インサイド・ワールド
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『インサイド・ワールド』は周防ツカサ/著、森倉円/イラストのライトノベル。電撃文庫刊。第5回電撃hp短編小説賞<大賞>受賞作。
2005年10月10日に発売。一話ごとに主人公の違う短編形式で描かれている。短編同士はリンクしており、最終的に一つの物語として完結している。
文庫本発売と同日に発売の電撃hp VOL.38には短編、『インサイド・ワールド 揺れる、消える、触れる―Shifting frame of mind.』が掲載された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
小惑星との衝突によって地球は滅亡する。そんなことがニュースで伝えられ、巷で囁かれはじめた、とある冬。不登校を決め込んだ僕は意味もなく町をふらつく。町外れの薄汚れたプレハブ小屋、ロケットをたったひとりで作りあげようとする少女と出会う。
[編集] 概要
第一話~第三話、プロローグ、エピローグを含めた全五話から構成されている。 メインキャラクターのうち、春名希優、春名桃子は姉妹、椎崎鎮也、椎崎姿は兄弟である。 初出は2005年の『月間コミック電撃大王』4月号増刊 『電撃hpSPECLAL 2005 SPRING』での最終結果発表&受賞作一挙掲載である。受賞時のタイ トルは『インサイド・ワールド ~冬のロケット~』。文庫本に収録の第一話 エスケープ×エスケープの原文である。両者では構成・結末が微妙に異なっている。 電撃hpVOL.38に収録の短編は第二話の前日談にあたる。
[編集] 登場キャラクター
第一話 エスケープ×エスケープ
- 僕
- 本名は不明(描写がない)三ツ木高校二年生。人と接するのが不器用な性格。「世界の滅亡だから」と、自分勝手な理由に盾に高校二年生の二学期から不登校を続けている。
- 「人と接するのが不器用」な理由は「(特に身だしなみに関しては)自意識過剰ともとれる行動(この理由自体も「他人に身だしなみの点で指摘されるのが怖いという対人恐怖症)」と「自ら認めてしまっている会話オンチ」からきている。
- ロケットを作ろうとする少女、春名希優とは町を徘徊中、偶然出会う。彼女の他をすべて排除するかのような言動が気になり、足繁くプレハブ小屋へ通うようになる。希優に自分に近いものを感じる一方、彼女のロケットを作り上げてしまう才能に嫉妬、羨望している。
- これまで、すべてを他人任せ、回り任せにしてきたらしく自主性が皆無。そのため、何か起こってしまうと周りに責任を押し付けてしまう自分勝手な面を併せ持つ。
- 春名希優(はるな まひろ)
- たったひとりでロケットを作り上げようとしている高校二年生の女子。類まれな才能、頭脳を持ち合わせてはいるが、「自分の興味あること以外には全くの無関心」なため、友達と呼べる人は誰もいない。エリート意識も強く、「(自分が)興味を持った人以外の名前を知ろうとはしない」。故に、僕とはクラスメートであるにも関わらず、名前すら知らない。
- 家族構成は妹、母親、宇宙飛行士だった父(既に故人)。シャトルの打ち上げ事故で亡くなった父の代わりに宇宙飛行士を目指そうとしたが、事故に逢い左足に重症を負ってしまう(太股の中に金属が埋め込まれているとのこと)。本人曰く、リハビリを受ければ感知する可能性は有るらしい。そのため、宇宙飛行士への夢を断念せねばならなくなった。
- 行き場の無い焦燥感に駆り立てられ、ロケット作りにのめり込んでいった。その一方では(ロケット作りが)自らの自己満足でしかないことも理解はしていた。
- 僕との間に起きたある出来事によって、ようやくそのしがらみからは解放されたようである。
- ロイヤルミルクティーを好んで飲み。コーヒーは嫌い。食事に対してはあまり重要と考えていないのか、コンビニ弁当ばかりを食している(しかもビッグサイズ!)。
- 彼女にとって「他人の名前を聞くこと」は「他人に対して興味を持つこと」と同義語。物語のラスト、僕に名前を尋ねていた。
- 余談だが、電撃hp短編小説賞審査員の壁井ユカコ、おかゆまさきはヒロイン春名希優のあまりのトンガリっぷり(ツンデレ)を高く賞賛していた。
第二話 放課後の虚構―static Style
- 春名桃子(はるな とうこ)
- 椎崎姿(しいざき すがた)
第三話 透明少女の無色なランデブー
- 高木陽子(たかぎ ようこ)
- 椎崎鎮也(しいざき しずや)
[編集] サブキャラクター
- タバコ屋の店主
- 街角にあるタバコ屋を経営している。白髪交じりの御婆さんだが、肝っ玉が大きいらしく、ちょっとやそっとのことには動じない…らしい。
- 僕の両親
- 父親は大酒飲み、酒癖が悪い。
- 母親はズボラな面があるらしく、珍しく部屋が片付いているのを見た僕が勘違いをしてしまうほど、部屋を片付けられない。
- 春名姉妹の父親
- 宇宙飛行士であったが、数年前の打ち上げ時のエンジントラブルによる爆発事故によって死去。宇宙への切符を手に入れた矢先の事故だった。事故による父親の死は希優の人格形成に大きな影響を与えた。
- 春名姉妹の母親
- 茶髪・金髪・ピアス
- 桃子のクラスメイト。いつも三人一緒で行動しており、ことあるごとに桃子をイビリ倒す。口を開くたびに不平不満を並べる。
- 杉内
- 中学校時代の姿の悪友(この表現が妥当なほど)。高校三年生だが進路は決まっておらず、フリーターになることに危機感を抱いてはいない。姿たちとは別の高校に通っている。
- 内倉洋輔
- 僕、春名希優、春名桃子、椎崎姿、高木陽子が通う三ツ木高校の教師。年齢は30代過ぎ。顎髯がトレードマーク。現文研の顧問を務めているが文学には精通しておらず、姿には「気前のいいおっさん」程度にしか思われていない。
- いい加減な性格らしく、教師としては三流らしい。おそらくO型。(姿談)
[編集] 用語解説
- 三ツ木市
- 三ツ木高校
- 現文研
- 正式名…「現在文学研究部」。所属者は十四名。部室は西校舎の二階。
- 所属人数は十四人と文化系にしては多い。が、これには理由があり、三ツ木高校の校則に「生徒は何らかの部活動および同好会に所属しなければならない」とあるため、幽霊部員御用達の部となってしまっている。実質活動しているのは椎崎姿・春名桃子の二名のみ。
- 以前は文庫本、雑誌や漫画、ハードカバーが本棚の大半を占めたが、桃子の入部以降、マニアックな漫画が揃うようになっている。
[編集] 既刊一覧
- インサイド・ワールド ISBN 4-8402-3174-5
(文庫本未収録)
- 電撃hp vol.38 ISBN 4-8402-3231-8
- インサイド・ワールド 揺れる,消える,触れる Shifting frame of mind.