、このため構造が複雑となり、床下貨物室のスペースがボーイング707と比較して小さくなった要因でもあった。

また、DC-8に装備されているスポイラー(減速板)は全て着地後に使用するグランドスポイラーとなっており、飛行中に使用するフライトスポイラーはない。このため、飛行中の減速は主翼内側にある2基のエンジンをリバースして行った。これはジェット旅客機ではDC-8のみの特殊なオペレーションである(他のジェット旅客機では飛行中にリバースを行うと失速墜落する危険性があるため、接地しないとリバースに入れられないように安全装置が施してある)。 この空中リバース作動は独特の騒音と振動を伴うため、日本航空では乗客の不安を考慮した独自のアナウンスマニュアルを用意していた。

[編集] バリエーション

[編集] -10シリーズ

ユナイテッド航空のDC-8
ユナイテッド航空のDC-8

最初期型の-10シリーズはターボジェットJT3C-6を搭載し、最大離陸重量の違いで-11型と-12型の2種類が製造された。当時はまだジェットエンジンが軍事機密扱いだったため、アメリカ国内線向けだけに限られ1959年9月18日ユナイテッド航空デルタ航空により初就航した。

後に15機がJT4Aに換装され-21型に、11機がJT3D-3に換装され-51型となった。

[編集] -20シリーズ

-12型の機体にターボジェットJT4A-9を搭載した-21型のみ34機が製造された。-12型に比べ航続距離が10%改善されたため、中距離国際線用として1960年1月21日ユナイテッド航空パンアメリカン航空によって大西洋線に就航した。

また、特筆される事柄としては1982年から1993年までNGO団体のORBISが「空飛ぶ眼科病院」として-12型から改修した-21型(ユナイテッド航空より寄贈)を使用していた。

[編集] -30シリーズ

-21型でも太平洋横断路線に使用するにはまだまだ航続距離が不足していたため、燃料タンクを増設し、主翼用翼端を延長するなどの改修を施されて登場した本格的な長距離国際線用で-31型・-32型・-33型の三種類が製造された。

-31型はJT4A-9を装備し、最大離陸重量を300,000lbにした機体であったが、まだ性能不足のため、わずか4機で製造が打ち切られた。

-32型はJT4A-9またはJT4A-10を装備し、最大離陸重量を310,00lbに引き上げられた結果、航続性能が大幅に改善された。これにより航空各社から注文が殺到し、43機が製造された。日本航空もこの-32型を受領し、1960年8月12日に太平洋線に就航させた。なお、日本航空では1961年4月24日に羽田空港でオーバーランし大破した、DC-8-32(JA8003)をダグラス社でエンジンをJT3D-3に換装し、-53型(JA8008)として再使用した。

-33型は特に日本航空やスカンジナビア航空からの要望で北回りヨーロッパ線に就航させることを狙った機体でJT4A-11またはJT4A-12を装備し、最大離陸重量を315,000lbに引き上げた機体である。この頃-50シリーズが発表されたため、製造された機体はわずか10機だった。

これらのDC-8初期型はターボファンエンジンと違いバイパス構造を持たないターボジェットエンジン搭載のため、静粛性や燃費の面で劣り、航続距離も航空会社の要求を満たす物ではなかったため(気象条件によっては東京ホノルル間をノンストップで飛べないこともあった)、後にターボファンエンジンを搭載した-50シリーズが登場すると、多くの航空会社は早期にエンジンを換装したり、発注機種を切り替えたりした。

[編集] -40シリーズ

-31型・-32型・-33型の機体にイギリスロールスロイス製コンウェイ12(ターボジェットエンジン)を装備し、プラット・アンド・ホイットニー社製エンジンの選択に躊躇していたイギリスやカナダの航空会社を狙ったものだった。また-40シリーズは実験飛行に使われたものもあった。このうち1機は旅客機としては史上初の音速の突破に成功、M1.012を記録した。これによりDC-8の優秀さを示すことに成功し大きな宣伝にもなった。

[編集] -50シリーズ

-50シリーズはプラット・アンド・ホイットニー製のJT3D(ターボファンエンジン)を搭載し、静粛性と燃費、航続距離を向上させた。その結果、初めて貨物型や貨客混載型がラインナップに加わった。ボーイング707より劣っていた性能を一挙に挽回した-50シリーズの就航により、多数の受注を得ることに成功する。

-51はJT3D-1を搭載し、主にアメリカ国内専用として31機が製造された。

-52はJT3D-3または-3Bを装備し、最大離陸重量を-31並みの300,000lbにしたため、主に大西洋線用に使われた。

-53は最大離陸重量が315,000lbまで引き上げられ、長距離国際線用として主にアジアの航空会社で広く使われた。

-54は-53の胴体を貨物専用に再設計し、貨客混載でも運航できるように各部が強化された機体で「ジェットトレーダー」の愛称で30機が送り出された。

-55は最大離陸重量を325,000lbにしたため、太平洋線において悪天候でも無着陸運航ができるようになった。また-55は後部圧力隔壁に初めて平面形を採用したため、キャビン容量が増加している。これらの技術は後の-60シリーズのベースとなる。

[編集] -60シリーズ

DC-8-60シリーズ
DC-8-60シリーズ

'スーパー60シリーズと呼ばれる最終進化型の-60シリーズには、-61、-62、-63の三種類が製造された。

-61は-55の最大離陸重量や最大積載燃料を変えずに胴体を約11メートル延長した大容量・中距離機で主にアメリカ国内線に多く使われた。

-62は-55の胴体を2m延長すると共に主翼の翼端を改良し、エンジンポッドも空力特性の改良を加えたものにカットバックパイロンを採用、当時としては最も長い航続距離を誇った中容量・超長距離機で多くの航空会社で長距離国際線の花形となった。

-63は-61型の胴体と-62型の主翼を組み合わせた大容量・長距離機で、その積載容量の大きさから旅客型より貨客混載型や全貨物型の方が多く製造された。-63型ボーイング747登場前は長距離用機として世界最大の旅客機(最大離陸重量換算)であり、ボーイング747開発のインセンティブの一つとなった。

更に-62と-63にはエンジンをパワーアップしたJT3D-7を搭載したハイレンジ仕様(通称:-62H、-63H)も生産された。

[編集] -70シリーズ

-70シリーズのCFM-56エンジン
-70シリーズのCFM-56エンジン

-70シリーズは、生産中止後に比較的機齢の若い60シリーズのエンジンをアメリカジェネラル・エレクトリック社とフランススネクマ社の合弁会社であるCFMインターナショナル(CFMI)製のCFM-56に改修し、静粛性の向上と燃費効率の向上、推力の向上を図ったものである。

-61型を改修した-71が1981年8月に初飛行し、その後-62型を改修した-72型や-63型を改修した-73型が相次いで導入された。

新型エンジンのお陰で騒音規制をクリアしているため、多くの機材が現役で使用されていたが、もともとの機体が生産中止から34年が経過しており、すでに旅客機としては使われておらず、貨物機に改造された機体も続々と姿を消している。

[編集] スペック (DC-8-62)

MK AirlinesのDC-8-62F
MK AirlinesのDC-8-62F

※日本航空仕様

  • 全長:48.01m
  • 全幅:45.29m
  • 全高:12.81m
  • 客室長:35.10m
  • 翼面積:272㎡
  • 垂直尾翼面積:20.71㎡
  • 水平安定板面積:36.34㎡
  • 運用自重:147,000lb
  • 最大離陸重量:335,000lb
  • 最大着陸重量:240,000lb
  • 最大搭載燃料:165,000lb
  • 高速巡航速度:485kt(898km/h)/30,000ft
  • 長距離巡航速度:459kt(850km/h)/35,000ft
  • 離陸速度:160kt(296km/h)/フラップ10°
  • 着陸進入速度:137kt(254km/h)/フラップ15°

[編集] 統計

[編集] 生産数

総生産数:556機 (1958年から1972年まで)

  • DC-8-11 型機 23機
  • DC-8-12 型機 5機
  • DC-8-21 型機 34機
  • DC-8-31 型機 4機
  • DC-8-32 型機 43機
  • DC-8-33 型機 10機
  • DC-8-41 型機 4機
  • DC-8-42 型機 8機
  • DC-8-43 型機 20機
  • DC-8-51 型機 31機
  • DC-8-52 型機 25機
  • DC-8-53 型機 25機
  • DC-8-54F 型機 30機(正式にはDC-8F-54)
  • DC-8-55 型機 8機
  • DC-8-55F 型機 24機(正式にはDC-8F-55)
  • DC-8-61 型機 78機
  • DC-8-61CF型機 10機
  • DC-8-62 型機 51機
  • DC-8-62CF型機 10機
  • DC-8-62AF型機 6機
  • DC-8-63 型機 41機
  • DC-8-63CF型機 53機
  • DC-8-63AF型機 7機
  • DC-8-63PF型機 6機

[編集] 初飛行

[編集] DC-8を導入した主な航空会社

スイスエアのDC-8
スイスエアのDC-8

[編集] DC-8型機を使用している政府/軍隊

(2001年12月現在)

[編集] 日本のDC-8

[編集] 初のジェット旅客機

1952年に世界初のジェット旅客機であるデハビランドDH106 コメット機を、会社発足間もない日本航空が3機発注したが、その後発生した同機の連続空中分解事故を受けて発注をキャンセルした。当時日本航空社内ではDC-6Bと比べ、スピードが2倍、搭載量も2倍でペイロード換算では4倍のキャパシティを持つジェット旅客機の導入は時期尚早ではないかという意見が多かったが、アメリカやヨーロッパの航空会社が次々とボーイング707やDC-8の導入に踏み切ると、競争上不利になるとしてジェット旅客機の導入論が再び浮上した。

そこで日本航空社内でDC-8とボーイング707との間で引渡し条件や過去の関係などを勘案した結果、長年に亘るダグラス機の実績と、当時運航技術や機体整備で協力関係にあったユナイテッド航空が採用したという2点を踏まえて、1955年12月15日にDC-8の導入を正式に決定した。発注機数は4機(確定-32型3機、オプション1機。後にオプションを1機追加し-33型機に機種変更)。

なお、当時日本航空および日本政府の外貨準備高がまだまだ低かったこともあり、DC-8を購入するにあたり、その購入資金の4分の3はアメリカ輸出入銀行とダグラス社からの借款によって調達した。

[編集] 念願の初就航

1960年7月22日に-32型(JA8001・愛称「FUJI」)受領した。同機は「空飛ぶホテル」をコンセプトに、前田青邨によるファーストクラスラウンジの装飾画など機内を日本風の内装で統一し、また、ハイテンプオーブンを導入し機内食サービスの充実を図るなど、これまで同路線に就航していたレシプロ機のDC-7CやDC-6Bに比べ、スピードだけでなく機内サービスの質も格段に向上させていた。また、DC-8の就航にあわせ、社章もお馴染みの「鶴丸」に変更し、スチュワーデスの制服も改定されるなど、大変な力の入れようであった。しかし、内装の特注は製造を請け負うダグラス社からは不評を買い、「たった4機でそんなことをさせるのか」と言わしめた逸話は有名になった。

その後、ライバルのパンアメリカン航空のボーイング707の太平洋横断路線就航(1959年9月7日)から遅れること約1年の1960年8月12日に、羽田ホノルルサンフランシスコ線に就航させた。なお、パンアメリカン航空のボーイング707が太平洋横断路線に導入されて以降も、日本航空は同路線を旧型プロペラ機のDC-7Cで運行していたために、乗客の多くが、所要時間が少なくしかも快適なボーイング707で運行しているパンアメリカン航空を選択したため、日本航空は収益上の大打撃を受けていた。そのため、この就航は日本航空にとって念願であった。

なお、-32型はターボジェットエンジンのため燃費が悪く、西行き便は太平洋上に浮かぶウェーク島アメリカ軍基地に給油のため着陸した。

[編集] 就航路線拡大

11月2日には初の東南アジア路線である東京=香港線に就航した他、-33型の受領により1961年6月6日には、北回りヨーロッパ線(東京=アンカレジコペンハーゲンロンドンパリ)を開設した。しかし、発動機が燃費の悪いターボジェットだったため、逆風が強い場合アンカレジ=コペンハーゲン間を直行できず、ノルウェー北極部のボドーにあるアメリカ空軍基地に給油のため着陸する必要があった。また、この路線への参入にあわせて運行乗務員は、防寒や白熊に襲われたときのの撃ち方など、北極部への不時着時の際のサバイバル方法についての訓練を受けた。

[編集] 日本航空の主力機に

DC-8-53型機(JA8007/"YOSHINO")
DC-8-53型機(JA8007/"YOSHINO")

その後日本航空は、ターボファンエンジンを搭載した-53型、-55型、貨物型の-55F型、機体を大幅に延長した-61型、航続距離を飛躍的に増大させた超長距離型の-62型を逐次導入、1987年12月31日に全ての路線から引退するまでの27年間にリース機やイースタン航空からの購入機も含め計60機を導入し、延べ使用機数ではユナイテッド航空に次いで2番目のカスタマーであり、1967年3月6日に開設された世界一周路線(東京=香港バンコクニューデリーテヘランカイロローマフランクフルト(またはパリ)=ロンドン=ニューヨークサンフランシスコホノルル=東京)などの国際線、国内線の主力機として使用した。

また、日本と中国共産党率いる中華人民共和国の国交が樹立され、それに伴い運休した日本航空の中華民国路線を継承するため設立された日本アジア航空も発足時に主力機材として使用した。

なお、就航当初長距離路線や高需要路線を中心に使用することを想定されたDC-8を補佐するため、短・中距離路線用機材として、1961年に中型ジェット機であるコンベア880-22M型9機が導入された。しかし同機は操縦が難しく、整備も煩雑で故障が多く定時出発率の確保が困難だったことに加え、その後のDC-8の各シリーズの大量導入と同サイズの新型機であるボーイング727型機の就航も重なり、1971年に早くも全機が退役、ボーイング747型機の下取りとしてボーイング社に引き取られた他、コンベア880型を多数運行していたキャセイ・パシフィック航空に売却された。

[編集] -61/-62型

長胴型の-61は1969年4月1日コンベア880-22M型に替わって東南アジア線(東京=香港=シンガポール=ジャカルタ)に就航した。またオールエコノミーで252席のキャパシティを有する-61型の国内線仕様は、高度成長期真っ只中に開催された大阪万博開催の年である1970年4月1日に、羽田札幌線、羽田大阪伊丹線)に投入され、激増する国内旅客需要への対応に貢献した。

また、-62型はその航続性能を活かして1968年6月16日にアメリカ西海岸直行線(東京=サンフランシスコ)を皮切りに、モスクワ経由ヨーロッパ線やサンパウロ線、バンクーバー経由メキシコシティ線などの長距離路線に就航した。特に、1970年3月28日に開設された世界初の西側航空会社の自主運行によるシベリア上空を通過するモスクワ線は、これまでアラスカのアンカレジ経由で運行していたヨーロッパの主要都市への飛行時間と距離の短縮に寄与すると共に、長距離ノンストップ便のさきがけとなった。

[編集] 事故・ハイジャック

DC-8は、まさに高度成長期の日本航空を支える「花形機」であったが、その反面、ダッカ事件(JA8033 -62)などハイジャックの当該機になった他、1961年羽田空港で発生したオーバーラン事故(JA8003 -32 修理復旧)を皮切りに、1968年のサンフランシスコ沖着水事故(JA8032 -62 修理復旧)や1972年日本航空ニューデリー墜落事故(JA8012 -53)、ボンベイ誤認着陸事故(JA8013 -53)、日本航空シェレメーチエヴォ墜落事故(JA8040 -62)などの連続事故、1977年のアンカレジ(JA8054 -62AF)やクアラルンプール(JA8051 -62)での墜落事故、1982年羽田空港沖墜落事故(JA8061 -61)、上海空港でオーバーラン事故(JA8048 -61)などの事故で合計7機が失われた。

[編集] 人気機種

また、日本航空のDC-8は、昭和天皇のヨーロッパやアメリカ歴訪、ビートルズの来日、上野動物園に寄贈されたジャイアントパンダの空輸、横井庄一小野田寛郎などの残存日本軍兵士の帰国、三井物産マニラ支店長誘拐事件の被害者の帰国時など、日本の歴史の節目となるさまざまな行事・事件の際に利用され、その度に脇役としてテレビに映されたため、そのスマートな姿は「空の貴婦人」とも称され、全国のお茶の間でお馴染みとなった。特に運航成績のよかった、JA8010(-53型)とJA8019(-55型)、JA8052(-62型)は御召機や要人輸送用として活躍した。

他にもスカンジナビア航空タイ国際航空KLMオランダ航空アリタリア航空ガルーダ・インドネシア航空などの多くの航空会社が日本への乗り入れ機材に使用したためか、今でも人気の高い旅客機の一つであり、現在も貨物機や政府特別機として飛来すると多くのファンが空港に詰め掛けるほどである。

[編集] 日本航空が保有したDC-8一覧

型式 登録番号 愛称 製造番号 登録年月日 抹消年月日 備  考
DC-8-32 JA8001 FUJI 45418 1960/7/16 1987/3/31 日本初のジェット旅客機。1974/11/1から整備訓練用機材。機首とエンジンのみ保存。
DC-8-32 JA8002 NIKKO 45419 1960/7/30 1974/6/4 1963/12/31 沖縄で訓練中#1・#4エンジン脱落し奇跡の生還。
DC-8-32 JA8003 HAKONE 45420 1960/9/27 1961/7/6 1960/10/21 HND→KMJで初お召機。1961/4/24 HNDで大破。53型に改修後JA8008で再登録。
DC-8-33 JA8005 MIYAJIMA 45421 1960/11/25 1974/5/28
DC-8-33 JA8006 KAMAKURA 45826 1961/5/4 1975/3/28 1961/6/6 北極線初便使用機。1965/12/25 SFO離陸後#1エンジン爆発、OAKに緊急着陸。
DC-8-53 JA8007 YOSHINO 45647 1962/3/27 1981/6/4 50シリーズ初号機。1963/10/3 南回りヨーロッパ線初便使用機。1975/9/10 EGへの移管一番機。
DC-8-53 JA8008 MATSUSHIMA 45420 1963/2/4 1981/7/1 JA8003を再生。ビートルズ来日時の搭乗機。1975/9/15 EGに移管。
DC-8-53 JA8009 SHIMA 45662 1963/7/16 1982/3/5 1967/3/6世界一周路線初便使用機。
DC-8-53 JA8010 KIRISHIMA 45651 1964/1/31 1981/8/20 1975/9/30~10/14 昭和天皇御訪米時のお召機。
DC-8-53 JA8011 TOWADA 45664 1964/6/16 1981/3/2
DC-8-53 JA8012 AKAN 45680 1964/11/20 1972/6/28 1972/6/16 ニューデリー近郊で墜落、大破廃棄。
DC-8-53 JA8013 HARUNA 45681 1965/1/14 1972/10/19 1972/9/23 ボンベイ・ジェフ空港に誤着陸してオーバーラン、大破廃棄。
DC-8F-55 JA8014 ASAMA 45678 1965/3/3 1982/6/16 初の貨客混載型。1971年以降貨物専用機として使用。
DC-8-55 JA8015 SETO 45763 1965/11/10 1976/11/9 1966/11/12 ニューヨーク線初便使用機。1976/11/9 売却後、F-55(全貨物機)に改造され1977/7/21からリースバック。
DC-8-55 JA8016 SHIKOTSU 45764 1966/2/14 1980/6/30 鶴丸塗装一番機。
DC-8-55 JA8017 BANDAI 45854 1966/9/27 1980/6/2
DC-8F-55 JA8018 ISE 45882 1966/10/26 1980/10/14 貨客混載型。1970年以降貨物専用機として使用。
DC-8-55 JA8019 ASO 45916 1967/9/20 1980/6/23 1970/9/27~10/14 昭和天皇御訪欧時のお召機。
DC-8-62 JA8031 AWAJI 45953 1968/4/19 1988/1/13 60シリーズ初号機。1968/6/16 太平洋ノンストップ線初便使用機。1984/8/1 売却後、JALがリースバックしてDC-8全機退役時まで使用。
DC-8-62 JA8032 SHIGA→HIDAKA 45954 1968/5/27 1983/3/17 1968/11/25 SFO手前で不時着水。修理後愛称変更。1974/2/6 シンガポール事件で日本赤軍メンバーの移送特別機。
DC-8-62 JA8033 AMAKUSA 45955 1968/6/10 1984/1/17 1977/9/28 日本赤軍にハイジャックされる(ダッカ事件)。
DC-8-62 JA8034 DAISEN 45956 1968/7/19 1983/8/24
DC-8-62 JA8035 TAISETSU 46023 1968/11/11 1988/1/28 1975/8/5 クアラルンプール事件で日本赤軍メンバーの移送特別機。1984/8/1 売却後、JALがリースバックしてDC-8全機退役時まで使用。
DC-8-62AF JA8036 WAKASA 46022 1968/12/13 1988/1/26 初の全貨物機。1982年からEGと共用のためロゴ無に。JALのDC-8フライトタイム最多記録機。JAL最後の自社所有機でDC-8全機退役時まで使用。
DC-8-62 JA8037 YASHIMA 46024 1969/1/27 1985/4/4 1982/4/28 売却後、JALがリースバックして1985/4/4まで使用。
DC-8-61 JA8038 IZU 46031 1969/2/10 1986/12/9 61型初号機。1980/2/18/ EGに移管。
DC-8-61 JA8039 TSUKUBA 46032 1969/2/25 1986/4/25 1969/4/1 東南アジア線初便使用機(コンベア880と交代)。1980/2/18/ EGに移管。
DC-8-62 JA8040 HIDA 46024 1969/7/18 1972/12/12 1970/3/28 モスクワ線初便使用機。1972/11/27 SVO離陸直後墜落、大破廃棄。
DC-8-61 JA8041 HAKUSAN* 46099 1970/1/25 1981/6/12 落成時からの鶴丸塗装一番機。愛称は予定のみ。
DC-8-61 JA8042 BIWA* 46127 1970/2/2 1986/11/17 1982/4/28/ 売却後、JALがリースバックして1986/11/17まで使用。愛称は予定のみ。
DC-8-61 JA8043 NASU* 46128 1970/2/24 1980/5/27 愛称は予定のみ。
DC-8-62AF JA8044 IZUMO* 46139 1970/9/14 1985/1/31 全貨物機。1982年からEGと共用のためロゴ無に。沖縄返還時の回収米ドル輸送機。愛称は予定のみ。
DC-8-61 JA8045 NOTO* 46157 1970/12/4 1988/1/19 1984/8/1 売却後、JALがリースバックしてDC-8全機退役時まで使用。愛称は予定のみ。
DC-8-61 JA8046 HIEI* 46158 1971/1/20 1988/1/25 1971/1/23 引き渡し後、日本到着時にHNDで滑走路逸脱。1984/8/1 売却後、JALがリースバックしてDC-8全機退役時まで使用。愛称は予定のみ。1987/12/31 JALのDC-8最終フライト機。
DC-8-61 JA8047 ASAHI* 46159 1971/2/18 1986/12/16 1980/4/28 売却後、JALがリースバックして1986/12/16まで使用。1982年より一年間EGにサブリース。愛称は予定のみ。
DC-8-61 JA8048 HIDAKA* 46160 1971/3/12 1982/9/29 JALが発注した最後の61型。1980/7/28 売却後、JALがリースバックしたが1982/9/17に上海空港でオーバラン、大破廃棄。愛称は予定のみ。
DC-8-61 JA8049 45887 1971/5/24 1986/11/17 EAからの購入一番機。1984/8/1 売却後、JALがリースバックして1986/11/17まで使用。
DC-8-61 JA8050 45848 1971/6/11 1988/1/28 EAからの購入機。1980/2/18 EGに移管。1987/12/29 EGのDC-8最終フライト機。
DC-8-62 JA8051 46152 1971/8/23 1977/10/7 1977/9/27 KUL着陸進入時墜落、大破廃棄。
DC-8-62 JA8052 46153 1971/10/5 1987/11/16 1984/8/1 売却後、JALがリースバックして1987/11/16まで使用。
DC-8-62 JA8053 46161 1971/11/18 1987/1/30 1984/8/1 売却後、JALがリースバックして1987/1/30まで使用。
DC-8-62AF JA8054 46148 1972/1/10 1977/1/31 1977/1/13 ANC離陸直後墜落、大破廃棄。
DC-8-62AF JA8055 46154 1972/2/17 1984/9/5
DC-8-62AF JA8056 46162 1972/3/21 1983/10/3 JALが発注した最後のDC-8。DC-8の最終生産機になる予定だった機体(SASが締切後に特別発注した63型が最終生産機)。
DC-8-61 JA8057 45982 1972/9/28 1984/1/14 EAからの購入機。
DC-8-61 JA8058 45942 1972/9/27 1986/11/20 EAからの購入機。1984/8/1に売却後、JALがリースバックして1986/11/20まで使用。
DC-8-61 JA8059 45943 1972/9/29 1984/1/14 EAからの購入機。
DC-8-61 JA8060 45888 1973/6/28 1984/1/14 EAからの購入機。1983/12/24 DC-8国内線最終フライト機(HND→CTS)。
DC-8-61 JA8061 45889 1973/7/23 1982/3/2 EAからの購入機。1982/2/9 HND着陸進入時墜落、大破廃棄。
DC-8-61 JA8067 45992 1975/10/23 1981/6/25 EAからの購入機。JALはリース使用(所有者は霞ヶ関興産)。
DC-8-61 JA8068 45983 1975/10/24 1977/4/5 EAからの購入機。JALはリース使用(所有者は霞ヶ関興産)。

[編集] 日本航空がリースしたDC-8一覧

型式 登録番号 製造番号 借受年月日 返却年月日 備  考
DC-8F-54 N109RD 45674 1968/5/1 1969/1/31 JALが使用した唯一のDC-8F-54。
DC-8F-55 N803SW 45821 1970/4/1 1972/3/31
DC-8F-55 N806SW 45883 1970/1/31 1972/3/31
DC-8F-55 N100JJ 45763 1977/7/21 1980/1/11 元JA8015(SETO)。
DC-8-61 N8762 46038 1973/10/12 1980/1/11 EAからのリース機。
DC-8-61 N8763 46037 1972/9/25 1976/4/6 EAからのリース機。
DC-8-61 N8764 46017 1973/10/14 1980/3/5 EAからのリース機。
DC-8-61 N8765 46018 1972/11/23 1976/3/30 EAからのリース機。
DC-8-61 N8766 46015 1972/10/23 1976/3/28 EAからのリース機。
DC-8-61 N8767 45992 1971/4/3 1975/10/23 EAからのリース機。契約終了後、霞ヶ関興産が購入しJA8067として登録、JALにリース。
DC-8-61 N8768 45983 1970/7/6 1975/10/23 EAからのリース機。契約終了後、霞ヶ関興産が購入しJA8068として登録、JALにリース。
DC-8-61 N8769 45982 1970/3/19 1972/9/25 EAからのリース機。契約終了後、JALが購入しJA8057として登録。
DC-8-61 N8772 45943 1971/4/22 1972/9/25 EAからのリース機。契約終了後、JALが購入しJA8059として登録。
DC-8-61 N8773 45942 1971/5/10 1972/9/25 EAからのリース機。契約終了後、JALが購入しJA8058として登録。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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