だいち
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だいち | |
所属 | JAXA |
NSSDC-ID | 2006-002A |
NORAD No. | 28931 |
近地点 | 698 km |
遠地点 | 700 km |
軌道傾斜角 | 98.2 度 |
軌道周期 | 98.7 分 |
打上げ | 2006年1月24日 |
運用停止 | |
質量 | 4000 kg |
Web | 陸域観測技術衛星 「だいち(ALOS)」 |
物理的特徴 | |
---|---|
直径 | 4.00 m |
高さ | 6.00 m |
ミッション機器 | |
PRISM | パンクロマチック立体視センサ |
AVNIR-2 | 高性能可視近赤外放射計2型 |
PALSAR | Lバンド合成開口レーダ |
だいち(DAICHI)は、日本の陸域観測技術衛星(Advanced Land Observing Satellite、略称 ALOS)。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2006年1月24日に H-IIAロケット8号機で打ち上げた。打ち上げ予定日は、1月19日のテレメーター送信機の不具合による延期を含め、3度延期された。
地図作成、地域観測、災害状況把握、資源調査などへの貢献を目的としている。
目次 |
[編集] 任務
[編集] 地図作成
1/25000の地形図を作成するために必要な情報を取得する。
[編集] 地域観測
世界の各地域における環境と調和した開発を可能にする地域観測を行う。
[編集] 災害状況把握
国内外で発生する大規模災害の際に、素早く被災地域の状況を把握する。
[編集] 資源探査
地形の特徴などを解析することにより、主として石油、天然ガス等の地下資源探査に利用する。
[編集] 仕様
- 質量 : 4t
- 長さ : 9.0m、幅27.8m、高さ6.7m(太陽電池パドル、アンテナ等展開後)
- 高さ : 6.6m、縦4.4m、横3.6m(打ち上げ時)
[編集] 観測機器
[編集] PRISM(パンクロマチック立体視センサー)
一度に幅70kmの範囲を2.5mの高分解能で観測し、地表のデータを取得することを目的に設計されている。人間が見ることのできる波長の光を直下視、前方視、後方視の3方向の独立した光学系で観測することにより、地表の凹凸を標高という形でデータを取得する。それぞれの望遠鏡は3つの反射鏡とCCD検出器によって構成されている。
[編集] AVNIR-2(高性能可視近赤外放射計2型)
1996年打ち上げのみどりに搭載されていたAVNIR(高性能可視近赤外放射計)の改良型センサー。マルチバンドの地上分解能がAVNIRの16mから10mと大幅に改良されている。赤、緑、青の3色+近赤外領域の4種類で観測することにより、多目的なカラー画像を製作する。又、ポインティング可能角度が40°から44°に改良されたことで、災害時などの緊急観測に迅速に対応でき、極域の一部を除く地球上すべての地域を、3日以内に観測することができる。
[編集] PALSAR(フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ)
1992年に打ち上げられたJERS-1(ふよう1号)衛星に搭載されていた合成開口レーダ(SAR)の改良型センサ。衛星から発射したマイクロ波の反射を観測するセンサーのため、観測する領域の天候・昼夜等に影響されることなくデータを取得できる。又、観測範囲や分解能が可変であり、柔軟な観測を可能にし、地球上すべての地域を5日以内に観測することが出来る。3つの観測モードがあり、高分解能モードでは10mの分解能による詳細な地域観測が可能である。SCAN SARとよばれる広域モードではやや解像度は劣るが、従来の合成開口レーダーの3~5倍に当たる幅250~300kmでの観測が可能である。ポラリメトリモードとよばれる多偏波モードでは、2種類(縦波と横波)のマイクロ波を送受信する。多偏波での送受信は世界初の技術であり、より詳細な地形データを観測することができる。
[編集] 特記事項
だいちは、多くのミッション機器を搭載する大型衛星である。そのため開発や製作に時間を要するし、また、打ち上げが失敗した場合にすべての観測が不可能になるリスクが大きい。一方で、観測は継続的に行い、データを蓄積していくことが必要である。今後の観測ミッションが、多数の中小型衛星を用いて行っていくのか、みどりやだいちのような大型衛星でおこなっていくのか、判断が注目される。
2006年10月25日に開かれた文部科学省の宇宙開発委員会にて、内閣府と文部科学省は4年後までに解像度を1mにまで高めただいち後継機4機による観測体制を整備する方針である報告された。