わいせつ、姦淫及び重婚の罪
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わいせつ、姦淫及び重婚の罪(わいせつ、かんいんおよびじゅうこんのつみ)は、刑法に規定された犯罪類型の一つ。第二編第二十二章に規定されている。わいせつな行為などをすることによって性的な自己決定権や公序良俗を害する行為を処罰する。従来は社会的法益に対する罪とされていたが、近年では強制わいせつ罪や強姦罪などは個人的法益に対する罪とするのが一般的であり、一部の犯罪については親告罪(刑法第180条)とされている。
目次 |
[編集] 犯罪
- 公然わいせつ罪(刑法第174条)
- わいせつ物頒布罪、わいせつ物販売罪、わいせつ物陳列罪、販売目的わいせつ物所持罪(刑法第175条)
- 強制わいせつ罪(刑法第176条)、未遂も罰する(刑法第180条)。
- 強姦罪(刑法第177条)、未遂も罰する(刑法第180条)。
- 準強制わいせつ罪、準強姦罪(刑法第178条)、未遂も罰する(刑法第180条)。
- 集団強姦罪、集団準強姦罪(刑法第179条)、未遂も罰する(刑法第180条)。
- 強制わいせつ致死罪、強姦致死罪、集団強姦致死罪(刑法第181条)
- 淫行勧誘罪(刑法第182条)
- 重婚罪(刑法第184条)
なお、姦通罪(旧刑法第183条)は、戦後まもなく削除された。
[編集] 条文
- 第二十二章 わいせつ、姦淫及び重婚の罪
(公然わいせつ)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
(わいせつ物頒布等)
第百七十五条 わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。
(強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
(強姦)
第百七十七条 暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
(準強制わいせつ及び準強姦)
第百七十八条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、姦淫した者は、前条の例による。
(集団強姦等)
第百七十八条の二 二人以上の者が現場において共同して第百七十七条又は前条第二項の罪を犯したときは、四年以上の有期懲役に処する。
(未遂罪)
第百七十九条 第百七十六条から前条までの罪の未遂は、罰する。
(親告罪)
第百八十条 第百七十六条から第百七十八条までの罪及びこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2 前項の規定は、二人以上の者が現場において共同して犯した第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪については、適用しない。
(強制わいせつ等致死傷)
第百八十一条 第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を 死傷させた者は、無期又は五年以上の懲役に処する。
3 第百七十八条の二の罪又はその未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。
(淫行勧誘)
第百八十二条 営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第百八十三条 削除
(重婚)
第百八十四条 配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、二年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。
[編集] 公然わいせつ罪の罪数に関する判例
- 前後数回それぞれ異なる多数の観客の前で公然とわいせつな行為をした場合、回数に応じた公然わいせつ罪が成立する(最判昭和25年12月19日刑集4巻12号2577頁)。
- 男女2組のショーに照明を当てて公然わいせつを容易にさせた場合、公然わいせつ幇助罪の単純一罪である(最判昭和56年7月17日刑集35巻5号563頁)。
- 強制わいせつを公然と行った場合、公然わいせつ罪と強制わいせつ罪は観念的競合の関係に立つ(大判明治43年11月17日刑録16輯2010頁)。
[編集] 強制わいせつ罪に関する論点
わいせつの意義及び保護法益については、わいせつを参照。
[編集] 主体・客体
強姦罪と異なり、男女の区別なく成立する。
[編集] 目的
判例は、強制わいせつ罪が成立するためには、その行為が犯人の性欲を刺激興奮させ又は満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要し、専ら侮辱し、虐待する目的であった場合には、強要罪その他の罪を構成するのは格別、強制わいせつ罪は成立しないとしている(最判昭和45年1月29日刑集24巻1号1頁)。しかし、そもそもこの判決には反対意見も付されており、反対する学説も有力である。
[編集] その他
暴行・脅迫の程度や、客体が13歳未満の女子の場合における錯誤があった場合については、強姦罪と同じである。
[編集] 関連項目
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