イジー・ストラドリン
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イジー・ストラドリン (Izzy Stradlin, 本名:Jeffrey Isbell, 1962年4月8日 -) はアメリカのロックバンド、元ガンズ・アンド・ローゼズのギタリストである。インディアナ州ラファイエット出身。
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[編集] 性格
燃えさかる炎のようなアクセル・ローズとは対照的に、クールで物静かな性格をしている。2人は学生時代からの幼なじみで、元々ガンズ・アンド・ローゼズはこの2人から始まったバンドと言っても過言ではない。そのため、問題児アクセルの唯一の理解者でもあったが、バンドが絶頂期の1991年秋に正式に脱退。メンバー間の不仲や巨大化したバンドへの危惧、自身のドラッグ問題などが主な理由と言われている。やりたい時にやるという気ままな性格は、今現在の彼のライフスタイルを如実に表している。時にはバイクのレースに夢中となり、ふらりと一人旅に出たり、そしてソロアルバムを出す。一時期はヴェルヴェット・リヴォルヴァーのプロジェクトにも参加していたが、束縛されることを嫌い、途中で離脱。あのスコット・ウェイランドもそんなイジーを尊敬しているらしく、「あの人はどうやってあんなにもすばらしい人生の平安を見つけたのか」と語ったとか。イジー自身、かつてドラッグ中毒で派手なロックンロールライフをしていた頃を振り返り、「もう僕にはあんな生活はできない」としみじみ語っている。今現在もマイペースに活動中である。
[編集] 音楽的特徴
ギタリストとしてはスラッシュの陰に隠れがちであるが、バンドを大成功に導いたのは紛れもなくイジーである。なぜならば、類い希なき作曲センス、これが彼にはあるからだ。出世作『Appetite For Destruction』の楽曲はほとんどがイジー作によるもので、スラッシュも彼の作曲能力を認めている。ギタープレイの特徴は、ブルージーで重厚なサウンドなスラッシュとは違い、キース・リチャーズのようなキレのあるプレイがイジーの特徴である。ソロアルバムでも軽快で爽やかなロックンロール・ナンバーを聞かせてくれる。
[編集] 余談
イジー脱退直後、アクセルは相当ショックだったのか、インタビューやライブなどでボロクソにイジーをけなしていた。スティーブン・アドラー脱退時には、厄介者が去ったというような感じだったが、イジーの脱退はアクセルの心に深く傷を残したことは確かのようだ。後に、同郷の幼なじみで大してギタ-の技術もないポール・ヒュージというギタリストを加入させた事からも分かるように、イジーに代わる理解者を彼は欲しかったのかも知れない。1993年、イジー後任のギタリスト、ギルビー・クラークが怪我で一時的にツアーに出られなくなった時、アクセルは代役にイジーを一時復帰させたことがあった。イジー復帰かとも思われたが、2人の関係は修復されず、イジーは5公演を消化し、再びバンドから去って行った。また、98年頃にイジーがアクセルの家を訪ねたときは、居留守をされたとか。スラッシュやダフ、マット・ソーラムには敵意丸出しだが、アクセルも2001年に開催された「ロック・イン・リオⅢ」出演時に、「一緒にプレイしないか」とマネージャー、ダグ・ゴールドステインを通じてイジーに電話をしたという。また、イジー本人は今尚アクセルを旧友として心配しているようだ。1998年のアルバム「117°」発表時では、アクセルから助けを請われれば、いつでも行くと語っている。しかしアクセルは相当頑固なので、素直に言ってくることはないとも。1991年の脱退時、「もうバンドのメンバーには戻れないけど、曲作りとかツアーで困ったことがあったらいつでも呼んでくれ」とアクセルに言い残したそうだ。実際、インタビューでもガンズ用の曲をいくつか書いていると話している。近年、ダフとスラッシュが、曲の利権や印税の問題で幾度とアクセルを訴えている。最も多くの曲を書いたにも関わらず、イジーがそうした行為をしないのは、アクセルをこれ以上傷つけたくないという思いがあるのだろう。袂を分かれたメンバーの中で、アクセルを今尚「友達」と思っているのは、彼一人であろう。 2006年アクセル久しぶりのインタビューによると、「イジーとはつい最近話した」そうだ。何を話したかは不明であるが、現段階でオリジナルメンバーで連絡を取り合う関係にあるのはイジーのみと言える。
[編集] こぼれ話
- 1989年、MTV関係の授賞式の楽屋でイジーがヴィンス・ニール(モトリー・クルーのヴォーカリスト)に殴られるという事件が起きた。逮捕歴多数・マッチョな暴れん坊のヴィンスにイジーが喧嘩を売る訳もなく、当時真相は定かではなかった。楽屋にいたヴィンスの奥さんをイジーが侮辱したとも、「彼女がうるさかったのでイジーが注意した」とも言われていた。モトリー側は、イジーがヴィンスの妻にちょっかいをかけたからと主張していたが、真相は逆で、当時ヴィンスと一時的に別居していた妻が、とあるクラブでイジーを引っ掛けようとして振られた腹いせにヴィンスを差し向けたものらしい。
2人のイザコザはアクセル・ローズ等も巻き込み、ガンズとモトリーは犬猿の仲になるが、後に和解した。
- 1988年の初来日の際、ドラッグのやりすぎでフラフラの状態のまま入国。一人では歩くこともままならない状態だったとか。この来日中に東京見物のため一人で電車を乗り継ぎ、行方不明となる。またガンズ初期にはドラッグのディーラーとして大活躍。アクセル曰わく、LAにヘロインをはやらせたのはイジーによる功績らしい。ギラギラしていて近づきがたい男だったイジーは、飛行機のキッチンで用を足し、逮捕された経験もあり。
- ハノイ・ロックスの大ファンだったイジーは初の欧州ツアーの際、アンディー・マッコイとツアー中に合流することが叶い大喜びして一緒に飲み明かす事になる。しかし当時、相当な荒くれ者として問題ばかり起こしていたマッコイは自分の影響を受けてスターダムにのし上がったこの新人に嫌気がさしており、マッコイと出会えた事に歓喜し無邪気にはしゃぐイジーに大量の酒をすすめて酔い潰して苛めてしまう。
翌朝、マッコイのホテルの部屋で起床したイジーは全身に激痛を覚えたそうであるが何をされたか記憶に無かった。そして二度とマッコイに近づくことは無くなったそうである。