SCAPIN
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SCAPIN(Supreme Command for Allied Powers Instruction Note、スキャッピン)とは、SCAP(連合国軍最高司令官総司令部、日本では通称「GHQ」)から日本政府宛てに出された訓令。公式には連合軍最高司令部訓令と訳されるが、連合国軍総司令部覚書や対日指令集 (SCAP Instructions、SCAPINs) と呼称されることもある。
第二次世界大戦の戦後処理において、アメリカ合衆国が主導する連合国軍最高司令官総司令部より様々な指令が出された。その内容は新聞検閲の規定や国旗掲揚の許可、漁業権の範囲を定めるものなど多岐に渡る。
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[編集] 頻繁に引用されるSCAPIN
[編集] SCAPIN-677
行政権の行使に関して日本の範囲に言及する第677号において、竹島、千島列島、歯舞群島、色丹島が日本の定義から除かれる地域とされたことが、今日まで続く領土問題の一因となっている。しかしながら、SCAPINは暫定的なものであり、その後の条約で同様に日本から除外されていた琉球列島(沖縄)をはじめとする島々は現実に返還されていること、またそもそもSCAPに領土を定める権限は無いことなどを理由に、日本政府はSCAPIN-677を根拠とする韓国・ロシア側の主張を退けている。
[編集] SCAPIN-1033
第1033号「日本の漁業及び捕鯨業に認可された区域に関する覚書」によって、太平洋戦争終戦後の日本漁船の活動可能領域が定められた。マッカーサー・ラインとして知られる。この覚書では、竹島周囲12海里以内の地域を日本の操業区域から除外する一方、「この認可は、関係地域またはその他どの地域に関しても、日本の管轄権、国際境界線または漁業権についての最終決定に関する連合国側の政策の表明ではない」との文言も盛り込まれており、主に領土問題において頻繁に議論の的となる。
なお、後に韓国大統領李承晩によって宣言された「李承晩ライン」はこの第1033号によって画定されたマッカーサー・ラインを踏襲したものである。