アンドロゲン不応症
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アンドロゲン不応症(-ふおうしょう)(Androgen Insensitivity Syndrome:AIS)は、性分化異常の原因となる疾患のひとつ。男性ホルモンの一種であるアンドロゲンを分泌できるものの、アンドロゲン受容体が働いていないため感知できず、男性として分化することができない。
アンドロゲン不応症患者は通常、性染色体としてXY型(男性型)を持っている(女性型であればアンドロゲン不応症であっても特に症状はなく、疾患として発見されない)。 そのため性腺は内性器として精巣をもつが、身体の各部位は外性器も含めてアンドロゲンに反応しないため女性として発育し、精巣も体内にとどまる(停留精巣)。 思春期になっても初潮が来ないことから医療機関を受診し、そこで実は(染色体上は)男性であったと判明するケースがほとんどである。 外見上は正常な女性で膣も持ち性交が可能だが、妊娠は不可能である。
[編集] 対応
実は「男性」であったということ、妊娠・出産は不可能ということなど、多感な思春期の女性に対して大きな精神的打撃を与える恐れが大きい疾患である。 そのため、精神的なケアが最も重要となる。
このほか、停留精巣は癌化するリスクが高いため、早期に摘出手術を行う必要がある。
[編集] 精巣女性化症
精巣女性化症候群(Testicular feminization syndrome)はアンドロゲン不応症と同義。 アンドロゲンが働かない場合は脳も女性化するが、ジヒドロ・テストステロン(dihydro-testosterone)を欠くため、外性器のみが女性系になる場合もある。
[編集] 関連図書
- 『男でも女でもない性・完全版―インターセックス(半陰陽)を生きる』橋本 秀雄 (著) 青弓社 2004 ISBN 4787232274